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忘れない夏~流産のキオク⑤

こんにちは、さとです。
このシリーズも第5回目となりました。
書くことで少しずつ、前を向けている自分がいます。今回も同じ経験をされた方の心の傷が、少しでも和らぎますようにと思いを込めて、私の経験を書いていこうと思います。

1話からご覧になりたい方はこちらからどうぞ↓


手術前日の夜は、明日を一つの区切りとしてお腹の赤ちゃんへ手紙を書くことにした。
直接渡すこと、読んであげることはできないけれど、
長女と次女がカラフルな絵とメッセージで埋め尽くしてくれた親子手帳へ書いた。

≪愛しい私の小さな赤ちゃんへ≫

3人目として妊娠が分かったときはとても嬉しかったよ。
もう30代後半だし、正直無理かなと思っていたから。
小さな体をピコピコ動かして力強い心音を聞いたときは、もう大丈夫!って思っていた。
けど、健診で突然動かなくなったあなたの姿を見たとき、お母さんは頭が真っ白になってしまったよ。

つわりが1か月半、本当にきつくて辛かったけど、振り返るとあなたと二人で生きたかけがえのない大切な時間だったね。
とっても短かったけど、3人のお母さんに慣れた時間をありがとう。

抱っこしてあげることも、ぎゅっと抱きしめてあげることもできないけれど、、、
へその緒もお骨も何もあなたが生きた証を残してあげることができないけれど、、、
お母さんはあなたがお腹に来てくれたことを絶対に忘れないよ。
あなたはずっとずっと、お母さんの心の中で生きています。

お顔、見れなかったけど、きっと可愛くて、美しくて、きれいで、みんなに愛される素敵な顔だっただろうな。

しばらく、いやどうやってこの悲しみが和らぐのか今は全く分からないけれど、それでもお母さんは精一杯あなたの分まで生きます。
天国でいつか会える日まで、待っていてね。
あなたは私の大切な子どもです。
大好きだよ。ありがとう。

お母さんより


震える手、ぼやける視界、にじむ文字、、、
かわいい手形・かわいい足形のページにこんなメッセージを書くことになるとは思ってもいなかった。
どんなに泣いても、叫んでも、祈っても、変わらないこの現実はあまりにも残酷すぎると思った。

「生」と「死」は表と裏。
生まれる人がいて、亡くなる人がいる。
けど、生まれることがなかったこの「死」はいったい何なんだろう。
私は忘れない、ずっと心の中で生きていると信じているけれど、
「なかったこと」かのようになってしまうことが、とても辛かった。


・・・つづく・・・



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