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編集後記:つくった人の頭の中・心の中

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つくった本、携わった本・コンテンツについての話。 編集者、企画者としてどのように関わったのか 何を大事にして、どんな工夫をしたのか等 「作品」の裏側にあるストーリーを書いてみます。
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記事一覧

生きることは、物語ること|2024年2月の物語。

油断をすると何もかもが忘却の彼方へと消え去ってしまうのが、私たちの日常。だけど、実際には積み重ねている何かが確実に存在しています。 そんな「積み重ねたこと」は、どうやったら自分の骨肉になっていくのか。私の人生の一幕として着地してくれるのか。 その一つの方法が「語ること」ではないでしょうか。 語ることでこそ、人生の物語が紡がれていく。 つまり「生きる」とは「物語る」ことなのかもしれません。 というわけで、これからは月に一度「私の近況」を物語っていきたいと思います。 スタ

「組織をよくすること」を諦めたくない全ての方へ

久しぶりに編集を担当した本が発売を迎えることになりました。 『組織が変われない3つの理由 〜「元気」と「成果」を同時に実現する組織のつくり方〜』 「組織をよくしたい」と願うすべての方のための本この本は「組織をよくしたい」と願う、全ての方のための本です。 社長、役員、管理職、ベテラン、若手……その立場に限らず、多くの方は 「自分たちの組織をよくしたい」 と願っているはずです。 だけど、その願いを実現するのって、簡単ではありません。 などなど、考え得ることに取り組んでみた

「身体の知性には逆らわないほうがいい」と思った話。

「身体には知性がある」 そして「身体の知性には逆らわないほうがいい」 私が初めて実感したのは、大学4年生のときだった。 「若気の至り」の恥をひとつさらすと、当時の私は公務員試験を受験しようとしていた。 ……という話を今のパートナーにしたら「それはあなたに一番似合わない職業じゃないの?」と言われたのだが、今となっては私もそう思う。 だけど、当時の私は、インテグラル理論に出会って、本気で社会変容を目指していた。そして私自身の指向や適性なんかお構いなしに、「本気で社会を変えた

本はオワコンなのか① 本の価格は安すぎる?

「本を読めば、人生が変わる」 「読書は、人生を変える」 とよく言われる。 あなたにとって、人生を変えるほどの影響を受けた本はどんなものだろうか? 本は、あなたの人生に何を与えてくれただろうか? 私は、決して本をたくさん読んできたわけではないけれど、本に救われることは多かった。 私と本の物語は、小学生時代に遡る。毎日が退屈で堪らなかった私を救ってくれたのは、地図帳と国語辞典、たくさんの漫画・物語だった。 そして、家族の問題や自分自身のアイデンティティに悩む大学時代に私

チームができてから何かを作るのか、作りながらチームになっていくのか。

一昨日、個人事業主としてのホームページをアップしたことをご報告したけれど、懲りずにまたホームページをつくっている。 次は、会社のホームページ。 今度は自分という「個人」ではなくて、「自分たちの会社」を表現するわけなのだけど、「私」を表現することと「私たち」を表現することはこんなにも違うのかと驚いている。 何よりちがうのは、かかる時間。 「私たち」を表現するのは、めちゃくちゃ時間がかかる。 個人のホームページは制作期間3日だったけれど、会社のページはそんなの絶対に無理だ。

編集者としての知識・経験・スキルを分かちあうために|個人HP開設のお知らせ

1月31日。 今日「つくるつくる詐欺」をしていた個人のHPをアップした。 このHPをつくった目的の一つは「私」を分かち合うためだ。 「私のもの」だと思っているものは、本当に「私のもの」なのだろうか。 そう、事あるごとに考えてきた。 「私」とは一体誰か、なんていう哲学的な問いもあるけれど、いったんそれは脇に置いておいて(こういう話、とても好きだけど)。 私は、自分の手元にあるものは「預かりもの」だと思っている。 知識も、スキルも、持ち物も、お金も、経験も、家も、車も。

残り2.195キロメートルの走り方。

1月30日。 今年になってランニングを再開した、というのは以前も書いた。 まだ以前のような走力(走る体力)は戻らないけれど、走る心地よさを感じられる時間は長くなっていた。 調子がいいときは、ほとんど何も考えていない。 考えている(というか意識を向けている)のは、そのときの足の感覚のことだけ。 足の裏の前側から地面に足がつき(*大して走れもしないのにフォアフットランニングを意識している)、かかとがつく。体重が移動しながら前へと進み、もう片方の足がつく。 ーーという動作を

