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インナーマッスルとアウターマッスル

【アスリートのための身体の仕組み講座】

第3回は
【インナーマッスルとアウターマッスル】
について整理していきます。

どちらも聞いたことあるかなと思います。

ただ
『じゃあそれって何?』
と聞かれたときにスッと解説できますか?

『自分はこの時のプレー、動作を向上させたいから○○のトレーニングが必要だな』
ってトレーニングの選択ができますか?

『やれって言われているメニューをやる』
『何となくいつもの流れで・・』
『ネットで見つけて良い感じにきついしやってる』
など、そういった感じでトレーニングをしている方って多いと思います。

でも、きちんと知って、それを自分のトレーニング、成長に繋がった方が絶対に良いですよね。
無駄がないですし、成長速度、伸び代も相当かわります。
学びを活かすとはそういう事ですよね。

このシリーズが少しでも参考になればと思います。

今回、整理していくのは
・インナーユニット
・アウターユニット
・インナーマッスル
・アウターマッスル

です。

インナーユニットは初回から出てきていますが、ベースになる部分ですので復習もかねて。

Ⅰ.インナーユニットについて

インナーマッスル、アウターマッスルに入る前に
・インナーユニット
・アウターユニット

について確認していきます。

まずはインナーユニット。
ここについては大丈夫ですかね。
(詳しくは第1回の記事を読み返してもらえたらと思います。)

サクッとおさらいすると

骨盤帯と腰椎

ここのエリアで
・横隔膜
・骨盤底筋群
・腹横筋
・多裂筋

これらで構成されるものでしたね。

インナーユニットは
どの筋肉よりも少しだけ早く働いて、お腹周りを引き締めてくれます。
また、腹圧を良い感じに高めて、骨盤と背骨を正しい位置関係に保ってくれます。

『機能低下を起こしていなければ!』
です。

機能低下を起こしていると様々なトラブルを引き起こす原因となるんでしたね。

Ⅱ.アウターユニットについて

さて、次は【アウターユニット】について確認していきます。

聞いたことありますか?

アウターユニットは、あまり聞くことが無いかもしれませんが、インナーユニットと同じく、めちゃめちゃ重要なんです。

何で重要かって言うと・・

アウターユニットは
骨盤帯の安定性をもたらす重要なシステム!
なんです。

インナーユニットも“安定性”というのが役割でしたね。
これだけ言うと『一緒じゃん!』と突っ込みたくなりますね。

実は、インナーユニットとは違う安定性をもたらしてくれます。

それは
動作において起こる外力に対して強力に骨盤帯を安定させる
というもの。

めちゃめちゃ重要ですよね。
姿勢改善、不調改善、怪我予防、パフォーマンス向上など、全てそうですが
インナーユニット+アウターユニットがちゃんと機能している
というのが大切になります。

では、アウターユニットとはどんなものなのか確認していきます。

アウターユニット
⇒動力や外力に対して身体を支える、安定させるシステム

①後方を斜めに走る筋(後斜系)
②前部を斜めに走る筋(前斜系)
③縦に走る筋(後縦系)
④外側を走る筋(外側系)


(身体を動かす⇒動的アウターユニット
というシステムもあります。)

文字だけでも何となく理解できるかと思いますが、もう少し詳しくいきます。

①後方を斜めに走る筋(後斜系)

背面をクロスして安定させるシステム
(広背筋と反対側の大臀筋、介在部の胸背筋膜)
⇒全ての動きで重要

こんなラインのイメージですね。

後斜系

②前部を斜めに走る筋(前斜系)

前面をクロスして安定させるシステム
(外腹斜筋、内腹斜筋と反対側の内転筋、介在部の前腹部の筋膜)

このラインのイメージです。

前斜系

③縦に走る筋(後縦系)

背骨に近いラインを安定させるシステム
(脊柱起立筋、胸背筋膜深部層、仙結節靭帯、大腿二頭筋)
⇒仙腸関節の安定性に関与

このラインのイメージです。

後縦系

④外側を走る筋(外側系)

