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[読書録]世界はひとつの教室📕

反転授業に興味があり、「カーンアカデミー」の創始者サルマン・カーンの「世界はひとつの教室」を読んでみた。

「カーンアカデミー」とは、「質の高い教育を、無料で、世界中の全ての人に提供する」というミッションのもと無料のオンライン学習サービスを提供している、サルマン・カーンが2008年に創設した非営利組織(NPO)である。

YouTubeは現在登録者数660万人!

本書は、
1部 「教える」ということ
2部 壊れたモデル
3部 現実の世界へ
4部 世界はひとつの教室

の4部構成になっていて、1部でカーンアカデミーの始まり、2部でこれまでの教育の歴史や問題点、3部でカーンアカデミーが実際の教育現場で使われたプロジェクトについて、4部で教育の未来について書かれている。

以下、引用しながら感じたことを書いてみたい。(括弧内の数字は電子書籍のページ)

📗 📗 📗

学問を教科に分けて勉強することや、授業や学期や学年の長さなど、現在の「当たり前」は、18世紀のプロイセンがモデルになっているそうだ。

K-12教育(初等・中等教育)のイノベーションの数々は、じつは一八世紀のプロイセンに端を発しています。(中略)義務教育は、少なくとも教育的効果と同じくらいの政治的効果をめざした取り組みでした(しかも、政府はそのことを公言していました)。ねらいは、自分の頭で考えられる人間を育てることではなく、忠実で従順な市民を次々と生み出すことにありました。両親や教師、教会、そして王の権威に従うことがいかに大切かを知りなさい、と。(970)

タイの教育改革がなかなか進まないのは、タイが「王国」だからなのか?とちょっと納得するところもあった。

実際、2001年基礎教育カリキュラムの目標には、以下の文言がある。

スクリーンショット 2021-06-07 14.13.49

しかし昨今のタイのデモの様子を見ると、この目標は達成されていないように思う。

(ということは教育が変わってきた、ということなのか・・・?)

「宿題」の章では、一文だけタイについても書かれてあった。それがこちら。

ギリシャ、タイ、イランなどの国は宿題が多いにもかかわらず、生徒のテスト結果はよくありません。(1390)

_人人人人人人人人_
それな😂😂😂
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

ギリシャやイランの事情は知らないが、タイについてならその理由がよくわかる。タイの学生は誰かの宿題を写真で撮ってグループLINEに送り、それを丸写しし、そして先生たちもそれを厳しくチェックしないからだ。丸写しでも、出しさえすればそれでOK。

学生たちは朝から「全集中!丸写しの呼吸!」でホームルームの先生が目の前にいてもお構いなしでゴリゴリ宿題を写している。

何の科目か知らないが、“マインドマップ”ですら丸写しするから終わってる😱いやいや、マインドマップとは!?君たちのマインドはどこへ・・・?

でも、「自宅で講義、教室で宿題」の反転授業ができれば、この光景は見ずに済むのかなぁと思う。

学生が宿題をしない理由が「難しい」「わからない」「考えるのが面倒」であれば、「講義のビデオを見る」ぐらいならやってくれるかもしれない。

その上で、本来ならば宿題にしていた「難しい」「わからない」「考えるのが面倒」なタスクを教室で友だちや先生と意見を交わしながらできたら、宿題を写すことより遥かに有意義な学びの多い時間になる。

先生はより学生の質問に答えたり、個別に対応したりできるし、ほとんど答えが同じ丸写しの宿題をチェックする必要もない。(そもそも内容のチェックなんてしてないんだろうけど🤫)

YouTubeにあげてる昔の授業動画を使って、反転授業やってみようかな?(できるかなぁ)

カーン氏はオンデマンド学習についてこう述べている。

自主的なオンデマンド学習は、教室での講義よりもずっと能動的です。生徒は、何をいつ見るべきかを自分で決めます。必要に応じてとめたり、くり返したりできます。みずからの学習に責任を負うわけです。(1471)

これは今、身をもって実感していること。

現在英語を基礎からやり直そうとYouTubeで色々見ている。YouTubeを見ることは、どのぐらい見るか、何回見るか、いつどこで見るか、どんな状態で見るか全て自分で決めなければならない。

ちなみに1番のお気に入りは「ただよび」!(お笑い好きならこの説明でother,another,the other が一発でわかる)

日本でもスタディサプリなどのサービスがすでにあるように、一流講師のわかりやすい講義動画を見て自分で学習を進めていくスタイルが将来的にはスタンダードになっていくのではないかと思う。

そしてそれはおそらく日本語教育にも波及していくだろう。

これからの学びについて本書で繰り返されている事は、「自律的に学ぶ姿勢を育てること」である。

いまの社会に必要なのは、斬新なアイデアを着想し、実行できる、創造的で好奇心の強い、自立的に学びつづける働き手(1034)
世の中の変化が速くなるにつれ、新しいことを学ぶ能力が何にも増して大切になるかもしれないということです。(2194)
いまの若者たちが一〇年後、二〇年後に何を知っていなければならないかが正確に予測できない以上、大切なのは何を教えるかではなく、どのように独学の姿勢を身につけさせるかなのです。(2259)

すぐに忘れられてしまう日本語文法の授業を通して、学生たちの将来に何を残せるだろうか?と日々試行錯誤している私にはとても響く言葉たちだった。

長くなってきたので、中でも一番痛快だと思ったこの文章で締めたい。

  講義はさしずめ「肉汁」です。学習で本当の「肉」に相当するのは、仲間どうしが先生といっしょに学び、教えあうことなのです。(1483)

できることなら、腹いっぱい肉を食わせてやりたいなぁと思う🍖

とっても面白いので是非!


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