「書けない時と来た日には、どうしても書けるものではない」

1月29日 「人類が生み出した最大の発明は締切だ」 誰かに聞いたことがあるけれど、本当にそうだと思う。 「いつか時間ができたら、やろう」と思ったことを実際にやれた経験は、ほとんどない。 隙間があると埋めたくなるのも、人間の抗えない性質だから、まず「時間ができる」なんてことが、ほぼない。あったとしても、たいていはぼーっとしているうちに1日が終わっていく。 編集者としての16年のキャリアのなかで、締切を決めずに原稿をあげてくれた方は、ほんの数名、数えるほどだ(中には既に書

「書く」ときに起きていること|「書く」プロセスを分解してみた。

1月19日。 「素潜り漁師 マサル」のyoutubeチャンネルが好きです。 このチャンネルは、根本的に趣味が合わないパートナーと私の、数少ない共通の趣味でもあるのだけど、つい先日「フエダイを仕留めて食べる動画」を観ていて「なるほどー」と思ったことがある。 素潜り漁では、魚を突いて獲物を仕留めるよりも、仕留めた魚を持ち帰るほうが大変なのだという。これを聞いた時「書くときと一緒かもしれない」と思ったのです。 (詳しくは、こちらの動画で) 「書く」プロセスを構造化すると、

「お後がよろしいようで。」という魔法の言葉

1月18日。 薄々気づいていたけれど、noteを毎日書くようになってよくわかった。 文章は書き始めることよりも、終わらせるほうが難しい。 私の場合、ほとんどはテーマを決めずに書き始める。書き始めるとどんどん「書きたいこと」が湧いてきて、どんどん楽しくなってくる。 ここまではいいのです。 だけど、途中で思うのだ。 「ああ、この文章、どこに着地させればいいのだろう」 そしてダラダラ、ダラダラと収まるところを探して迷走し、時間がどんどん過ぎていく……。なんてことが多々あって、最

「自分の仕事が誰かに届いている手応え」を感じられなくなった頃のこと。

1月14日。 ついさっきまで商品の梱包&発送の仕事をしていた。 2022年6月にオープンしたオーガニックヘナ&ハーブのお店、KAMI.llc。おかげさまで少しずつ利用者さんが増えてきています。ありがとうございます。 *オーガニックヘナ、とてもお勧めですよ  (私のオーガニックヘナの体験談を貼り付けておきます) 今いちばん楽しいのが、商品の発送。 段ボールを組み立てて、お客さんのことを思い浮かべながら商品を詰める。 「このヘナが、◯◯さんを美しくし癒してくれるといいな

今だからこそ、敢えて「スピリチュアリティ」について語りたい。

私の人生の大半は、計画してはじめたというよりも「気がついたらこうなっていた」でできている。そして、このプログラムに関わることになったのは、まさにそれだ。 9月末にプレセッション、10月11日からメインセッションがスタートするHuman Potential labのプログラム「スピリチュアル・インテリジェンス 〜思考の限界を超えて、究極の知性に出会う旅」。 そしてそして、「旅の準備」として、プログラムリリース記念の座談会も開催予定(9月21日20:00〜)。 いよいよ開始

本と歩んだ10年間。これまでのこと、これからのこと。

10年弱所属していた日本能率協会マネジメントセンターを、6月末で退職することになりました。 書籍をつくりつづけた10年弱。 在職中お世話になったみなさま、本当にありがとうございました! * * * この想いには、これっぽっちも嘘はない。 でも、正直にいうと、何を書けばいいのか、とても迷っている。 退職にあたって、私はどんな言葉を残しておきたいのだろうか……。 「ああでもない、こうでもない」と考えては消しているうちに、退職日はもう明日。 今日書かないと、退職日までにみなさん

経つづけてきたら、いつの間にか99冊の本をつくっていた。

ふと振り返ってみたら、今日、発売になった本が私のつくる99冊目の本だった。 この本は、私にとって初めてとなるつくり方をしたし、何より、この本のテーマである「野性」「感じる知性」は、混迷が深まり、未来が見えづらくなっている今こそ届けたいと思っている。 星野先達の、半世紀に及ぶ山伏としての経験から紡がれる言葉を(これは、共著者の渡辺清乃さんだからこそ引き出せた言葉だと思う)、特に、都市で暮らすビジネスパーソンの仲間たちに、届けたい。 ふつうに生きているだけで、思い込みとか、概念