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[閉鎖病棟入院日記]患者に必要なのは治療ではなく金銭的救済と繋がりである

精神科の閉鎖病棟に入院してから約1週間が経ちました。病棟での生活にも慣れはじめ、生活のペースがつかめてきました。

同時に入院するレベルの症状の重い患者に必要なのは治療ではなく金銭的救済と繋がりであるということに気づいたのでそれについて書いていきたいと思います。

治療しても治らない患者がほとんどである

これは以前にも書きましたが、精神科の急性期病棟に入院しているような患者の多くは双極性障害や統合失調症、多重人格など、もはや治療の施しようのない患者がほとんどです。

他人が医者に診察してもらっているのを聞く機会があるのですが、どう考えても治療が難航していて治る気配がない人が見受けられます。

そんな人たちに必要なのは、さらに薬を追加して副作用を増やしてまで、症状を無理やり抑えつけることなのでしょうか?

私は少なくともそうは思いません。むしろ薬物治療は必要最低限度だけやって、あとは金銭的な支援と仲間とのつながりを作ってあげることの方が大事なのではないかと思います。

金銭的援助を受けた未来

ここで金銭的援助と書いたのは、やはり精神疾患になると金銭的に苦しい状況に陥ってしまう人が多いからです。

メンタル疾患を抱えながら働ける人でも、実際には生活保護以下の暮らしを強いられている人が少なくありません。

働いている精神障害者の平均月収は12万円であり、これは生活保護の受給額よりも低いと言えます。

そうした人に必要なのは無理に働かせることではなく、適切に生活保護や障害年金などに頼る術を教えることです。

金銭的に余裕が出れば、将来の不安がなくなり、病気の治療に対してもプラスに働く可能性があります。

私はそもそもメンタル疾患を抱えた人が働くべきだとは1ミリも思いません。むしろ福祉の支援を受けた上で自分の好きなことをすれば良いと思っています。

それがボランティアであれ、学問であれ、何にしても本人が幸せだと思えることに熱中して取り組むのが良いと思います。

ふらっと立ち寄れる場所づくり

ただ、金銭的な援助だけでは必要十分な支援だとは思いません。人はどうしても他の人に支えられて生きるものであるし、他人との関係性を精神的な支えとして必要とするからです。

病院ではデイケアなどのサービスを提供することで「擬似的な社会」をそこに作り出し患者に体験させる取り組みを行っています。

しかしそれではどこか堅苦しいというか、もう少しカジュアルに付き合える関係性の仲間を作れる取り組みをしても良いのではないかと思います。

言ってみれば、「居酒屋の飲み友達」的な関係の仲間を作れる場所が必要だと思うのです。

入院中の作業療法もデイケアと同じような役割を果たしますが、やってみて思ったのは何か目的もなくふらっと立ち寄れるような場所づくりが大切な気がします。

社会復帰以外のゴール設定

現在のデイケアなどは治療や社会復帰を全面に出しすぎています。私が入院してる患者を実際に見た感想としては、社会復帰をしてまともな仕事をするのは無理だろうと思いました。

社会復帰を目的に治療プログラムを組むのではなく、あくまでその場を楽しむためだけに集まれる場所のようなものがあれば良いのにと思います。

治療者である医師や看護師、作業療法士などは、まるで社会復帰がゴールかのようにデイケアへの参加を促してきます。

A型B型作業所も最終的なゴールは就労であり、そのための訓練と銘打って行われている作業所が多くあります。

しかし患者側からするとそんなものはうんざりなのです。どうせ治療しても良くならないのなら、今この瞬間を心地よく過ごせれば良いと考えている人もいるに違いありません。

社会に復帰して立派に仕事をすることが日本ではやたらと持て囃されますが、それ以外のゴールがあっても良いのではないかと思うのです。

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