見出し画像

日記 2020年8月 日常が変わらないから僕は日記を書くのです。

 改めて、日記を書く理由。

 7月までは日付を書かず、某日という形で書いていました。
 僕自身、日記という形式で書く理由がコロナウィルスが蔓延して、僕の職場と同じ階にある会社でコロナウィルスの陽性が出たからでした。

 なんとなく、僕の日常ががらっと変わる危機感のようなものがあって、それを忘れたくなかった為に日記という形で残しておこうと思ったんです。
 それも緊急事態宣言の解除に伴って、緩やかな日常が戻り、表面上は日記として書き残すことがないように感じていたので、毎日何があったか、と思い出す作業はやめました。

 なのですが、8月6日、本日、広島への原爆投下から75年が経った「原爆の日(って、ニュースサイトに書いてありました)」から、また日付をつけて記憶に残る限りの表面的な日常を書き残して行こうと思います。

 理由は、僕の働いているビルでコロナウィルスの陽性が出たからです。分かりやすいですね。
 そして、陽性が出たからと言って明日の仕事がなくなる訳ではなく、また僕自身も「またかぁ」と言う感情しか浮かばなくなっています。
 良くも悪くもコロナウィルスは僕の日常に馴染んでいます。

 前回、日記を書こうと思った理由は日常が変わってしまう危機感からでした。そして、今回は日常が変わらないことに対する危機感から日々のことを書き残しておきたいと思います。


 8月6日(木)

 梅雨が明けてから、気温が高い日が続いている。
 朝、目覚める度に蝉の声が聞こえてきて、うんざりした。

 僕は数日前からの気温変化についていけておらず、一日の仕事終わりにはヘトヘトになって家に帰ってくることが続いていた。
 眼鏡を新しいものに変えたせいかも知れないが、視界が歪むこともあって、熱中症なのかも知れないと思いつつ、風邪薬と冷えピタを貼って寝ていた。

 朝、起きると冷えピタが乾ききった状態になっていて、それを剥がして丸めてゴミ箱に捨てる。昨日まで、なんとなく乾ききった冷えピタを丸めてテーブルの上に乗せて集めていたのだけれど、自分でも何でそんなことをするのか意味が分からなくて、捨ててしまった。
 なので、今日も乾ききった冷えピタはゴミ箱にそのまま放り込む。

 シャワーを浴びて、身支度をする。
 最近は、洗面所で髪を乾かすと汗が出るので、エアコンのある部屋でドライヤーを使うようになった。
 鏡がないので、ある程度、乾かしたら洗面所でワックスを使う。ついでに歯を磨いて、日焼け止めを塗る。
 今のところ、エアコンはオフにして部屋を出ているが、オンのまま仕事に行った時、絶望感が凄そうだなぁと毎回考える。

 部屋を出て、最寄の駅まで歩く間に、少し前までだったら犬を散歩させているおじさんがいるのだけれど、8月に入ってから見かけない。
 犬がアルパカっぽくて、好きなんだけどなぁ。

画像1

 (拾い画像ですが、アルパカです。)

 電車に乗ると、窓が開いていて風が入ってくる。
 最初の頃は違和感があったけれど、最近はそれが当たり前になった。職場の最寄り駅について、改札を抜けると、職場の上司を見かけた。
 最近、よく見かける。
 けれど、向こうとは目は合わないし、職場外で顔を合わせても何を話せば良いのか分からない。

 職場のビルについて、エレベーターを待つ時、いつも少しだけ緊張する。
 電車とは違ってエレベーターは換気が難しい。
 僕の職場は二十階を超えたところにあるので、階段を使う訳にも行かない。
 出来るだけ人が少ない時を狙ってエレベーターに乗り込む。

 ロッカーに荷物を預けて、休憩室で朝食のパンを食べつつ、ポケモンGOをする。一年以上前に始めたポケモンGOを最近、またやり始めた。

画像2


 レベル27で、フレンドは同期の女の子と伯父さん、そして、最近登録した職場の後輩。
 伯父さんはレベル40で、いつもギフトを送ってきてくれる。

 ギフトとは、ポケモンGO内になるスポットに訪れるともらえるアイテムで、これをフレンドに送ることができる。
 送ると、そのスポットの名前が表示される。
 例えば、JR新大阪とか、○×第一公園とか。
 そのギフトを受けとることで、叔父さんが全国至るところに出張で行っているんだな、ということが分かる。

 逆に僕は近所のスポットしか行かないので、ギフトによって僕がどの辺に住んでいるか丸分かりだった。
 ストーカーとかにとって、優しいアプリになっているなぁと思う(少なくとも一回は訪れたことがあるスポットでないとギフトは手に入らないから)。

 ポケモンGOをしていると、同期の女の子が「やぁ」と近づいてきた。
 同期は最近、歯の矯正をする為に歯医者に通っていた。丁度、昨日矯正の為に歯を二本抜いていて、喋り方が不自然だった。
「昨日、豆腐を食べたんだけど、それさえも痛かったんだよね」
 豆腐さえも痛いって、どうすれば良いんだろうか。

