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【読書のキロク】対話の持つ力

こんばんは、"もっちゃん"です。
週末は良い天気でした。桜もまだ見頃で、良い感じに外でリフレッシュできましたね。

今回も「読書のキロク」です。
さすがに学校に毎日勤務しているときよりも、読書の時間が若干増えている実感があります。

○今回読んだ本:『対話力』 著者:白水始 東洋館出版社

以前の読書のキロクで挙げた本『私たちはどう学んでいるのか』でも触れられていた本です。

選ぶ本の内容が認知科学に偏りがちで申し訳ありません!
ただ、非常に参考になる本でした。

⓪概要

「人はいかに学ぶのか?」
認知科学の「理論」、10年に及ぶ「授業実践」に裏づけられた「学び」のエビデンスに基づき、この問いの本質に迫ります。
著者は、国研ライブラリー『資質・能力[理論編]』のメイン執筆者の一人・白水始先生
本書は、協調学習の理論と実践を通じて、新しい学習指導要領でも最重要視されている「対話的な学び」をいかに充実すればよいのか、「深い理解」へと導く授業をどうやってデザインすればよいのかをつまびらかにします。

東洋館出版社 商品説明より

認知科学的な視点から授業それ自体における子どもたちの学びについて、またそれに関わる教員の学びについても書かれていました。

以下では、この本でいう「対話力」について、また、対話を促すための授業デザインの1つである「知識構成型ジグソー法」について少し書いた後に、考えたことを記述しておきます。

①「対話力」について(イメージする対話力と少し違う!?)

「対話力」と聞くと、多くの方は「対話をする力」「対話を通して相手とコミュニケーションをとる能力」「対話で相手と共通理解を得る力」というように、個人の持つ力やスキルであるとイメージするかと思います。
現に、「対話力」をそのように捉え、取り上げている書籍等も数多く存在します。

ただ、本書における「対話力」は、上記とは少し異なるようにも思います。
どちらかというと、「対話そのものが持つ力」といった感じでしょうか。人の能力に落とし込むとするなら、「対話から学ぶ力」というようになるようです。

基本的に構成主義的な立場で書かれていますが、対話によってその場に何か生じうる、個に新たなフィードバックが生じる、ということを想定して書かれています。

②「知識構成型ジグソー法」とは?

上記を踏まえ、本書では「知識構成型ジグソー法」を推し、数々の実践例、そこで見られた対話(子どもたちの主体的に取り組む姿が見られたもの等)が紹介されています。

「知識構成型ジグソー法」は、教育関係者であればどこかで耳にするであろう「ジグソー法(学習)」に、若干のステップを付け加えた形です。
その若干のステップというのは、
①エキスパート活動前に、問いに対して“個”で考えること
②ジグソー後にクロストークを挟むこと
③”個”に戻して考えを深めること
のようです。

当たり前に行ってきている先生方も多いように思いますが、改めてそれぞれのステップについて考えてみることが、とても勉強になります。
また、自分のこれまでの授業スタイルに関しても振り返るきっかけとなるのではないでしょうか。

③本を読んで考えたこと

本書の趣旨からは外れてしまうかもしれませんが、この本の中で、授業研究会や教員の学びについて触れている箇所もありました。
そこで印象的だった一部を引用したいと思います。

授業研究は「どのような状況が子どもの学ぶ力を引き出すか」というケースの積み重ねであり、デザイン原則はその「学ぶ力の引き出し方」の抽象化だ
(中略)
そのケースの積み重ねと抽象化を学びにかかわる人すべてが主体的にできるようにしよう、というのが実践学だ

本書籍 第7章 対話から創造へ p275

これまで実践と研究を積み重ねてきた方々であり、言葉の重みを感じます。
「知識構成型ジグソー法」というように、こういうデザイン原則を提唱するのは非常に勇気のいることだと思います。
理論的なバックグラウンドをもとに、多くの協力者を得ながら実践・研究を積み重ねてきた様相がうかがえます。

私も今後何かしら研究を深めていきたい所存ではありますが、浅はかな薄っぺらなことを言うだけにならぬよう、十分に先人たちの積み重ねを生かしていきたいと思います。

そんなことを考えた今日この頃でした。
なんとなく、いらんことを考えながら本を読んでいる気もする…。


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