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私はキャバクラ嬢という仕事を職業にしています。そんなキャバクラについて思うことです。

お客さまは座って私を指名するだけで1時間で2万円近くのお金を払ってくれます。そして、更にドリンクなど追加のご注文をすると一杯私がなにかを飲むだけで2000円以上するドリンクにtaxが30%かかったものを支払うことになります。シャンパンなんて入れたら、5万、10万、それ以上も平気でお会計は上がっていきます。

私はそれだけのお金を払う価値や楽しさをお客様に提供できていたのでしょうか?

今では自分自身を売る仕事のはずなのに、自分という商品の価値がわからなくなってしまいました。自分自身の価値がわからなくなってしまった私は、そんな物を売ろうとしていいのかとすら思ってしまうのです。


初めての水商売

私は初めて水商売を始めたのは歌舞伎町ではなく吉祥寺でした。入店して初日から指名が貰えて、ただお酒を飲んで喋るだけでお金が貰えるなんて、こんな楽な仕事があったのかー!!!と本当に水商売を甘く見ていました。

こんな楽な仕事はないよ

本気でそう思っていた私は就職活動も辞めて、引越し、歌舞伎町という街にでてきました。


歌舞伎町

新宿に引越してきて最初は紹介で深夜店に入りました。体験入店の時に場内指名を貰ったお客様が、入店祝いにシャンパンを入れにきてくれました。

やっぱり歌舞伎町も水商売も簡単じゃん

舐め腐っていた私はそこから、更に給料をあげてくれるお店に移籍→そこそこの地位をキープ→更に給料をあげてくれるお店に移籍するを繰り返しました。

それが良いことなのかはわかりませんが、私のお客様は私に絶対的な人が多く、店が変わる変わらないは対してお客様に影響がなかったのもあります。


私という商品

私は特別かわいいわけでもスタイルがいい訳でもありません。

それを売るために、私はとにかくフリーで着いたお客様にはどれだけ笑わせられるかに力を注いでいました。面白いし盛り上がっているからノリで指名しちゃうが狙いです。

あとはフリーだろうが場内だろうが指名で安い金額のお客さんでも、呼ばれたら全てにアフターしていました。お客様より先に帰らないで昼までだろうが付き合っていました。休日も予定がない限りは呼び出されればすぐ行っていました。

連絡は基本2時間おきには起きて返したり、電話は全て出ていました。起きたら支度をしながら電話をし、ラインを返し続ける。

1年に一回誕生日にしか来ないお客さんでも毎日連絡したり、今月店で5万しか使ってないお客様でも休みに呼ばれたら行っていました。

安い女です。

対して自分の売りがない私は、時間をひたすら使ってとにかくマメに、とにかくフットワークを軽くして、お客様の「いいやつ」というポジションを勝ち取るしか指名の取り方がわかりませんでした。全て上手くいくわけじゃないですが、数うち当たるです。「こいついい奴だからたまには店に行ってやらなきゃな」という気持ちにさせ、そこから友営→飲営に持ち込むのが流れでした。

私はお酒がすき!!

実際そうですが、アフターや同伴やプライベートで呼び出された時も鬼のように飲むことで、店に来てもらった時にお酒を煽っても「こいつは売上とか関係なく飲むやつだから」といった程にできるので、普段から過剰飲酒しまくることで、店で過剰飲酒して会計が上がってもお客様は私が「頑張ってるなあー」というよりは、「ほんとによく飲むなあ」「酒好きすぎだろ」と、お客様が単価を上げられている感を感じなくなるからです。

私には色恋や枕ができないため、お客様と切れるという概念があまりありませんでした。基本的にお客様とは何年もみんな長く続いていました。本当に年1の人なんかも含めたら、顧客数は数え切れないレベルでした。

やっぱり水商売って簡単だな

結局そう思ってしまっていました。

私は24時間源氏名の私で、プライベートは捨てていました。そんな生活が当たり前でした。シャンパンのために土下座したら入れてやるよと言われたらしたし、瓶で飲めと言われたら飲みました。ショットをたくさん並べられて全て飲めと言われたら全て飲みました。

それは自分の指名の席だけではなくて、場内やヘルプでも変わりなくやっていました。店の女の子の席で身体を張れば、その女の子は私に指名をふってくれたり、アフターでタクシー代をくれたりします。少しでも多く稼ぐためなら私はプライドなんていりませんでした。私みたいな女ですが、飲むという一点だけで、お店の女の子から嫌われたことはあまりありませんでした。

私の売り方はほんとに醜いし、効率的じゃないし、汚れ役なのはわかっています。でも顔もスタイルも良くないのだから、全力で笑わせて楽しませて、「こいつと飲むとおもろいな!」と思わせることしか、私にはお客様に店に来て貰う方法がわかりませんでした。それ以外自分の売り方がわかりませんでした。

