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子どもの進路、どう考えた?選んだのは「この子にしか歩けない道」前編

こんにちは。地域を旅する大学 さとのば大学のnote編集部です。

さとのば大学は2019年に創設した新しい学校で、なかでも旅する大学コース(4年制)は2021年にスタートを切ったため卒業生をまだ輩出していません。

レールのない未来への道。覚悟をもって飛び込んできてくれた学生たちの決意を、保護者はどう受け止め、サポートしてくれているのか?
保護者3名の方に、さとのば大学に送り出した経緯や想いを語ってもらいました。

※この記事は2023年8月24日に開催されたさとのば大学 夏のオンラインオープンキャンパスの「保護者座談会」の内容を再構成したものです。

「普通の大学に通って、普通に授業を受けて」が当てはまらない部分があると感じていた

YOSHさん:みなさんの入学のきっかけから教えてください。

Aさん母:うちの場合は、息子が通信大学のmanagaraを知ったことが、まずはじめのきっかけです。進路を検討する際、全日制の大学の見学も行ったのですがしっくりこなかったみたいで、「ここが気になっている」と差し出してきたのがmanagaraのパンフレットでした。

managaraにはいろんなコースがありますが、私はさとのば大学さんと連携している『地域イノベーターコース』を見つけて「あ、これいいな」って思ったんです。
ただその時は私が個人的に思っているだけ。本人へは入学の何ヶ月か前から少しずつ伝えてみたりしたんですけど、最初の反応は「うーん」っていう感じでしたね。

でも、3月のギリギリまで考えて、最終的には自分で決断しました。

ネットの大学managaraとさとのば大学が連携して設置する「地域イノベーターコース」

Aさん母:これまではどうしても私がレールを作ってきちゃったのかなって思うところもあって、何かを自分で決めることができなくて。なので今回は本人が自分で決心したことが、何よりも嬉しかったですね。

YOSHさん:本人の意志で選んでもらえたこと、僕たちとしてもとても嬉しいです。そもそもAさんのお母さんは、さとのば大学のどんなところにピンと来たんでしょうか。

Aさん母:普通の大学に通って、普通に授業を受けてっていうのが、あの子には当てはまらない部分が あるなと感じていたんです。どういう学び方が理想なんだろうって考えた時に、型にハマらず人間性を身につけられる さとのば大学 は魅力だなと思いました。普通に暮らしているだけではできない体験がたくさんあるのも、大きなポイントでしたね。

さとのば大学では日本全国の地域に「留学」しながら、プロジェクト学習の実践で学ぶ。

Aさん母:息子は全日制の高校からN高に転校したんですが、その当時も色々と話し合いをしました。私自身は「普通の道」をずっと進んできたので、「普通はこうだよ」って言うと「普通って何」ってよく息子に言われて。そうやって話をしていくうちに、今はいろんな学び方があるし、私の持っていた教育観も必ずしも正解ではないということにも気づいたり。今はすごく柔軟に考えられるようになりましたね。

N高もそうですし、さとのば大学も、一般的な「普通」の学校ではないかもしれません。でも、本人にはとても合っていると思っています。

YOSHさん:Bさんも入学は3月末、ギリギリでの決断でしたね。

Bさん父:わが家の場合は「さとのば大学に行きたいんだけど」と本人が言い出したんですが、それがもう3月20日過ぎぐらいでした。

私は高校の教員をしていて、もともとさとのば大学は知っていたんです。ただ、私から娘に「こういう学校があるんだよ」っていうのは1度も言ったことがなく、彼女が自分で見つけてきたんですよ。

娘はもともとはデザインがやりたくて大学受験したんですけど現役の時は不合格。「好きなだけやらせてあげよう」と思って浪人生活も送ったんですけど、2度目の受験も通りませんでした。当時、親の前では泣かなかったんですけど、多分1人でいる時には号泣してたんだろうなと思います。そういう挫折を味わいながら、不合格の通知があって2日後ぐらいですかね。「さとのば大学に行きたいんだけど」と言ってきました。

3月ももう終わりが見えるタイミングで、内心「いやいや今から」って思いながらもすぐにさとのば大学の事務局の方に繋いでもらって。最初は入学相談のつもりだったんですけど、もうそれがそのまま面接みたいな感じで、あれよあれよと入学が決まりました。

YOSHさん:挫折を経て歩き出した新しい道がさとのば大学であることがとても嬉しいです。
Cさんの場合は、さとのば大学に通う「先輩」が、入学のきっかけでしたよね。

Cさん母:はい。娘はN高に通っていたんですが、そこで出会った先輩がさとのば大学に通っていると聞いたのが、彼女がさとのば大学を知ったきっかけでした。

娘はN高時代からすでに地域のプロジェクトに参加したり、それを発表したり、違う大学のプロジェクトに関わったりといろんなことに取り組んでいました。親の私からすれば、総合型選抜でそこそこの私立大学だったら受かるんじゃないかと思っていたんですが、本人はさとのば大学に行きたいと意志を固めていたんです。

YOSHさん:N高出身の先輩というのは、さとのば大学4年制「旅する大学コース」の1期生なんです。彼に憧れて、Cさんはさとのば大学を志願してくれたと。

Cさん母:私は娘が言い出して初めて、さとのば大学のことを知りました。私自身は”普通”の道を歩いてきたし周りにも似たようなタイプの人が多いこともあって、娘が一見変わった進路を歩むことへの心配はありましたね。でも本人を見ていると「まあ、なんとかなるかな」とも思えて。

