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第12回:100兆円の高齢者市場、15兆円の介護市場。高齢化をニーズと捉えると面白い!

児童発達支援、放課後等デイサービスの事業所で働き始めて3週間、IT業界との勝手の違いや業界独特の文化も感じていますが、何より一番思うのは、児童福祉のプロって本当にすごい!ということ。これは障害児支援事業に限らないのですが、とにかく福祉領域のプロフェッショナルを肌で感じる毎日です。だからこそ、福祉事業でもっと稼げるモデルを作りたいし、彼ら彼女らプロの仕事をもっと色んな人に知ってほしいと感じ始めてます。

具体的にどういうこと?という詳しい話は、また別の機会にちゃんとまとめて書いてみたいなと思います。

今回はそれとはちょっと趣旨が違って、そんな「福祉事業で稼げるモデルを作れないか?」という問いから、高齢者市場の話をしたいです。もともと福祉に興味を持ったキッカケが介護だったのもあって、転職する前に介護について調べて記事にまとめてました。現状について調べただけなので、じゃあ分解すると何が問題なのか? どう解決したらいいのか?という話には何も踏み込めていませんが、もう少し現状を知ったうえで、またいずれ整理したいと思ってます。

(全部ググって分かる内容を整理しただけの、マクロな視点でしか語れていないので、諸々修正・補足などありましたらぜひご指摘いただきたいです!)

ビジネスパーソンこそ少子高齢化に向き合うと面白いはず

少子高齢化先進国である日本において、介護の問題は切実な社会課題あることは誰もが頷けるところと思いますが、ビジネスとしての介護業界のイメージはいかんせん、儲かる感じがしません…

僕が学生時代参加したインターンで新規事業を考えて発表したときに言われた言葉、「面白いけど、お金の匂いがしないね」を思い出します。社会課題に向き合う際に「稼げるのか?」という問いを持てることは、その志を実現するために必要不可欠です。

この記事はそんな「稼げるのか?」にポイントを置けるビジネスパーソンにこそ読んでほしいと思い書きました。ここでいうビジネスパーソンというのは、何か事業を作りたいと思っている若いアントレプレナーをイメージしてます。

理由は2つ。

1つは、介護業界は、需要がありながら稼げるモデルを作れていない状況にあり、事業を作れる人材に興味を持ってほしいからです。

そしてもう1つは、経済的利益のみの追求だけでは問題を解決し得ない特殊な業界であり、その意味で既存の事業作りの枠組みを越えていかないといけない、非常にチャレンジグなフィールドだと知ってほしいからです。

介護というのはもともと行政サービスの一つでもあるため、助成金や介護保険法によって大きな影響を受ける領域。自由市場に委ねるだけでは決してうまく回りません。一方で、人口減少が確定している日本で介護を行政サービスだけに頼るのは考えにくく、公益性を担保しながら利益追求も目指す高度なバランス感覚が必要になるはずです。

新しいビジネスをやりたい、事業をつくってみたい、と思っている熱い若いアントレプレナーにこそ、ぜひ介護領域、もっと言えば少子高齢化という圧倒的に大きな問題に飛び込んでほしいなと感じています。

少子高齢化は日本最大級の「困りごと」

少子高齢化とは、今後数十年で日本人が直面する最大級の「困りごと」です。これほどまでにスケールの大きい問題は他にないように思います。前々からやばいやばいと言われながらほとんど何の打ち手もないまま、ついに目に見えてその問題が顕在化しようとしている…それが現在であり、2025年が一つの節目になると言われています。

そう、最近耳にすることも増えてきた「2025年問題」です。

2025年、戦後のベビーブーマーである団塊の世代が全員75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という「超・高齢者社会」が訪れると予測されています。

また育児と親の介護の2つのケアを迫られるダブルケアや、自らが高齢者でありながらさらに高齢の親を介護する老老介護など、2025年を節目の一つに、介護の問題は急に切迫した色合いを帯びてくるのです。

一方、新しいビジネスはいつも「困りごと」から生まれます。
少子高齢化がもたらす介護の問題は、今後の日本で最も切実な「困りごと」の一つ。つまり、少子高齢化は、新しいビジネスチャンスとも言えるのです。

世の中には大小様々なビジネスが存在し、それぞれのビジネスが何かしらの「困りごと」に向き合っています。少子高齢化問題はそういったなかでも日本最大級の「困りごと」に違いありません。そして少子高齢化問題を因数分解したときに大きな存在感を示すのが、高齢者の増加による介護の問題なのです。

日本最大級の「困りごと」に立ち向かうスケールの大きな業界、そう考えると、介護の分野が違ったふうに見えてきませんか?