 出勤すると、まずミーティングだと言われて、会議室へと集まった。そこで、僕とある先輩は新しいスキル習得の為に明日から研修だと言われる。
 研修は別に良いのだけれど、同期の歯の経過を朝しか聞けなくなるのは少し残念に思った。

 夕方、上司から一斉メールを受信する。
 同じビルの従業員がコロナウィルスの陽性だった、という内容で、引き続きマスクと手洗いの徹底と書かれていた。

 夕方に大阪のコロナウィルスの陽性が225人と発表されていた。

 昨日、吉村大阪府知事が「うそみたいな本当の話をさせていただきたい」「うがい薬を使って、うがいをすることでコロナの陽性者が減っていく」と言っていて、それに対し今日は「一部誤解があるようなことも見受けられる」と発言していた。

 目まぐるしいなぁ。
 ひとまず、今日発表された225人の中なのか、あるいは昨日なのかは分からないけれど、僕と同じビルで働いていた一人がその数字の中にはいる。

 仕事終わって、Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(ZERO)を聞きながら、真っ直ぐ最寄り駅まで帰った。近所のスーパーに寄った。お酒は買わなかった。
 部屋に帰ってきて、手を洗って、エアコンをつけ、少しだけぼーっとしてから夕食を作った。冷やしうどんと豚キムチで、最近悩んだら、こればかり食べている気がする。

 ゲーム・オブ・スローンズの続きを見てから、この日記を書いている。the peggiesの「君のせい」をずっとエンドレスリピートしている。

画像3

 これから洗濯物をして、小説を書いて寝る。
 そういえば昨日、倉木さとしと久しぶりに電話をした。声を聞いた瞬間「酔っ払っているんですか?」と僕は尋ねた。丁度、ハイボールの二杯目を飲んでいる時だった。
「いや、飲んでないよ」
 とのことだった。

 作品の話をして、生活の話をした。
 その中で、どうも昨日、電話してきてくれた理由は、奥さんが作業をしたいから夕食を自分で買って食べてね、と言われたからと思われた。
 スーパーの駐車場まで来て、そこで電話してくれたみたいだ。
 家に帰っても、奥さんが作業しているから邪魔になると言う配慮もあったのかな? と邪推してみる。
 倉木さんと電話をする度に、結婚って良いもんなんだなと毎回思う。

 8月7日(金)

 今日から仕事では新しいスキル習得の為に研修が始まる。
 いつもの仕事をしなくていい安心感と、新しい仕事に対する漠然とした不安から、どういう気持ちでいれば良いか朝から分からなかった。
 職場までの道のりをナインティナインのオールナイトニッポンを聴きながら歩いた。

 朝、同期と顔を合わせると「昨日よりも、朝は痛みが引いていて、時間を掛けたらお茶漬けが食べれた」と言っていた。
 歯を二本も抜くと二日もプリンとヨーグルトしか食べらなくなるのだと知って、改めて歯を大切にしようと思う。
 僕は幼少期、喘息持ちだった代わりなのか、歯は至って健康でほとんど歯医者に通った記憶がないし、大人になった今も歯に関するトラブルは抱えていない。

 研修は普段の三倍ほど頭を使った為、仕事の終わり頃には何故か胃腸が痛くなった。胃腸炎かな? と思うも、一時間ほどで収まった。

 夕方に東京のコロナウィルスが462人、沖縄では100人、そして、僕が住む大阪が255人と発表があった。
 数字だけを追っていることに意味はないけれど、もしも僕が数えられる側に立った時、数日間の無収入と職場のセンターの数日の停止が決定してしまう。
 それは素直に困った状態だ。
 回避できるのなら、そうしたい。
 けれど、それは誰もが思っていることで、否応なく数えらる側に立たされる場合はある。
 改めて世界は理不尽で出来ているなぁと思う。

 金曜日は基本的に疲れ切っている。それでもお酒を飲みたくなるのでスーパーでロングの缶ビールを買う。夕食は簡単に親子丼にしようと思い鶏肉を買った。

 部屋までの道のりポケモンGOをする。
 今はドラゴンウィークという期間中で、ドラゴンタイプのポケモンが多く登場していた。昔、ポケモンをやっていた頃、とりあえずドラゴンタイプのポケモンを育てておけば、強いみたいな認識があった。
 実際、ドラゴンタイプは使えるポケモンが多かった。

 とはいえ、ポケモンGOはそれほどバトル要素はないので、コレクションとして捕まえる。
 明日はコミュニティ・デイというイベントでコイキングが昼から出現するらしい。

画像4

 ゲームをするより、絶対に小説やエッセイを書く方が良いに決まっているんだけど、コイキングを進化させたらギャラドスかぁ、と考えている僕がいる。
 コロナがあってなのか、三十歳を手前にしてなのか、少年に戻って現実逃避しようとしている節が僕にはある。
 良くない気がする。