「ブス」と言われようが暴言を吐かれようが、接客中は笑っていました。「視力あってるー?」もしかして「ピカソ的な感覚の持ち主ー?」なんて言って笑っていました。傷ついりしません。だって今は仕事中だから。意外とそんな暴言を吐く人ってキャストから嫌われるから、ちゃかしてたら指名になったりもしますし、0よりは1という気持ちで常にお客様を狙っていました。毎回「いつものブス指名で」なんて言って入ってくるお客様ですらいたのですから。

意外にも私は、連絡や時間を使うのにもストレスは感じていませんでした。頑張ったら頑張った分売上も指名も貰えるし、もちろん頑張っても来なかったお客様もたくさんいます。ただ私ができた売り方はこれだけだったのです。0よりは1。そう思って全てのお客様に全力で向き合って、全力で指名を取りに行っていました。

本当はそんな毎日がしんどくて疲れていたのかも知れませんが、そんな生活が長すぎてそれがつらいのかしんどいのかすらわかりませんでした。

他にも私が指名を貰うためにやっていたことはたくさんありますが、割愛しましょう。昔の話ですし、このnoteはキャバ嬢の指南なんて大それた気持ちで書いているわけではないので。


そんな私が鬱病になりました。

みんなお客様は、私が常に明るいし楽しいから指名してくれていたのだと思います。

鬱病になり、それに気づかずよくわからないまま精神が壊れているのを隠して出勤していました。だんだんとリストカットは酷くなり、長袖のドレスをたくさん買うようになりました。

お客様は壊れていく私を見ていながらも、それでも心配して指名し続けてくれていた方もいました。逆に「楽しくて明るくない無理しているお前なんてみたくない」と離れていったお客様もたくさんいました。

私を指名していた金って無駄だったな。

私はお客様に、そう思って欲しくなかったです。切れたお客様にも、あいつを指名してよかったな。楽しかったな。と思って貰えるように、常に全力で接客していました。

こんな私にお金を払って指名してくれて、選んでくれてありがとう。

違う子を指名したり、アイドルにハマったり、シンプルに私に飽きたのかもしれませんが、切れたお客様でも、私と過ごした時間は人生で楽しかった思い出だったなと思って欲しかったのです。ただのエゴかも知れませんが。だから、お客様たちには、今元気で楽しい人生を送ってくれていたら嬉しいです。これは綺麗事ではなく本当にそう思っています。

私はキャバクラ嬢ですが、人間です。お客様のためにといいながら、自分が指名が欲しいから頑張っていた部分もあったのかも知れません。それでも、私もただの人間なんです。お客様のことを本気で心配したり、困っていたら助けたいと思うし、私が与えて貰えた分なにかで返せたらなと思って働いていました。

そんなお客様が急になにも言わずに連絡がつかなくなったら心配します。お客様は切る時切るとは言ってくれないし、理由もいってくれなくて、私はただただブロックされたラインに文章を送り続けていたりしました。

私は人に嫌われることを極度に恐れる保守的な性格ですが、お客様はお金を払ってまで私に会いたいと思ってくれる貴重で素敵な存在で、そんなお客様が離れていく現実に耐えきれませんでした。依存していたのだと思います、人生で初めて私に価値を与えてくれたお客様たちに。

結局ただの客とキャバクラ嬢じゃないか

お客様との信頼関係なんて、なかったんですよね、最初から。人と人としての関係なんて築けていると思えていた私が愚かでどうしようもなく無知でした。

私が一方的に信頼や友情のようなものを感じていただけで、お客様からしたら私はただの1キャバクラ嬢でしかなかったのです。


私は、自分自身がわからなくなっていって、自分では普通のつもりでも、周りから見たら明らかにヤク中か鬱病で、様子がおかしかったのだと思います。

今まで何年も指名を貰っていたお客様がどんどん離れていき、売上も下がる、そしてまた病む。負のループが始まりました。

私はなにかおかしいのかな。私は楽しいと思っているよ。
そもそも最初から明るくて楽しい私って本当の私だったのかな。私は今ほんとに楽しいのかな。

自分を見失った私は、今まで自分で自分自身を洗脳することで水商売を乗り切ってきたことに気がついてしまいました。

私はかわいい!毎日楽しい!お酒もだいすき!お客さんはみんなだいすき!お客さんはみんないい人しかいない!
先輩は優しい!後輩も慕ってくれてる!同業は仲間だ!

