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言葉のことばかり【・・・め】

大盛りの甘いワナ

初めて入る食べ物屋さんで
「どのくらいの量なんだろ」
って思うことありません?

特にソバ屋とかラーメン屋とかね。
先日も、昼に初めて行った店で、
皿うどん食べようと思って一瞬迷った…。

で、まわりを見渡してみると、
はす向かいのサラリーマンが
皿うどん、食べてたんですね。

これがけっこう小さめ
なんだよ。ちょっとさびしいね。
こりゃやっぱり大盛りにするか…。

ってわけで、
大盛りを注文したわけですが、
そんときの店員の態度が、
ちょっと不審だった。

「大盛り…ですね」

このワンポーズで、
気づくべきだったんですね。
出てきたら、すんごい量だった…。

うひー…
もちろん、食べましたけどね全部。
バリバリと。

実は、
はす向かいのサラリーマンが食べてたやつは
小盛り皿うどんと茶碗蒸しのセット
だったんですねえ…。

まあ、今回のケースは、
思わぬ落とし穴でしたが、

この「量」ってやつで
外すことって結構ありますよね。

せっかく来たのに足りないのはイヤなので、
迷ったときはつい大盛りにしてしまいます。
で、いつも食べ過ぎ…。

迷ったときは小さめに。
…できないんですよねえ。なかなか

大きめ小さめの目

大きめとか小さめの「め」って
たぶん「目」ですよね。

おおき‐め〔おほき‐〕【大きめ】 の解説
[名・形動]比較的大きいと感じること。また、そのさま。「野菜を—に切る」

デジタル大辞泉(小学館)

目で見た感じ、ってこと。
目分量。

「め」は感覚で、実際に測ったわけじゃない。
予測。このくらいかな〜みたいな。

大目

「おおめにみる」って言葉ありますよね。
これ、漢字で書くと「大目」らしい。

おおめ【大目】 に 見る
① 分量を少し多いくらいの加減に見積もる。 ② (大ざっぱに見積もりをする、こまかなところは見ないという意から) きびしくとがめないで、寛大に物事を処理する。

精選版 日本国語大辞典

これも、もともとは分量なんですね。
だったら「多め」じゃないかと思うんですが

大雑把に見ることから
寛大に処理する、ってなったみたい。

大きい目で見る。
大きな心で受け入れる…みたいなことか?

目(もく)

この「め」の正体には
もうひとつ怪しい候補があります。
大き目の目は「種類」の単位ではないか。

「項目」とかの「もく」です。
「項」も「目」も何かを区分するときに
使うものですよね。

目(もく)
生物を分類するときの類別に用いる一段階の名称。綱と科の中間にある段階であって、綱との間には亜綱や上目など、また科との間には亜目や上科などの段階が置かれることが多い。

小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

なるほど。
「大きめ」も大きいという分類、
大きいゾーンに入ってるということで、
なんとなくその範囲にいるって感じの
アバウトさがある。ってのもわかります。

真相がわかんなくなってきました。

試着の苦いワナ

なぜかふと思い出したんですが、
昔、服を買いに行ったとき、

デザインは好きなんだけど
ちょっと小さめかなあ、と思った服を
どうしようかと見ていたら
店員が近づいてきて試着してみては、と

試着室で着てみて
やっぱりウエストがキツい。

外から「どうですか〜」と声がして
グッとお腹引っ込めてカーテン開けたら

「お似合いですよ〜」だって…。

鏡に映った自分を見たら
真ん中だけ凹んだヒョウタンみたいだった。

いやこれ大丈夫ですかね?って言ったら
うーん、ちょっと小さめですかね。だって

これはどう控えめに考えても
ただ売りたいだけだな、と思いました。

やっぱりこの「め」の分量は
その人の思い込み100%で決まるようです。

その後いろいろ調べまして「め」
推量の助動詞「む」の已然形だということが
わかりました。
やっぱり予測で使うんですね。

ちなみに「控えめに言う」の反対語は
「率直に言う」みたいです。

あの試着室で率直に言われたとしても
それはそれで気持ちは落ち目ですね。
(ちなみにこのめは目方(重さ)の目です)

次回の言葉は「果てしない」です。


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