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リアル虫のしらせ用紙

先日、ファンタジー小説『空のあたり』を公開したのですが、公開する2週間くらい前に、不思議な事が起こりました。

その日、私はどうしても、豆腐とうふとワカメの味噌汁みそしるが食べたくなりました。ワカメは乾燥のがあるから良いけど、豆腐がありません。買い物ついでに、買ってきてもらおうと思ったけれど、父と母は、竹の子を取りに山に出かけてしまっていて、もういませんでした。ま、明日でもいいか。と、思って、私は冷蔵庫に貼ってある買い物メモに「豆腐」と、書きました。

しばらくして、二人が帰って来ました。
お昼近かったので、母がスーパーで、お弁当を買ってきたと言って、私にエコバッグを渡しました。私はバッグの中から、お弁当を取り出し、テーブルの上に並べていました。そうしたら、ゴロンと一丁の豆腐が、出てきたのです。

「え? なんでわかったの?」

さっきメモに書いたばかりで、出かけていた母は、メモを見たはずがないのに。

どうやら、最近豆腐を買っていないから、という理由で買ったらしいのですが、生鮮食品は何も買っていないのに、お弁当やお惣菜の中に、一個だけ生の豆腐が混ざっているのは、明らかに不自然でした。
父にも、「ちょっとちょっと、さっきメモに豆腐って書いたら、お母が買ってきたんだけど!」と言ったら、父は、ほんのりにやっとして、「うん」と言いました。
なんなんだ、この夫婦。

これは……リアル虫の知らせ用紙じゃん!と、私は思いました。虫の知らせ用紙というのは、『空のあたり』第4話と第5話に登場する、誰かに伝えたいことを書くと、なんとなくそれが相手に伝わるという用紙です。

4話の後ろの方と、5話の最初の方↓

きっと冷蔵庫に貼ってある、あのメモ用紙は、虫の知らせ用紙の切れっぱしでできていて、私が「豆腐」と書いたので、それが母に伝わって、母は豆腐を買ったのだと思います。

おかげで、私は無事に、豆腐とワカメの味噌汁を、食すことができました。
おいしかったです。