 いや、でもポケモンGOを佐々木敦が編集長を務めた「文学ムック ことばと vol.1」で阿部和重が書いた「Hunters And Collectors」という短編でも登場していた。
 殺人を犯した主人公の家に少女が近づいてきていて、それがポケモンGOをしていた、というもの。

画像5

 あと、エトガル・ケレットがトランプが大統領になった時に、明らかにポケモンGOと思われる位置情報ゲームが理由で若者が戦場へ行く、という短編を書いていた。
 若者が戦争に参加する理由。
 戦場にレアなポケモンが出現するから。

画像6

 すごい世界だ。
 けれど、トランプが大統領になる、ということは、そういう世界へと傾いて行くんだ、とエトガル・ケレットに言われたような気がした。

 部屋に帰ってきて、親子丼を作り、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の新しいアニメを見る。

画像7


 僕の認識では基本的に商品名だったり店名を少しいじって、作中に登場させる。

 今手元にあったのが「古見さんは、コミュ症です。」という漫画だったので、ぱらぱらめくってみる。そこには「スタベ」という、どう考えても「スタバ」を思わせる店が登場していた。
 もちろん、商品名をそのまま使う作品もあって、例えば「空の境界」ではハーゲンダッツがそのまま使われていて、友人と昔アニメを見た後、その足で近所のコンビニでハーゲンダッツのストロベリーを二人で買った思い出がある。

 ということで、色々なパターンが作品によってあるようなのだけれど、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」はがっつり店名を出していて、それがサンマルクだった。
 そして、どう考えてもチョコクロっぽいものを食べていました。
 十九歳から二十三歳まで、サンマルクで働いていた身としては懐かしくて、少し感動しました。
 アニメとしてサンマルクを見ても懐かしく思えるんだ、と。

 それから皿洗いをして、お風呂に入って、今この日記を書き始めました。

 最後に、僕の毎日の癒しのよるさんのブログについて。
 毎夜毎晩、眠る前に読むのだけれど、そこには一人の人間の生活があって、僕は癒しと書いていて、実際に癒される部分はるのだけれど、読んで考え込む場合も当然ある。
 数日前に、掌編小説として「母」と「妻イコール女」を上手く両立できない女性の内面をよるさんが描いていた。

 ちょっと川上未映子のテイストが垣間見えて、幾つかのエピソードを足すことで、文學界とかすばるに掲載されていてもおかしくない作品になりそうだなぁと思う。
 と同時に、男性の場合の「父」と「夫イコール男」を上手く両立できない人はいるのだろうか、と考える。

 そう言えば一時期、男性側がセックスレスになる作品がばっと増えた時があって、とくに漫画に多い印象を持ったことがあった。
 けれど、セックスレスになっていることが、「父」になっている、という描かれ方をした作品は見なかった気がする。

 というか、令和における「父」とは、どのような存在だろうか。
 一家の大黒柱。
 そういう表現は古い気がするけれど、じゃあ他にどういった「父」が理想的なのだろうか。
 そして、その理想は誰にとっての理想なのだろうか。
 父を演じる本人にとって? 父を見上げる子供にとって? 父を横で見る妻/母にとって?
 分からない。随分前から考えていた気はするけど、今ここで明確な結論のようなものが書けるとは思えない。

 ただ、思い浮かぶ像もある。
 友人の話だ。その友人が学生の頃、一人暮らしをしていた長女が部屋で自殺未遂をして倒れていたそうだ。
 知らせを受けた時、まず最初に動き出したのは母と次女だった。
 友人も、その父も、ショックでその場から動けなかったそうだ。母と次女は家を出て、長女の家だか病院へと二人で向かった。
 その時、父は「こういう時、男親は駄目だな。何もできない」と言ったらしい。
 友人はそう言う父を尊敬していた。

 非常時ではない、通常のトラブルであれば友人の父は正常に動けただろう。
 けれど、本当の非常時の時、何もできない。
 なんとなく、それが「父」なんじゃないかと僕は思った。
 大前提として自分は無力だ、という場所から家族のトラブルに備えている人。

 あくまで僕はだけれど、非常時に自分は必ず正しいことができる、自分は優秀な人間だ、と思っている人より、非常時に自分は何もできないんだ、と無力感を理解している人の方が、尊敬できる。

 現在、その長女は結婚して子供もできて、年に数回は実家に帰ってくるそうだ。その時、父と長女の関係は良好だと聞いている。
 その場では無力で何もできなくとも、その後は家族として、あるいは父として出来ることをする人。

 そういう人は駄目だと言う意見もあると思うし、実際、その無力によって決定的なことが起こる時だってあるだろう。
 だから、それを理想と言うことはできないけれど、尊敬はできると僕は思う。

サポートいただけたら、夢かな?と思うくらい嬉しいです。