コロッセオ-最後の闘い(nana台本より修正)その2
夜の帳がおりるころ。場内は昼間のようにあかるく観客席はビッシリと隙間なく人が入っていた。異様な熱気につつまれている。対戦が始まってから少し時間がたっていた。
勝負はなかなかつかない。相手はかなりのやり手だった。俺は相手に剣を打ちながら提案する。
「これが俺にとって最後の闘いとなるやしれぬ!そこでだ、互いに兜を外してはどうだ?
ついでに鎧を脱いでもいいぞ、やってみないか?」
100戦勝ち続ければ自由にしてやる。願いを叶えてやる。その100戦目だった。
今目の前にいる相手は破竹の勢いで勝ち続けている奴だ。人前では絶対に素顔を見せないと聞く。髪の色からして同郷ではないかと。もしかしたら、とかすかな望みをかけていた。
「やる勇気はないか?顔を見た相手とはやりずらいからなぁ。それともやはり人前では素顔が出せぬか?」俺は畳みかけてみた。相手はフッと笑ってから答えた。
「貴殿の方こそやりづらくなるのでは?私は一向に構いません。鎧を脱いでもいいですよ。」
若い男の声だった。澄み切った綺麗な声、成人少し前か?
「よし、鎧と兜を外して闘おう。剣と盾だけでどうだろう?」俺が提案する。
「なかなかに面白い提案ですね。いいですよ、やりましょう!」
作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。