そんな洗脳から急に溶けてしまったのです。


お客様は私のことを心から考えてくれてる人なんていないし、所詮金で成り立った関係だ。私もお客様からしたらただの都合良い安いキャバ嬢だ。先輩も後輩も私を都合良く利用している。同業は信じられないし、裏切る。

みんな嘘つきだ。

そんな、現実に目を向けてしまったら、つらすぎて、息ができなきなりそうでした。なにを目標にして誰を信じて、どうやって生きていけばいいかがわからなくなりました。


たぶん今まで見て見ぬふりをして、薄っぺらい人間関係しか作ってこれなかったことへの代償がこれなのかも知れません。

人間関係が苦手な私は、ただ周りに嫌われず汚れ役をして周りに利用されているぐらいがちょうど良い生き方だったのです。利用されていることを必要とされていると思い込み、尽くすのが楽な生き方だったのです。

現実に気づいてしまった私は、真剣に周りとどう付き合っていったらいいのか、なにもわからなくなってしまっていました。

そんな毎日を誤魔化しながら働いていた私ですが、ある日ついに限界がきたのでしょう。

自殺未遂をしてその日店をクビになりました。

それは、今までで一番売上をあげた月でした。その時点でナンバー2で、締め日でナンバー1を取ろうと、水商売ではじめてナンバー1というものに拘った時でした。

私は水商売でナンバーというものに興味がなく、自分がいくら売れて、いくら稼げるかにしか興味がありませんでした。

私がナンバー1を取りたいと思った時点でもはや迷走していたのかも知れません。私はお客様が離れていき自分の価値が下がっていくのを感じると同時に、その隙間をナンバーという物で自分の価値を生み出そうとして、勝手に自滅しました。


価値

仕事を失って、お客さんも失った私は、なにをしたらいいかわからずに引きこもりになりました。

キャバクラという場所は、私にとって唯一の場所でした。自分がお金を払ってまで会いに来てくれる価値がある存在だと認めて貰えて、先輩や後輩から利用されているだけにしろ必要として貰えて、自分自身というものに価値があると感じさせて貰える場所でした。自己肯定感が極度に低い私はキャバクラのおかげで自分を保てていたのだと思います。

だから私はキャバクラが好きでキャバクラ嬢という仕事を長年続けられたのだと思います。


わざわざ心配して会いにきてくれた友達にも、本当にぶっ壊れた人間を目の当たりにして引いて距離をおかれてしまいました。まさか、あんなに明るかった私が鬱病になるなんて、それもこんなにも人として壊れてしまう程病んでしまっいってしまっているなんて、実際会うまで友達も予想できなかったのだと思います。

友達ですら、私の鬱病を抱えるには重すぎるんた。

そう思ったら瞬間に私は携帯を壊しました。もはや誰にも会いたくないし、誰とでも連絡を取りたくなくりました。あんなに手放さなかった携帯も何年もかけて集めたお客様の連絡先も、もはや全てがどうでもよくなりました。

誰も信用することができなくなりました。


終わったコンテンツ

現在、数年かけて鬱病という病気と向き合い、やっと良くなってきたのではと、キャバクラに復帰した私ですが、一切売れていません。

自分自身の売り方も頑張り方も、なにもかもわからなくなってしまいました。

人は皆、仮面を被るが、長く被り続けると皮ごと剥がさないと外れなくなってしまう。

私は長いこと源氏名の私で生きてきました。その仮面が皮ごと剥がれて、剥がすときには私の精神は粉々になってしまったみたいです。

うまく笑えない、精神病のイカれた私に価値はあるのでしょうか。誰がこんな私にお金を払ってまで会いたいと思えるのでしょうか。

キャバクラは自分が商品なのです。自分のことが嫌いな私は、もはやそんな自分を売ること自体を悪徳商売のようにさえ感じてくるようになりました。

「自分のような粗悪品でなんの取り柄もない人間を指名してくれる訳ない。」と自己肯定感が下がりすぎた私は、もう自分の接客に自信も持てませんし、なにを頑張ればいいのか、今から頑張れるのかすらわかりません。

正直、もう潮時なのかも知れません。


悪徳商売

自分のような粗悪品を買ってもらおうとするのって悪徳商売と変わりませんよね。私は今、自分自身に商品価値を見出せていません。当然自分が自信を持っていない物を売ろうとしても、売れるわけがありません。


先週自殺未遂をしたことから、鬱病が今とても酷いことは自分でもわかっています。休むべきなのもわかっています。今仕事をしてもうまくいくはずがないのもわかっています。

私は一度水商売を辞めて、貯金も親の脛も齧りながら、歌舞伎町から離れて鬱病という病気を治そうと頑張ってきました。リストカットもODも実際1年近く辞めていました。

だから、また何ヶ月も休めるほどの貯蓄なんてもうないんです。

人混みで泣いてしまうくらいパニック障害はまた酷くなり、テレビは見れず、漫画も本も読み方がわかりません。薬を飲む量も酒を飲む量も増え、意味もなく家で泣き、腕を切り刻む。

ああ、また戻ってしまったんだ。

治りかけてきたと思っていた鬱病が振り出しに戻ってしまった。

事実に家族は絶望し、私はがっかりというより、諦めのような気持ちが強いです。

私の鬱病は治らない

色んな人に「休んだほうがいい」と言われますが、無理なんです。だってお金がなければ生活できないんですよ。

誰かに相談しなよとよく言われますが、できないのです。私の鬱病は無償で誰かに支えて貰えるほど軽くはないことを自分でわかっているからです。


誰にも頼れない。仕事は休めない。精神の破綻は止めらない。


休んでというなら、もういっそ死なせてよ。








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