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読書関係

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読んだ本の自分の感想を中心に。
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#読書感想文

『総選挙ホテル』 傍観者で生きていくよりも

 自分のやりたいことをやることと、主体的に生きることは、違うらしい。 『総選挙ホテル』,…

さとみん
4週間前
7

なぜヒトは学ぶのか 人間の条件と配られたカードと幸せと

「学校の勉強なんて役に立たないよ!」「じゃあどんな勉強なら役に立つと思っているの?」 『…

さとみん
1か月前
9

『人間をみつめて』 存在の仕方を先行させること 名刺代わりの12冊その1

『人間をみつめて』,神谷美恵子著,河出書房新社発行,2014年初版(1974年『新版 人間をみつめ…

さとみん
2か月前
3

『傲慢と善良』 ○○活と呼ぶことで迷走するもの

『傲慢と善良』,辻村深月著,朝日新聞出版発行,2019年刊行  友人内で定期的に行っている読書…

さとみん
4か月前
7

『マーケットデザイン』 方法は、ある。使う決断はできるか?

 道徳を用いずに、倫理的な結果を導くにはどうすればいいのか。 『マーケットデザイン 最先…

さとみん
5か月前
4

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』 君はひとりしかいないのと同じように

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』,スティーヴン・ウェッブ著,青土社発行,2018年…

さとみん
5か月前
9

『帳簿の世界史』 世界で一番美しいのは……という答えに堪えること

 白雪姫のお妃は、鏡を壊さなかっただけ良心的だった。 『帳簿の世界史』,ジェイコブ・ソール著,文藝春秋発行,2018年刊行 「帳簿」、つまり会計という概念を中心に、古代ローマ時代からリーマン・ショックまでの世界史を俯瞰した本……なのだが、田中靖浩さんが執筆した似たような切り口の『会計の世界史』があくまでわかりやすいエンタメに徹して楽しい読み物を展開してくれたのに対して、こちらは割とシビアで人間の業を突きつけてくる、重々しい本になっている。  この本が繰り返し繰り返し提示

『ずっとお城で暮らしてる』 

『ずっとお城で暮らしてる』,シャーリイ・ジャクスン著,市田泉訳,東京創元社発行,2007年刊行 …

さとみん
8か月前
3

『レジリエンス こころの回復とは何か』 願いが叶うことか、光が見えることか

『レジリエンス こころの回復とはなにか』,セルジュ・ティスロン著,白水社発行,2016年刊行 「…

さとみん
9か月前
4

『悪魔が来りて笛を吹く』 本当の悪魔は笛を吹かない

『横溝正史自選集 5 悪魔が来りて笛を吹く,横溝正史著,出版芸術社発行,2007年刊行』  NHK BS…

さとみん
9か月前
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ブルシット・ジョブ関連三冊 自分が仕事の意味がわかるって、ほんとかな

『ブルシット・ジョブ,デイヴィット・グレーバー著,岩波書店発行,2020年刊行』 『ブルシット・…

さとみん
10か月前
10

『吉野朔実は本が大好き』 今はもうない、「オタク」の姿。

『吉野朔実は本が大好き』,吉野朔実著,本の雑誌社刊行,2016年発行  共感を持って読める人と、…

さとみん
10か月前
11

『超没入』 本当に効率を上げたいと思ってる?

『超没入 メールやチャットに邪魔されない、働き方の正解』,カル・ニューポート著,早川書房刊,…

さとみん
11か月前
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『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたか』 尽くすべき人事は常にある

『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』,ジェームズ・R・チャイルズ著,草思社発行,2006年第1版発行  2000年に書かれたこの本では、50以上の深刻な技術事故が取り上げられ、タイトル通り、事故に至るまでに関係者がどんな行動を取っていたのかが描写されている。淡々と、だが詳細に。  テーマに沿って選ばれた複数のケースが並列して語られたり、文章と簡単な図解だけで混み入った機械の配置や設計を説明しようと頑張っているので、正直なところ読みにくい部分もある。だが、一度読み始