お尻と反対の内ももで安定させるシステム
(中臀筋、小臀筋と反対側の内転筋)
⇒歩行に関与する

このあたりのイメージです。

外側系

アウターユニットは、こうした4つのシステムで働いて、身体を安定させてくれます。

これにプラスして
身体を動かす動的アウターユニット
というのもあります。

そして、先ほども書きましたが
インナーユニットとアウターユニットが共に機能することが重要
となります。

【機能統合】
ってやつですね。

で、この4つのシステムに共通している事。
それは
【クロス】していること。

ヒトは進化の過程で
『安定させたいけど、自由に動きたいな~』
という事で、こうしたクロスでの安定性を獲得しました。

ちなみに、自然界で一番安定しているのは
【六角形】です。
ハチの巣などそうですね。

その次に安定しているのは
【三角形】です。
ピラミッドなどですね。

安定(固定)にいきすぎると動きに制限が出てきます。
ヒトは、筋や靭帯、筋膜など総動員し
【安定して動ける】という事ですね。

当然、このシステムがうまく機能していないと
不調も起こるし、パフォーマンスも落ちる
という事です。

技術練習やウエイトトレーニングなども重要な要素ですが、こうした基本機能の部分が正しく働いているからこそです。

そして
【固めすぎると動きが悪くなる】
というのは、このシステムに限らず共通する部分ですので頭に入れておきたいところですね。

Ⅲ.インナーマッスルとアウターマッスル

インナーユニットとアウターユニットについて確認したところで今回の本題。

・インナーマッスル
・アウターマッスル

この2つについて確認しましょう。

『聞いたことあるけど、何となく知っている』
だと活かせませんからね。

インナーマッスル

インナーユニット

抗重力・体重支持(姿勢保持)アウターユニット

です。

その筋肉たちは身体の深部にあるものが多く
固定・安定・支持
という役割があります。

つまり
【ザ・支える(安定させる)筋肉たち】

これに対して

アウターマッスル

これは身体の表層にあるものが多く
(固定・安定・支持)+動力源
という役割があります。

つまり
【ザ・動かす筋肉たち】

このように整理できます。

シンプルで分かりやすいですね。

ここで知っておきたいのは
インナーマッスルがきちんと働いていると、アウターマッスルは【動力源】としての仕事をしっかりできる
ということ。

逆に、インナーマッスルがへなちょこでうまく働けていないと
アウターマッスルが支えるという仕事を頑張んなきゃいけなくなるんです。

これって良くないですよね。
それぞれが得意分野、本業で働いてくれることが大切です。

Ⅳ.機能統合

色々とお伝えしてきましたが、それぞれ単品で働くのではなく【共に働く】ということが重要ですので、そこは間違えないようにしてくださいね。

で。
動くためには【支える・安定させる】という事が絶対に必要です。
ちゃんと支えることができる、安定しているから動けるんです。

【静的安定性】
なんて言ったりしますが、それがベースにあって
【動的安定性】
安定した動きが獲得されます。

この静的安定性で重要になるのが

インナーユニット

抗重力・体重支持(姿勢保持)

ここって事です。

繰り返しになりますが・・
それぞれじゃなく、これらが一緒に働く事が重要なんです。 

これを
インナーユニットとアウターユニットの機能統合
と言います。

どちらかではなく、同時に。
一緒に力を合わせて働かなければいけません。

具体的に言い換えると
背骨と骨盤を正しい位置関係に保ったまま、様々な負荷などに対しても体幹部を安定させる
という事です。

いきなり様々な動きのトレーニングをしてもうまくいきません。
インナーユニットを機能させた状態で地味なトレーニングからやっていき、様々な動作に繋げていきます。

こうしたトレーニングは様々な肢位(ポジション)で行うことが重要になるので、『これやったらOK』という便利なトレーニングはありません。

が、重要となるのは【下肢の抗重力筋】です。
ふくらはぎ、内もも、太もも、股関節、お尻、腰部など・・

そしてこの抗重力・姿勢保持筋といわれるやつら。
CKCエクササイズ・トレーニングでしっかり刺激が入ります。

CKC(closed kinetic chain)
閉鎖運動連鎖と言って、手や足など四肢の遠位部が床などに接した状態(体重のかかった状態)で行うエクササイズ。
腕立て伏せやスクワットなどです。

なので、抗重力・姿勢保持筋を効果的に鍛えるためには、体重のかかった状態で行うエクササイズ、トレーニングが良いってことです。

小難しく考えなくても、身体を支える筋肉なので当然っちゃ当然ですよね。

こうしたエクササイズ、トレーニングの時に
インナーユニットを働かせた状態で出来るかどうか?
ここが機能統合できるかどうかの分かれ道ですね。

動作が安定しない方は、こうした部分を見直してみると良いかもしれませんね。

まとめ

専門用語もちょこちょこあって小難しい部分もありましたが、こういった事が理解できていると、目的に応じて的確にアプローチできるようになります。

例えば!
姿勢改善が目的の場合

1⇒アウターマッスル
2⇒インナーユニット+抗重力・体重支持アウターユニット

1と2では、どちらのアプローチが効果的かわかりますよね。

2を無視して3ばかりアプローチしても効果はイマイチですし、おそらく違和感や痛み、怪我なんてことも・・。

深いレベルでの理解はトレーナーがしておけばいいのですが、選手も
『はいはいはい、何となくでも流れはわかるよー』
というくらいの理解があると、高いレベルで共有し、より良いトレーニングをすることができます。

やる意味がわかればモチベーションも上がりますし、いつどのようにステップアップしていけばいいかも理解できます。
どういったストーリーでトレーニングしていくとレベルアップできるのか理解できると本当に進みが良いんです。
リハビリの場合も、変に不安にならなくても済みますし、前向きに取り組んでいく事が出来ます。

ですので、よく出てくる専門用語、選手としてレベルアップするために欠かせない重要な部分、これらは選手の皆さんも知っておいてほしいなと思います。

気になる事や相談などあれば、ぜひ信頼できる方に聞いてみて下さいね。
もちろん、こちらに連絡をいただいても大丈夫です。
お気軽にご相談ください。




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