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どんな木を育てているか、その時はわからなくても

Spirit of a Womanの最新動画が公開されました。

2024年に入って初のYouTube更新です。

トピックは、29歳の女性の視聴者さんからいただいた「仲よかった友達と別々の道を行く、なんとも言えない寂しさ」について、です。

動画ではそれぞれの29歳を振り返りつつ、分離感、孤独感をどう捉えるかということについていず美ちゃんがお話しています。

わたしの29歳といえば、コピーライター(広告の文案家)という、情熱を傾けられる仕事を見つけて、めらめらと燃えていた頃です。

仕事(と会社)を通して出会う物事すべてが刺激的で面白くてイケイケドンドンの時。

逆に、仕事以外のことは突然つまらなく感じ始めて、結婚を意識していた当時の恋人とは話が合わなくなってしまってお別れし、学生時代からの友人と遊ぶ機会も減っていきました。

でも、その時は寂しさはなくて、むしろ新しい世界が開いたような充実感の方が大きかったんです。

それが一転したのは翌年、30歳になってから。

自分の腕を傷つけるアームカットが始まってしまったのです…。

アームカットのきっかけは、今思い出しても人生で一番つらかったと感じるある出来事でした。

だから、最初、原因はその出来事だと思っていました。

でも、しばらく後に心理カウンセリングを受けるようになって、捉え方が変わってきました。

わたしは、自分でそうと知らないうちに、自分を幸せにしない考え方をしていて、だから、知らないうちに自分を幸せにしないような選択を積み重ねていて、その結果として自分にとって最大級につらいこの出来事を引き起こしたのだ、と理解するようになったんです。

いやいやいやいや、わたしは幸せになりたい!自分を幸せにしない考え方はもういらない!

そこから、自分の内側への旅が本格的に始まったわけですが、なんせ自分でする自分の旅だから孤独です。

ガイドブックがないから迷うことも多々。

特にわたしを混乱させたのは、自分の内側を見つめる中で聞こえてくる声のうち一体どれが自分の声で、どれが社会や周囲の声なのか、区別がよくわからなかったことでした。

この仕事が好きっていうけど、本当にやりたい仕事なの? 

(社会的に認められたいって気持ちからそう思っているだけじゃない?)

結婚をしたいって言うけど、本当にしたいの?

(周囲の無言の圧を感じてそう思っているだけじゃないの?)

今回の動画内でそのことをちょっとお話しているのですが、あれから20年が経って、いず美ちゃんの「20代後半からは自分の木を育てる」という話を聞いたわたしは、「あの頃、孤独と混乱の中で右往左往しながら生きていたことそのものが自分という木を育てることになっていたんだなぁ」と感慨深くなりました。

わたしの場合、30歳のその当時には、自分がどんな木を育てたいかは見えていませんでした。

でも、不思議なことに、今の自分を見ると「わたしの育てたかった木を育ててた!」って感じるんです。なんなら「結構、ちゃんと育ててきたじゃん!偉いじゃん!」って誇らしくさえ思うんです。

あの頃のわたしは、「これがわたしの育てている木です!」と胸を張って言えるものは何もなく、むしろ「どれがわたしの木なの?」と暗中模索しかなかったけれど、自分の内側に目を向けて生きようと試行錯誤はしていて、その試行錯誤こそが自分の育てたい木を育てていることになってたんだって、20年の時を経て新しい認識が生まれたのでした。

木を育てる過程では、成長のために人とは距離を置いて自分に集中する時期がきっと必要です。でも、それは人生という旅路のある地点での話。旅を続けていくと、まったく違う木を育てていた友だちが実は同じ森にいたことがわかる…というふうに、当時は思いもよらなかったその先の景色と出会えたりするんですよね。そんな「あの頃の未来」を嬉しい驚きと共に体験させてもらっているアラフィフです。