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青年海外協力隊の「任国外旅行」ってなに?その実態を解説します


こんにちは。遠藤暁(@str_se)です。

本記事では『青年海外協力隊の任国外旅行』について解説していきます。


青年海外協力隊は『任国外旅行』という制度を利用することができます。

協力隊OB・OGの人たちは任国外旅行について知っていると思いますが、これから協力隊になる人はイマイチわからないんじゃないかと。


ということで、本記事が解決する疑問は以下の通り。

・任国外旅行ってどんな制度?
・どこの国へ旅行に行ける?
・任国外旅行にはどんな良さがある?
・注意点は?


上記のような疑問を解決していきます。



ちなみに筆者の青年海外協力隊歴は以下の通りです。

・2017年2月〜3月→短期ボランティア、ボリビア派遣(職種:サッカー)
・2018年2月〜3月→短期ボランティア、エチオピア派遣(職種:サッカー)
・2018年6月〜2020年6月→長期ボランティア、ボリビア派遣(職種:サッカー)


これまで3度も協力隊を経験済みなので、記事の信頼性はあるかと思います。

ということで早速、任国外旅行について解説していきます。




青年海外協力隊の「任国外旅行」とは?


任国外旅行には『旅行』というワードが含まれているので、ほとんどの人はなんとなく「旅行に行ける制度でしょ」と想像するかと思います。

その通り。旅行に関する制度です。

もう少し詳しく掘り下げていきましょう。




自分の派遣国以外の国に旅行できる制度


『任国』とは、協力隊が活動している国のこと。

ぼくはボリビア隊員として活動していたため、ぼくの任国はボリビアです。


当然ですが、ペルーで活動している隊員の任国はペルー、ブラジルで活動している隊員の任国はブラジルとなります。


つまり任国外旅行とは、自分が活動している『任国』の『外』へ『旅行』ができる制度です。




年間最高20日間の旅行制度


任国外旅行は1年間で最大20日まで。青年海外協力隊の任期は2年間なので、合計最大40日。

1年間の中で20日なので、1回の旅行でまとめて20日間も可能ですし、10日間の旅行を年2回行うことも可能です。


もちろん20日分全部使わないといけないわけではありません。


・配属先が20日間分も休みを許可してくれない
・活動が忙しくてそんなに休めない
・そもそもそんなに旅行に行きたくない


隊員それぞれいろんな事情があります。

任国外旅行はあくまでもおまけ的な制度であることは頭に入れておいてください。



✔︎『1年間』のカウント

『1年間の中で最大20日間』と言われると、多くの人は『1月1日〜12月31日の間に20日間』とイメージするかと思います。

ですが、そうではありません。

青年海外協力隊として任国に派遣されたその日から1年間です。



✔︎実際のケース

ぼくのケースを例に見ていきましょう。

ぼくは2018年度1次隊として、2018年6月28日に南米のボリビアに到着しました。


この場合、任国外旅行の日数の割り当ては以下のようになります。


・2018年6月28日〜2019年6月27日までの1年間で20日分
・2019年6月28日〜2020年6月27日までの1年間で20日分

なんとなくイメージできたでしょうか。


任国に到着したその日から1年間』を一括りとして、20日分の任国外旅行が可能になります。




任国外旅行として行ける国


任国以外の国ならどこへでも行けるというわけではありません。

それぞれの派遣国によって、旅行できる国は違います。


例えばぼくの任国であったボリビアの場合、任国外旅行で行ける国は以下の国々でした。


・メキシコ
・キューバ
・コスタリカ
・ベリーズ
・セントビンセント
・セントルシア
・ドミニカ共和国
・ニカラグア
・パナマ
・ホンジュラス
・チリ
・ウルグアイ
・エクアドル
・ペルー
・パラグアイ
・ブラジル
・アルゼンチン


上記の中南米17ヵ国に加え、JICA国別安全対策措置の出ていないOECD加盟国である

・クロアチア
・UAE
・カタール
・モーリシャス
・シンガポール
・ロシア
・ブルネイ
・トリニダード・トバゴ
・グレナダ

上記の国々へ旅行ができました。

もちろん日本へ一時帰国することもできます。


どの国へ任国外旅行ができるかは派遣国によって異なるので、協力隊に合格したら自分で確認するようにしましょう。




任国外旅行の費用


青年海外協力隊は、JICAから結構なお金が支給されます。

・渡航費
・現地生活費
・家賃
・国内手当

などなど。


お金にに関する情報は以下の記事を参考にしてください。



しかし、任国外旅行に関する費用は支給されません。すべて自費です。

まぁ旅行なので当たり前ですよね。


お金に余裕がある人は贅沢な旅をしてもいいでしょう。




任国外旅行の良さ


さて。ここまで任国外旅行について説明してきました。

ぼく自身過去に青年海外協力隊として任国外旅行という制度を利用したことがあり、その良さは十分把握しているつもりです。


ということでここからは任国外旅行の良さを紹介していきます。



✔︎いいリフレッシュになる

旅行なので当然ですが、いいリフレッシュになりますね。

・活動の疲れや忙しさ
・慣れない地での生活

こういったものを一旦リセットすることができます。


慣れない地で慣れない言語を使って生活するというのは、思った以上にストレスがかかりますし疲れも溜まるもの

まぁ旅行先も慣れない地だし慣れない言語を使うことにはなりますが、『旅行』という感覚があるだけで気持ち的に楽なんですよね。


任国外旅行は間違いなくいい気分転換になります。



✔︎派遣国と比較できる

ぼくの派遣国はボリビアでしたが、任期中に

・ブラジル
・ペルー
・アルゼンチン

この3ヶ国を旅行しました。


ボリビアは『南米の最貧国』と聞いていたので何もないイメージを持っていたんですが、日本からボリビアに着いたときは「結構栄えてるしいろいろあるやん」なんて思っていました。

