現状に満足しない

「まだまだ満足できる結果じゃない」
「ここは通過点」
「世界を目指すにはまだまだ」
よくスポーツの試合後のインタビュー等で耳にする言葉である。
志の高い言葉のように聞こえるが、ここでは否定的な意見を述べたい。

このような事をずっと言っていると、徐々に自分の理想と現実に乖離が生まれてくる。
「こんなはずじゃない」
「もっとやれるはず」
と、自分を責めるようになる。
結果、オーバートレーニングや、試合中の明らかなオーバーペースに繋がり、結果につながらず自分を追い詰めてしまう。

最近、試合に出ていて、学生たちが明らかなオーバーペースで突っ込んでいくところを見ていると、上記のような心境になっているのではないかと感じる。
良い結果を求めるあまり、自分自身が見えておらず、見えない何かと戦っている。

そうして自信を失っていく。
自信とは、自分ができる事を理解している事である。
自分が見えなくなり、自分に何ができるかわからなくなると、次第に自信を失っていく。

そのような心理状態で、どうすれば満足する事ができるのか。
突き詰めていけば、キプチョゲ選手やヤコブ・インゲブリクトセン選手に世界記録で勝利を飾る事でしか満足は得られないのか。
いや、陸上競技はそんなに苦しい競技ではない。


まずは、現状に満足してみればどうか。
身体が満足に動き、社会で文化的な生活を営み、競走、競技ができる現状に満足する。
試合の結果を受け入れ、現実を一度受け止める。
その上で改善点を探せば良い。

自己分析は重要だと思う。
自分の力、能力を、より正確に把握する。自分にできる事をコツコツと積み上げていけば良い。
そうすれば、自ずと自信が生まれていく。
早く走れる事がだけが、自信につながるわけではない。
ゆっくりしか走れなくても、ゆっくり走れる事を理解し、現状を受け入れる事ができれば、それが自信となる。

大会に出ている以上、より良い結果を求めるのは、人間の本質的、本能的な部分だと思う。
だから、わざわざ口に出さなくても良い。
あまり、良い結果ばかりを求めすぎると、心が暴走して壊れてしまう。

だから、試合の結果を憂うのではなく、もっと喜んで楽しみたい。
そして、少しずつ進歩すれば良いのではないか。
それが継続できれば、いつの間にか違う景色が見れるはず。

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