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忘れない夏~流産のキオク④

こんにちは、さとです。
流産と分かってから、約半月。
もう半月、、、いやもうずっと1年前の出来事のような感覚です。
不思議ですね、一日は24時間で、みんな平等なのに。
さて、このシリーズも4回目になります。
同じような経験をされた方が少しでも前を向けますように。

一話からご覧になりたい方は、こちらからどうぞ↓

流産の手術を明日に控えた日、それはもう私にとっても家族にとっても「別れ」の前日だった。
もう生きてはいないけれど、まだお腹にいる赤ちゃんと一緒に過ごせる時間はあと一日。

長女、次女と同じくらい愛おしい。
あれほどすぐにでも手術を望んでいた自分もいたのに。
私は確かに3人のお母さんになったんだと思った。

起きていても、横になっていても、食事をしても、家事をしても、
何をしていても涙が流れてくる。
私は赤ちゃんに何をしてあげられるだろう。
何も残らないけれど、確かにあなたが生きた証として・・・

ふと、ずっとカバンに入れてあった空っぽの母子手帳が目に入った。
正直見るのも今はつらい。
けど、空っぽのまま引き出しにしまうのも何か悔しくて、虚しかった。


「子どもたちと親子手帳に赤ちゃんへのお手紙と、絵を描こう。」

ほぼすべて何が起こったか分かっている長女は、赤ちゃんの似顔絵と心のこもったメッセージを泣きながら書いてくれた。
心の優しい子に育ってくれた我が子に、また泣いてしまった。

赤ちゃんがバイバイになってしまったことは理解できている次女は、自分たちと仲よく遊んでいる絵をかいてくれた。
無邪気に、そしてカラフルに書いてくれる次女にも癒された。

たった一行の健診結果の記録と、次回健診日が空欄の親子手帳がとても華やかになった。

みんなあなたを心から大切に思っていたよ。
大好きだよ。

それから長女はピアノでブルグミュラーの「別れ」を泣きながら演奏してくれた。
冬に開かれる発表会の曲を、この夏長女が自分で選んだ。
曲の題名が「別れ」とはなんとも、、、
このタイミングで、、、

私も長女もきっとこの曲を聴くたびに、あなたのことを愛おしく思い、
胸が苦しくなるだろう。

でもそれは、あなたがまだ私たち家族の胸の中にずっといるということ。
ずっとずっと忘れない。
ずっとずっと胸の中にいる。

明日の手術で、気持ちが切り替えられるということはない。
お腹からいなくなった現実に苦しむかもしれない。
でも、ここまで頑張った一区切りが明日でもある。

笑顔でサヨナラなんて、そんなことはできない。
強がらなくていい。思いっきり泣けばいい。

先のことを考えるのは、もっと後でいい。
今は自分の気持ちをしっかり見つめようと思った。


・・・つづく・・・



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