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【仏像エッセー】WhatsAppと矢田寺の十一面観音さまと不敬罪

 コロナが始まって一気にZOOMの使用が増えたのだが、それを補う形でWhatsAppも頻繁に使うようになった。

1) WhatsAppのプロフィールにキューティーセクシーの十一面観音さま!

 登録だけして、ほとんど使っていなかったWhatsApp。いろいろな国の人と使うようになったので、改めてチェックすると、なんと私は、自分のプロフィール写真として、奈良の矢田寺(大和郡山市)の十一面観音様の写真を使っていた。こんな感じである(↓)。

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 かわいい! とてもかわいい! 矢田寺では、毎年6月のあじさいの時期に、本堂の厨子がご開帳となるのだが、大きな厨子の中に、現在のご本尊である地蔵菩薩立像の隣に並んでおられるのが、この観音様なのである。

 このかわいらしいご尊顔。たまらない。キューティー! そして、腰回りなどの体部は量感があり、セクシーでもある。キューティーであり、セクシーでもある、というのは、女性の理想形だと私は思う。

 頭頂部の化仏も大きく、ごろごろと一列に並ぶ。垂れた耳たぶは少しだけ外側にはねる。穏やかな弧を描く眉の下に、静かに伏せた両目。ごろんとした上品な鼻。そして、そして、このくちびる! キューティーセクシー!!

 WhatsAppでは自分の顔写真を使うことが多いように思うのだが、私は自分の顔が薄汚いので、「こんな感じでかわいらしいといいのになぁ...」という希望を込めて、この写真を使ってしまったのだった。

  この写真は昔の展覧会の図録のもので(※注)、特にキューティーセクシーさが際立っている。実は、図録の写真は全身像なのだが、これが本当に美しい。私はこの写真のコピーを取って持ち歩き、時々引っ張り出して、うっとりと眺めていたぐらい好きなのだ。

2) 海外では不敬罪にならないのか?

 日本国内であれば、「プロフィール写真が仏像なのね。変り者ね」で終わるかもしれない。

 しかし、WhatsAppは基本的に海外の人と使うものだ。宗教的に日本より厳しい国の人とも話すとき、仏像の写真では、強い違和感や嫌悪感を覚える人もいるのではないか。。。

 先日やっとそんなことに気づいた次第である。

 特に、スリランカやタイなどは厳しい印象がある。かつてスリランカでは、仏像のタトゥーを腕に入れたイギリス人が不敬罪で身柄を拘束されるという事件もあった。つまり、私のこのプロフィール写真は危険である。

 そもそも、仕事でWhatsAppを使うのであれば、趣味の延長のようなプロフィール写真は好ましくない。。。 

 そういうわけで、先日、南アジアの方とWhatsAppすることになったので、急きょ矢田寺十一面観音様のプロフィール画像を取り下げることにした。キューティーセクシーなのに...。残念だが、致し方ない!

 今のプロフィール写真は、小汚い顔でにっこり微笑むおばさんの写真となっている。つまり、私の顔写真だ。私もキューティーセクシーを目指して努力するしかない。

※特別展『天平』(奈良国立博物館、1998年)

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