そっちかい

先日、数ヶ月に1回くらい立ち寄よるスーパーへ行ってきました。ドレッシングと飴あめを手に持ち、レジに並ぼうとすると、レジの店員さんの前に、まったく同じ格好かっこうをした店員さんが立っていました。なんだこれ。と、一瞬いっしゅん思いましたが、きっと店員さんが、休憩中きゅうけいちゅうに買い物してるんだ。と思い、私もその店員さんの後ろに並びました。
すると、その人が私に話しかけてきました。最初、そこにあったパネルを指さしているように見えたので、もしかしてここはセルフレジだったのか、と思った私は、「あ、はい」と言って、そのパネルを見ました。けれどその店員さんは、またもや何かを言っています。よく聞いてみると、「……レジの向こう側です……」と言っていました。

わけもわからずレジの反対側へ回ると、そこに立っていた店員さんの手元に、まんじゅうらしきものが見えました。そこで私は気づいたのです。

そう。私が休憩中の店員さんだと思っていたのは、実はレジ打ちの店員さんで、私がレジ打ちの店員さんだと思っていた方が、休憩中の店員さんだったのです。

これは、巧妙こうみょうに仕組まれた罠わなだ。と、私は思いました。なぜなら隣となりのレジでは、左側が店員さんで、右側がお客さんなのに、私が並んだレジは、それが逆だったのです。よく見ると、レジは向かい合わせになっていて、真ん中の通路にお客さんがニ列に並ぶ形になっていました。

レジ打ちの店員さんからすると、知らない人が、のこのことレジの中に入ってきたことになります。
私は、とても恥ずかしかったです。けれど、それと同時に、じわじわと笑いがこみあげてきました。

向かい合わせに立っている店員さん二人のシュールな構図こうず。そしてその瞬間に居合いあわせ、まんまと騙される私。

自動ドアが開いた瞬間しゅんかん、私は、ハッ！と笑ってしまいました。

世の中は、おもしろいことで、溢あふれています。