ですが上記の3ヶ国は圧倒的にボリビアより栄えていて、『ボリビアが南米最貧国と言われる理由』がハッキリと理解できたんです。


上記のような『発展具合』だけでなく、

・人々の性格や感覚
・その国々の文化
・物価やレストランの料理の値段

こういったものを自分の派遣国と比較できるので、いろんな気づきがあって面白いです。


視野や考え方を広げるためにも、任国外旅行という制度はありがたいなと感じますね。



✔︎他の国の隊員と会える

ぼくがブラジルやペルーを旅行したときは、その国々で活動している隊員や他の国から同じようにプラジルやペルーに旅行している隊員と会いました。


派遣前訓練を一緒に行った同期がいろんな国で活動しているので、旅行先で彼(彼女)らと久しぶりに会うのはめちゃくちゃ嬉しいし楽しいです。


もちろん同期とは会わずに観光地を巡りまくるというのもアリですが、せっかくなら同期と久しぶりに会っていろんな話をすることをオススメします

いい刺激にもなりますし、活動の参考になるような情報も得られるかもしれませんからね。


派遣前訓練に関しては以下の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。




任国外旅行の注意点


さいごにいくつか任国外旅行の注意点を述べておきます。


注意点は以下の通り。

・いろんな制約がある
・すべて事前に準備が必要
・突然旅行が禁止されることもある
・帰国間際は任国外旅行はできない

順に解説していきます。



✔︎いろんな制約がある

JICA事務所がある国々では、それぞれの事務所がその国の治安や安全状況を常に把握し、行ってはいけない地域などを決めています。

ぼくはブラジルに旅行へ行ったと書きましたが、ブラジルならどこへでも行けるかというとそうではありません。


ぼくがブラジルを旅行した当時は、リオ・デ・ジャネイロやサンパウロは安全上の理由から旅行禁止でした。



✔︎移動手段

旅行国内の移動も、

・都市間の移動は飛行機のみ
・夜行バスの利用は禁止

といった制限があることも。


その時の安全状況によって旅行できる地域、利用できる移動手段は違ってくるので、旅行前にしっかり確認する必要があります。



✔︎すべて事前に準備が必要

上記で述べた制約の確認は、当然ですが旅行する前に調べないといけません。

それに加えて、

・旅行中に滞在するホテル
・利用するフライト、電車、バス
・旅行の全日程

これらをすべて事前に決め、用意されているフォーマットに記入してJICA事務所に提出する必要があります。


旅行の詳細をJICAに提出すると

・このホテルは安全上の理由により許可できないので違うホテルにしてください
・この都市間移動はバスの使用は禁止なので別の移動手段でお願いします
・この旅程でOKです

などなど、変更を指示されるor許可が出ます。


変更を指示された場合はその指示に従い、許可が出たらそこからホテルやフライトの予約に移るという流れ。


ここで大切なのは。JICAに提出するより先にホテルやフライトを予約しないこと。

上記で述べたように、なんらかの理由でホテルやフライトが却下されることもあります。


もし先に予約してしまうと、却下されたらいちいちキャンセルしないといけないので面倒です。

キャンセル料がかかることもあるので、JICAに旅程を提出しOKが出てから諸々の予約に移るようにしましょう。



✔︎突然旅行が禁止されることもある

すべての旅程を計画し、JICAに提出し、OKが出たとしても、旅行ができなくなる可能性もあることは知っておいてください。


こればかりはどうしようもないので、受け入れるしかありません。

ぼくは思いっきりこの被害を受けました。



✔︎夢のチリ旅行

ぼくは2019年の年末から2020年の年始にかけて、チリとアルゼンチンのパタゴニアを旅行する予定でした。

この旅程を計画したのは2019年の7月頃。日本から友達が来て一緒に旅行する予定だったので、かなり早めに旅行の計画を立てました。


そしてJICAに旅程を提出し、無事にOKをもらいホテルやフライトをすべて予約。あとは旅行の時期を待つだけでした。


しかし2019年の10月頃、チリでデモが起きて治安が悪化したためチリへの渡航が禁止されたんです

仕方なくホテルやフライトはキャンセルし、旅程の変更に伴い別のホテルやフライトを予約し直さないといけないハメに。

キャンセル料や新たなフライトの予約のせいで、合計10万円くらい無駄にしました


こういったことが起こるリスクがあることは必ず頭に入れておいてください。

ちなみにぼくの実体験から、ホテルやフライトに関しては多少値段が上がったとしてもキャンセル料が無料のものを予約しておくことを全力でオススメします。



✔︎帰国間際は任国外旅行はできない

任期を終えて日本に帰国する日の1ヶ月ほど前からは、任国外旅行はできません。

活動のさいごのまとめや最終報告会の準備など、やるべきことがいろいろあるからですね。


まぁ2年間の任期の最後を旅行で終えようと考える人はなかなかいないと思いますが、任期終了間際は任国外旅行はできないことは知っておきましょう。

20日分の旅行日数を全部使い切りたいと考えている人は、任期終了の1ヶ月前までを目安に使い切るように計画してください。




まとめ


ということで、青年海外協力隊の任国外旅行について解説してきました。

その概要や良さ、注意点を理解できたかと思います。


協力隊として活動をしっかりやることは当然ですが、たまにはリフレッシュすることも大切です。

これから協力隊として派遣される人たちは、任国外旅行という制度を活用しつつ2年間の任期を大いに楽しんでください。


以上です。




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