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ネタバレなし「向日葵の咲かない夏」軽く読書メモ

「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介著、新潮文庫)

■ 感想的なアレ

人の死が出てくるので、テーマは割と重かったです。とはいえ、一気読みしてしまいました。文章はマイルドで読みやすく、物語の複雑な仕掛けにもかかわらず、消化不良を起こさず読み進めることができます。読みやすさもさることながら、読了したあとの「読み終わった感」は格別でした。

「まさかの展開」や「映像化困難」といわれる作品に当たるかもしれません(そういう作品って、どんどん映像化されていますよね)。わりと好きなジャンルなので、半ばまで読んだところで仕掛けのいくつかは予想できました。もちろん全部はわからなかったので、まさに「ドンでんがえし」ともいうべき謎解きは存分に味わうことが出来ました。
(あああネタバレしたい!)

■ あらすじ的なソレ

ある夏の日、「僕」は学校を休んだクラスメートのS君に宿題を届けに行くことになります。S君の家で僕が目にしたのは死んだS君の姿だった。ところが、学校へ知らせ警察が現場に来たときには痕跡を残して死体は消えていた。そしてS君が僕の家にやってきた。(ネタバレ大丈夫かな、あああごめんなさい

■ まとめ的なコレ

僕は殺人事件モノが苦手なんですが、苦手を上回る仕掛けの楽しさがありました。僕の好きなハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーは自身のエッセイで、殺人は非現実的だからこそ登場人物にリアリティが必要だということを書いていましたが、この作品には「殺人が非現実だというならば、いっそ大胆に非現実を紛れ込ませることで物語の世界自体を構築してしまおう」という野心を感じました。あああ、これ以上はネタバレになるのでいえません。人におすすめしたい一冊です。
まさかの結末が味わえるという話題の新作もぜひ読んでみたいです。



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