Satoru Komatsu

今までに、海外約20カ国へサッカー旅を敢行。著書『ヴァンフォーレ甲府あるある』、『ココ…

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今までに、海外約20カ国へサッカー旅を敢行。著書『ヴァンフォーレ甲府あるある』、『ココロノトモ Rolling Ball , Rolling Life』 映画出演インタビュー記事:https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c030145/

最近の記事

蹴球邂逅録 〜酒場 (スレブレニツァ🇧🇦)〜

惨劇の地、スレブレニツァ ・ポトチャリ村。 当時の国連施設だったメモリアルセンターを後にし、 国道沿いを彷徨していた折。 ほろ酔いなオヤジたちに呼び止められた。 「オマエも、一杯飲ってかないかと」と。 「ぜひぜひ」と僕。 そこは、ふくよかでにこやかなお母さんが切り盛りしている、 BEXという名の、こじんまりとした酒場であった。 しばしの真っ昼間の宴は、もっぱらボスニアと日本を繋ぐオシムさんの話題で 盛り上がった。 帰り際、黄色いTシャツを着た、性格俳優を思わせる激渋オヤジが切

    • 蹴球邂逅録 〜未来 (スレブレニツァ🇧🇦)〜

      ボスニア紛争時、セルビア軍勢力により、たった十日足らずで、 8000人を越えるボスニャク人が虐殺された地、スレブレニツァ 。 2019年、3月下旬。 拭い去ることの出来ぬネガティブなイメージを抱えたまま、 彼の地に足を踏み入れた。 ”二度と同じ過ちを犯さぬよう、セルビアとボスニア、未来のため一緒に戦おう” という理念の、FK Guberというサッカークラブが存在することを聞いたからだ。 そんな彼の地を徘徊して、とても印象的だったのは、 ”戦争を知らない”屈託のない元気な子供

      • 蹴球邂逅録 〜ミキ (ベオグラード🇷🇸)〜

        セルビアでも育成に定評のある古豪、OFKベオグラード を訪れた際、 クラブハウスに併設されたカフェから出てきた190cmはあろうかという 大男が声を掛けてきた。 男「オマエは、日本人か?」 僕「はい」 男「じゃぁ、マエゾノの電話番号を知っているか?」 僕「いや、知りません…」 男「ちょっと、カフェでお茶でもどうだ?」 僕「ぜひぜひ!」 それが彼との出会いだった。 彼の名は、ミオドラグ・アンジェルコヴィッチ(通称ミキ)。 かつて、セレッソ大阪でも半年間プレーし、前園氏とは韓

        • 蹴球邂逅録 〜ダービー (ベオグラード🇷🇸)〜

          2019年2月下旬、極寒のベオグラード 。 ツルヴェナズヴェズダ(レッドスター)が、500m先に本拠地を構える、 ”憎っくき永遠のライバル”パルチザンを迎えての、ベオグラード ダービー当日。 この日、サポーター同士の場外乱闘を防ぐべく、ポリス総動員での導線規制が 敷かれていた。 僕たちは、聖サヴァ大聖堂から坂を下った、トラムが走る高架上の歩道に、かれこれ30分以上、立ち往生させられるハメに…。 身動きが取れず、もどかしさが募っていく野郎どもは、ビールをひっかけながら、前方に

        蹴球邂逅録 〜酒場 (スレブレニツァ🇧🇦)〜

          蹴球邂逅録 〜スパルタ (プラハ🇨🇿)〜

          ボヘミアンズと同じくプラハに拠点を置く、 チェコを代表する強豪、スパルタ・プラハ。 ”レジェンド”トマシュ・ロシツキの帰還がリリースされた直後の、 ホームゲームの風景。 ボヘミアンズに比して、ヌルさやほのぼの感は一切ナシ。 コンコースのソーセージ屋ですら、ガチ感がプンプンである。 古豪と強豪。 お互い首都にあるクラブ同士、 この雰囲気の差異は、一体、何に起因するのだろう。 キレイな感じで纏めたならば、、、 かたや、”在る”ことだけで歓びを感じるクラブ。 かたや、”勝つ”

          蹴球邂逅録 〜スパルタ (プラハ🇨🇿)〜

          蹴球邂逅録 〜ボヘミアンズ (プラハ🇨🇿)〜

          今まで、色んな国や地域へサッカー旅をしてきて、 「お気に入りのクラブはどこか?」 と聞かれることが、よくある。 正直、いつも答えに窮してしまう…。 それぞれの地で、多くの人たちとふれあってきて、 全てのクラブに思い出や親近感もあり、一つに絞れと言われても… というのが、目下のホンネである。 それに、何を持ってお気に入りかという基準も、 質問者の意図によってちがってもくるだろう。 それでも、絶対に外せないクラブが、一つだけある。 それは、チェコはプラハにある古豪、ボヘミアンズ

