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食べログにもRettyにも載ってない「お店の思い出価値」の話/第49回

仕事で出先からオフィスへ戻る帰り道、同僚とランチして帰ろうとなって、せっかくだから長く通ってる思い出深い店で食べようと、福岡天神にある「風街」という喫茶店へ。

その同僚とは大学院時代に一緒に教育系の活動をやってた仲なんですが、しょっちゅうこの「風街」を2階のテーブルで会議をやらせてもらってて、そういう意味で、本当にお世話になったお店。卒業後も福岡出張とかのたびにここによって朝ごはん食べたりしてて、個人的にも思い入れが深くて、絶対ずっと続いてほしいなと思うお店のひとつ。

今のご時世飲食店はどこも苦しいはずで、ちょっとでも力になれればと一番高いランチメニューのDセットをオーダー。平日の昼間からケーキ付きのランチを食べて紅茶を嗜むという贅沢をやらかしてしまいました。とはいっても、店に入ってみると思ったよりもお客さんがいたので、地元のファンも根強いんじゃないかな。

「増税のため10月1日で値上がりします」といった内容が書かれたポスターが未だに貼ってあったり、喫煙OKの2階席に向かう階段に扉が追加されてて分煙が厳しくなってたり、極め付けはコロナで営業自粛になったりと、50年以上続く喫茶店と言えど、ここ数年の変化の激動さは過去振り返っても類を見ないんじゃないかなと店の歴史に思いを馳せながら紅茶をすすったお昼。その時間を思い出しながらふと思った新しいアイデアを書き記しておきたい。

お店への「思い出価値」って可視化されたら面白そうじゃない?

僕がその日「風街」にランチに行った理由は、思い出深い大切なお店だから行ける時に行っとこ!という、単純にそういう思いだったからで、正直その日パスタを食べたいともスフレケーキを食べたいとも思ってなくて、気持ち的にはぶっちゃけうどんが食べたかったくらいでして(笑)、でもそのうどん食べたい欲に余裕で勝るほどに、僕は「風街」が好きなんですよね。

これって「思い出価値」だなと思っていて。

「風街」は50年以上続く老舗中の老舗喫茶なんですが、別に老舗でなくても思い出価値はあるんですよね。九大学研都市駅近くのコメダ珈琲も僕は思い出深いんですが、言ってみれば普通にどこにでもあるフランチャイズ店です。でもここで缶詰になってギリギリで修論を書いたので思い入れがあるわけです。

あと思い出価値で思い浮かぶのは、新卒で宮崎のITベンチャー企業に行った時に最初に連れて行ってもらった「粋仙」という地鶏の居酒屋。結婚してから嫁さんの両親を初めて宮崎に呼んだときにもこの店でごはんを食べたんですが、開店17時で誰もいない居酒屋に一番で入って、でも僕含めて誰もお酒飲まないタイプなので4人で緑茶を頼むというシュールな感じになって(笑)。今もそれをよく覚えています。

...と、僕の思い出語りをしまくってきましたが、要するにこういう思い入れのあるお店って、誰にでもあると思うんです。あと面白いのが、他人からお店の思い出話をされると、逆に自分のお店の思い出を語りたくなってウズウズするんですよね(笑)。たぶんこれを読んでいるあなたも、語りたいお店が1つや2つもう浮かんでいるのではないでしょうか。

こういうお店の思い出って、実はすごく価値があると思うんです。例えば接待で懇親会をセットするときに、相手方の学生時代のバイト先のお店なんかを会場にすればその人も嬉しいかもしれないですし、例えば同窓会の集まりの店として、当時みんなでよく集まっていた学校近くのファミレスというのもアリかもしれない。

僕らがお店に行く理由って、味がいいとか、店が綺麗とか、接客が丁寧とか、単純にそういうクオリティだけじゃないんですよね。別にそんなに美味しいわけでもないけど、この店が好き。という感情って誰もが持ってると思っていて、それってすごくすごく面白い話。なぜなら、この価値は食べログにもぐるなびにもRettyにもyelpにも載ってないんです。レビューに思い出話を書く人はいるかもしれないけれど、この店に思い出価値をどれくらいの人がどれくらいの程度で感じているか、なんていうデータはどこにも掲載されていない。(たぶん。あったらリサーチ不足です、ごめんなさい。ぜひ教えてください!)

あ、ちなみに風街は味もいいし店の雰囲気も最高だし接客もOKなのでオススメです。話を戻しますね。

このお店に抱いている特別な感情、要するに「思い出価値」というものを、可視化してみれたらめっちゃ面白いんじゃないかなと。

味も内装も接客もイマイチだけど、なぜかみんなに愛されるお店の価値

もし仮に、うまいこと思い出価値を可視化することができて、食べログを見たら星5つのマークの下に思い出マークが5つ並んでて(マークの形は全然いいのが思いついてないw)、みんながどれくらいこの店に思い出価値を感じているがわかるようになってたらどうなるでしょうか。あ、星5つだと平均点になっちゃうので、純粋に思い出の数とかを数字で出したほうがいいかもですかね。

ともかく思い出価値が可視化されたとすると、面白い現象が起こる。味もそこそこ、内装はどっちかという汚い、接客は雑。なんだけど、なんだけどなぜかみんなに愛されてるお店。いろんな人の記憶の中にその店での出来事が残り続けていて、そんなふうに思ってる人をたくさんたくさん生み出し続けているお店。そんなお店がわかってくると思うんです。

そしたら僕らはどう思うか、というと、僕も私も!と言って、そのお店で思い出を作りに行きたくなる。例えば、そのレビューに今も仲良しの老夫婦の初デートの思い出が書かれたとして、それを読んだ旦那は10回目の結婚記念日にそこに行ってみようかな、と思う。そこで嫁さんに「こんなレビューを読んでさ。僕らもこういうふうにいつかなりたいよね」とかおそるおそる言う。10年目もなればさすがにトキメキはしないので嫁さんはおそらく冷めた反応。でもそれって実は本当は嬉しかったりもするし、きっと年取ってから笑い話になる。

で、そういう店が残っている街って素敵だと思うんです。そういう店に残って行って欲しい。

お店の思い出価値の可視化、どうやったらいいと思います?

すごく思いつきベースではあるものの、これってすごく素敵なのではないか、とは思っていて。ただ全然ちゃんと実現性を考えてはいないので、今から考えてみようかなと思っています。とはいえ、どうやってもグルメ情報サービスなので、純粋に食べログさんが検討してくれたら早い気がします。ただ、そういう思い出って地元感もでたりするから、もっとローカルなデータベースでもいいのかもしれないな。単純に、思い出エピソードを集めて発信し続ける、とかでもいいかもしれない。それこそnoteでやってみたらいいのかも。note編集部の方、そういう企画どうでしょうか。「#カフェの思い出」「#レストランの思い出」とかとかそんなハッシュタグをつけて。

アイデアありましたらコメントいただけたらと。なんだかこういうの考えるの楽しいですよね。


ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!