大事な進路を大学の名前で選ぶわけではないし、本人がやりたいことなのであればいいかなって、最終的には送り出すことに決めました。

「どこに就職できるのかな」親としてよぎった不安

Cさん母:娘が決めた進路を尊重したいと思っていましたが、入学前に「さとのば大学を卒業して就職するってなったらどこに就職できるのかな」とか、そういうのは親としてやはり考えましたね。

YOSHさん:素直なご意見、ありがとうございます。やっぱり、大学としての「出口」はご本人はもちろん、もしかするとそれ以上に保護者の方にとっては気になるポイントだと思います。さとのば大学としても企業との連携を検討したり、進路に対する不安を払拭できる方法を模索しているところです。

進路に関するお話が出ましたが、一般的な大学との違いが大きいさとのば大学への進学は、不安がつきものだと思います。慣れない土地での一人暮らしや、一風変わった大学生活。進路以外で親御さんから見て不安に思うことはありましたか?

Aさん母:いざ入学を決めたときは、やっぱりすごく不安でしたね。親元を離れたことがないし、料理も洗濯も何もしてこなかったので、シェアハウスに入って知らない人と共同生活が本当にできるのか、もうそこから心配でしたね。

留学先によって一人暮らしやシェアハウスなど、生活スタイルはいろいろ。

Aさん母:でも、親が心配するよりなんとか、子供はやれるんだなっていうのを感じました。私も小さい時からずっと心配しながら寄り添っていたので、ここで私も子離れしなくちゃいけないしという気持ちもあって。そういう意味では良い決断だったなと思いますね。

YOSHさん:子どもの決断でもあり、親の決断そして変化のときでもあるわけですね。

Aさん母:これまで子どもを心配するあまり、同じ気持ちになりすぎて一緒に落ち込んでしまったりということも何度もありました。気持ちが入りすぎていたんですね。さとのば大学に行くって決めた時は、日常的に会話ができなくなることに、本当に寂しい気持ちでしたね。

でもこれは”いい旅立ち”だなって、思って。淋しさも、今となっては子どもが成長していく事に対しての嬉しさへとシフトしてきた実感がありますね。

YOSHさん:Aさんも普段「家族仲がいいんです」とよく言っているので、すごく愛情をたっぷり受けて育ってきたんだなと、そしてそれがあるから今頑張れてるんじゃないかなと思いますね。

とはいえお母さんがおっしゃる通り、やっぱり初めは洗濯や家事に戸惑っている様子でした。「これまでは全部、親がやってくれたから自分でやるのが大変だ」って。そんな彼が、たった1ヶ月半で20人分の料理を作って地域で振舞ったりしていて。地域からの愛ゆえの”無茶ぶり”にもちゃんと答えて、本当に人間としてどんどん成長しているなと感じています。

さとのば大学では地域事務局スタッフ含め様々な人たちと関わりながら暮らし、学んでいく。

YOSHさん:Cさんのお母さんは進路への不安は解消されましたか?

Cさん母:はじめこそ送り出すか悩みましたが、自分で道を切り拓いていく力もあるかなと思うし、最終的に自分で食べてければいいから、今では本当になんとかなるだろうって思っています。

入学してからも楽しそうにやっているので、娘の選んだ道は娘には本当に合っていたんだと実感しています。同じような道を考えてる子に「こういう道もいいな」って自信を持って薦めてあげたいですね。

YOSHさん:さとのば大学ではたくさんの大人と関わります。学生一人ひとりの個性や特性も、見る人は見てくれているなと思っているので、いろんなご縁の可能性があると思っています。

Cさんを見ていると、僕は将来心配ないと思いますね。Cさんはオンラインでのファシリテーション能力がものすごく高くて、そういう人って今の社会では本当に引く手数多です。まだ1年生ですが、もう一緒に働きたくて仕方がないです(笑)

Cさん母:ありがとうございます(笑)

YOSHさん:Bさんのお父さんは不安はありましたか?

Bさん父:わが家の場合は本人が納得して進む道なら、と特に不安はなかったですね。進むべき道を決められた安堵の方が大きかったかもしれません。

高校生って、高3の担任の先生と保護者との三者面談で受験先を決めるケースが多いと思うんです。当時、国公立大学を志望していた娘にも、担任の先生は「滑り止めでどこを受けますか」って当たり前のように聞いてきました。

その時に私は「もし全部ダメだったら入学のために貯めていたお金を全部この子に渡して、世界一周に行かせます」と伝えました。自分が「これをやりたい」っていうことをやらせてあげたかったので、妥協して不本意な進路選択をして欲しくなかったんですね。

そういう思いがあったので、本人が納得してさとのば大学を見つけてきたことは嬉しかったですし、今となっては行きたい大学に不合格になってよかったなとさえ思っています。

それは多分娘も同じで、挫折もあったけれどそのことにも感謝して、今は充実した学校生活が送れていると感じています。

さとのば大学では、自分のやりたいテーマを深められる4年間を過ごす。

(後編に続く)


■3/6(水)の公開 保護者座談会にもぜひお越しください!

さとのば生の保護者の”リアル”な声を聞かせていただく機会として、保護者座談会を実施します。今回は新1年生から新3年生まで、3名以上の保護者の方にご登壇いただく予定です(変更となる場合もあります)。

■暮らしながらプロジェクトを実践する、さとのば大学の学びのフィールドは全国各地

さとのば大学では、4年間1年ずつ多様な地域へ留学し、地域での様々な人との出会いや対話を通して自分自身の関心を探り、マイプロジェクトへと繋げて実践していきます。ぜひあなたらしさが活かせる地域を、見つけに行きませんか。

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