          蹴球邂逅録 〜ボヘミアンズ (プラハ🇨🇿)〜

          蹴球邂逅録 〜ブブゼラ (韓国🇰🇷)〜

          長らく、Jリーグのスタジアム演出に携わっている身として、 異国のスタジアムで、”なるほど!”と唸るモノに出会すことがある。 4部コヤン・シチズンFCでの、”エンヤ ”の数日後に足を運んだ、 韓国を代表する首都クラブ、FCソウルのホームゲームでのこと。 多くのサポーターが、クラブフラッグが装飾されたブブゼラを持参していた。 そして、グッズショップや露店では、大量にワゴンに積まれ、販売されていた。 ブブゼラといえば、、、 2010南アフリカW杯の際、アフリカの応援スタイルとし

          蹴球邂逅録 〜ブブゼラ (韓国🇰🇷)〜

          蹴球邂逅録 〜エンヤ (韓国🇰🇷)〜

          2017年6月中旬。 U-20W杯が韓国で開催されていた折、 友人がキャプテンを務めていた、ソウルに隣接するベッドタウン、 コヤン市をホームとするK3(4部相当)所属のコヤン・シチズンFCを訪れた。 当時のオーナー兼監督は、 元韓国代表DFにして、元Kリーグ最優秀レフェリーという 稀有な経歴を持つ、キム氏。 2008年にクラブを創設以来、 幾度も経営の危機に瀕しながらも、 自宅を抵当に入れ資金を工面したりと、 氏の並々ならぬ情熱と愛情で、なんとかここまでやって来た。 し

          蹴球邂逅録 〜エンヤ (韓国🇰🇷)〜

          蹴球邂逅録 〜Global & Local (バリ島🇮🇩)〜

          神々が棲む島とされ、 世界中から多くの人たちが訪れる、 インドネシア最大の観光地、バリ島。 彼の地をホームとするバリ・ユナイテッドは、 現地で仲良くなった関係者曰く、 「島にあった3つのクラブを統合して出来たクラブ」で、 それが”ユナイテッド”の由縁なのだそうだ。 「サポーターが何よりの名残さ。ゴール裏とバックスタンドでは、まったく別の  応援をしているんだよ」 とのことだった。 ホームゲーム、スタジアムに足を運んでみると、 さもありなんな光景が広がっていた。 ゴール裏

          蹴球邂逅録 〜Global & Local (バリ島🇮🇩)〜

          蹴球邂逅録 〜絶対的エース (マラン🇮🇩)〜

          インドネシアはマランをホームタウンとする、アレマFC。 国内では、熱狂的なサポーターが多いことで知られる、地元の不動産王が オーナーのリッチクラブである。 この日、カップ戦の準決勝2戦目がホームで行われた。 決勝進出を懸けた大一番である。 僕はアレマでプレーする、友人のスペイン人選手を応援すべく、 選手家族席で観戦していた。 試合のほうは、アレマは前半早々に退場者(友人)を出し、 劣勢に晒されながらも、なんとか凌ぎ、いざ、PK決着となった。 4人目が蹴り終え、2-3。 5

          蹴球邂逅録 〜絶対的エース (マラン🇮🇩)〜

          蹴球邂逅録 〜ゴール裏 (マドゥラ島🇮🇩)〜

          イスラム教徒の多い、インドネシア。 この日、スタンドでは、”同胞にエール”をと、 厳しい情勢にあるパレスチナの国旗が、至る所にはためいていた。 そして、ゴール裏で音頭を取っていたのは、なんと、、、 クラブカラーの赤いヒジャブを被った、サングラス姿の女性であった。 『オフサイド・ガールズ』(2006)という映画がある。 イスラム教の戒律により、女性のスポーツ観戦が禁止されていたイランで、 サッカーを愛する少女たちが、どうしても代表チームを応援したいがため、 スタジアムへの潜入

          蹴球邂逅録 〜ゴール裏 (マドゥラ島🇮🇩)〜

          蹴球邂逅録 〜アレ (マドゥラ島🇮🇩)〜

          人は彼を、”アレ・ガウーショ”と呼ぶ。 ジャワ州東部ラモンガン出身の生粋のインドネシア人であるが、本名が難解な故、憧れのブラジルをイメージした名を自ら名乗り、周囲にもそう呼ばせている。 彼は、マドゥラ・ユナイテッドで強化部として、主に外国人選手の事務周りや 日常生活における世話係をしている。 自身も、オマーン2部リーグ等でプレーした経験があり、流暢な英語と独学で 身に付けたポルトガル語を操る。 そして、異国で暮らす選手たちへの気配りも抜かりない。 この日、彼は、オーナーが上

          蹴球邂逅録 〜アレ (マドゥラ島🇮🇩)〜

          蹴球邂逅録 〜郷土愛 (マドゥラ島🇮🇩)〜

          優勝争いを繰り広げる宿敵との、一進一退の激闘を制し、 歓喜と昂奮と安堵が充満する、試合後のロッカールーム。 そこへ、満面の笑みを浮かべながら、クラブのオーナーが入ってきた。 ベンチに腰を下ろしていた選手・スタッフは立ち上がり、すぐさま彼を取り囲む。オーナーは、選手たちに二言三言、柔和に語りかけたのち、 徐ろにポケットから分厚い財布を抜き出し、高らかに叫んだのだった。 「今日のボーナス、上積みするぜーー!!!」と。 刹那、ゴール直後のごとく、選手たちの咆哮がこだました。 伝統

          蹴球邂逅録 〜郷土愛 (マドゥラ島🇮🇩)〜