世界的に見ても少子高齢化に一足先に飛び込む日本は、この問題においてはどの国よりも最先端を行けるはず。最大級の問題に、その最先端の場所で取り組めるチャンスは、今の日本に生きる若者に与えられた面白すぎるチャンスではないか、と僕は考えています。そしてその一つが介護業界であり、非常に挑みがいのあるテーマです。

少子高齢化を構成する3つの課題

さて、先ほど「少子高齢化は新しいビジネスチャンスである」という仮説を立てましたが、果たしてこれは本当でしょうか?

まずは少子高齢化問題というフワフワした問題を、3つの問題に大別してみます。「未来の年表 人口現象日本でこれから起きること,著:河合雅司,講談社,2017」で、著者は以下のように述べています。

日本の難しさは、人口減少をもたらす出生数の減少、高齢者数の増加、そして社会の支え手である勤労世代の減少という、それぞれ要因の異なる3つの課題に同時に立ち向かわなければならないところにある。しかも、これらは全国一律に進むわけではない。

これらのうち2つ目の課題「高齢者数の増加」こそ、介護業界が担う領域です。他2つの課題については別の記事でまた書きたいなと。

簡単に言えば、高齢者市場に向き合うことこそ、ビジネスから介護問題を捉えるということです。行政サービスとして、法律として、またソーシャルセクターとしてなど、介護の問題を捉える切り口はたくさんありますが、あくまでもここでは民間サイドから、ビジネスとして見てみたいと思います。

2025年には、高齢者市場は100兆円超

高齢者市場とはどれくらいの規模の、どういった市場でしょうか?

みずほコーポレート銀行の調査によると、高齢者向け市場規模は、2007年の62.9兆円から、2025年には101.3兆円にまで伸びると予測されています。高齢者向け市場といっても介護だけではなくて「医療・医薬産業」「介護産業」「生活産業」の3つに大別できるようです。新しい高齢者向けビジネスを考える際には、医療保険や介護保険の制限のかからない「生活産業」に可能性があるのではないか、と今のところ僕は考えています。いわゆる介護の実費サービスと呼ばれているものもここに含まれるでしょう。介護・医療保険適用外のサービスについては勉強足りてないので、また別の機会に整理します。

話を介護に戻します。高齢者向け市場のうち、介護産業だけで2025年には15.2兆円に及ぶとされているのです。

一方で、2017年度における国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は約12.1兆円と言われています(参考:国内企業の IT 投資に関する調査を実施,2017 年,矢野経済研究所)。

つまり、2025年の介護市場は、今現在のIT市場規模12.1兆円を超えた規模の15.2兆円になるということになります。成長産業と位置付けられて久しいIT市場と比較して遜色ないことがわかれば、15兆円という数字の見え方も変わってくるかなと思います。

市場規模だけでみれば、介護市場は規模が大きく、今後も伸び続けるマーケットなのです。

介護産業の顧客は増え続ける

ここで、介護事業の顧客について考えてみましょう。

介護事業における顧客は言わずもがな高齢者です。正確には、「介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人」です。実際の商談相手や支払者で考えれば、顧客はそのご家族、ご親戚かもしれません。

「平成29年版高齢社会白書」によると、「介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人」の数は、年々増加し続けており、データがちょっと古いですが、2014年度末で約592万人。新規顧客のパイは確実に増え続けています。

介護施設はスイッチングコスト(別の施設に移るための費用や労力)が高いので、流出顧客も多くはないと思われます。流出要因には死亡なども考えられますが、年々少しずつ平均寿命が伸びていることも踏まえるとそこまで影響はなさそうです。

高齢化とはニーズ増。マクロな数字をググると違った視点に立てて面白い

ここまで、介護業界の現状を具体的に見ながら、その可能性について述べてきました。大きな需要があること、そして今後も伸びていくことは確認できたと思います。高齢化をニーズ増として捉えると、なかなか面白いチャレンジしがいあるフィールドだと思えてくるなあと改めて。

では、実際に、そのニーズを満たせていない理由はどこにあるのか?
何がボトルネックなのか? どの課題を解消すればいいのか?

そういった話には、恥ずかしながら僕もまだ具体的な仮説も解も持てていません。ただありがたいことに、社内slackで介護の話題が飛び交うような面白い環境にいるので、事業的な視点からいろいろ探していきたいと思ってます。まずは、いま本業として向き合っている児童福祉の世界もとても奥深いので、次はそっちを書いてみようかなと。

ちなみに、興味あるテーマがあったら、GDPとか市場規模とか、マクロな数値をググってみるのオススメです。ミクロな視点は現場行かないとわからないですが、大局的に見るだけだったら割とググるだけで見えてくるものもあって、色々調べるのが止まらなくなったり。面白い参考記事やレポートなどあればぜひご共有ください〜

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!