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読書関係

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読んだ本の自分の感想を中心に。
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#読書

『もっと!』 遠心力、もしくは空手形 名刺代わりの12冊その5

 人間を人間たらしめるものだが、それのみでは人間が自壊するもの。 『もっと! 愛と創造、…

さとみん
11日前
5

『信頼学の教室』 色々なものを入れた大きな袋として

『信頼学の教室』,中谷内一也著,講談社発行,2015年刊行,講談社現代新書2347  ひとがひとを、…

さとみん
3週間前
4

『ブラウン神父の秘密』 許すということ 名刺代わりの12冊その4

『ブラウン神父の秘密』,G.K.チェスタトン著,東京創元社発行 『春にして君を離れ』の感想で、…

さとみん
2か月前
2

『黒龍とお茶を』 枯木裏龍吟 名刺代わりの12冊その3

「名刺替わりの小説10選」というメジャーなハッシュタグではなく「名刺替わりの12冊」というま…

さとみん
2か月前
5

『シン・ファイヤー』 断層の先に手を伸ばす苦しみ

 すごい共感できる部分と、ツッコミしたい部分とが同居していて、結構感情が上下する本である…

さとみん
2か月前
11

ピック・スリーと東京物語

 ただ自分の素直な思いを書くだけで、暴露話と受け取られてしまう境遇の人がいる。 ★★★ …

さとみん
3か月前
9

『春にして君を離れ』(その2) 悪者を作って結託してしまう姿

 我ながら、悪意の塊みたいな読み方をしてしまったなと思う。 『春にして君を離れ』,アガサ・クリスティ著,早川書房発行,2004年4月刊 ジョーンを悪者にすることで安定する家族  今回読み直して、ジョーンを取り巻く他の家族に、嫌悪感を抱いた自分がいたのが意外だった。  いや、ロドニーは元からいけ好かない。自分を「ジョーンに抑圧されて天職を見失った哀れな男」という被害者ポジションに置き、レスリーとのプラトニック・ラブ(これもジョーンという安全圏があるからこそ盛り上がったも

『春にして君を離れ』(その1) なんぢらの中、罪なき者まづ石を擲て

 みんな、自分は聖人になれないのを知っているけれど、他人には聖人のようなふるまいを求めて…

さとみん
4か月前
11

『総選挙ホテル』 傍観者で生きていくよりも

 自分のやりたいことをやることと、主体的に生きることは、違うらしい。 『総選挙ホテル』,…

さとみん
5か月前
7

なぜヒトは学ぶのか 人間の条件と配られたカードと幸せと

「学校の勉強なんて役に立たないよ!」「じゃあどんな勉強なら役に立つと思っているの?」 『…

さとみん
6か月前
9

『傲慢と善良』 ○○活と呼ぶことで迷走するもの

『傲慢と善良』,辻村深月著,朝日新聞出版発行,2019年刊行  友人内で定期的に行っている読書…

さとみん
9か月前
9

『マーケットデザイン』 方法は、ある。使う決断はできるか?

 道徳を用いずに、倫理的な結果を導くにはどうすればいいのか。 『マーケットデザイン 最先…

さとみん
9か月前
4

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』 君はひとりしかいないのと同じように

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』,スティーヴン・ウェッブ著,青土社発行,2018年…

さとみん
10か月前
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『帳簿の世界史』 世界で一番美しいのは……という答えに堪えること

 白雪姫のお妃は、鏡を壊さなかっただけ良心的だった。 『帳簿の世界史』,ジェイコブ・ソール著,文藝春秋発行,2018年刊行 「帳簿」、つまり会計という概念を中心に、古代ローマ時代からリーマン・ショックまでの世界史を俯瞰した本……なのだが、田中靖浩さんが執筆した似たような切り口の『会計の世界史』があくまでわかりやすいエンタメに徹して楽しい読み物を展開してくれたのに対して、こちらは割とシビアで人間の業を突きつけてくる、重々しい本になっている。  この本が繰り返し繰り返し提示