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すんき#2|すんきの菌の話

すんき記事パート2。すんきにはこんな乳酸菌がいるよって話。ネタ元は取材時の聞き取りと『無縁の漬物 木曽のすんき(木曽すんき研究会著/2014年)より。

パート1はこちら↓

4つのすんき乳酸菌

すんきには1g(漬け汁1ml)中数億個の乳酸菌がいるとわかっていて、20種類以上の乳酸菌が動いてあの味を作っているのだとか。
(この乳酸菌量はヨーグルトに負けない数!)

汁にもいっぱい乳酸菌

取材時に聞いた話では、分かっているのが20種類なだけで、50種類くらいいるんじゃないか?という話だった。

その中でも、「すんき乳酸菌」の4つに指定されたのが
① プランタルム菌(Lactobacillus plantarum)
② デルブルキー菌(Lactobacillus delbrueckii)
③ ファーメンタム菌(Lactobacillus fermentum)
④ パラブフネリ菌(Lactobacillus parabuchneri)

これら4種類の菌が仕込み初期段階から動いている。

プランタルム菌を使った「植物性ナノ形乳酸菌SNK®」や植物性乳酸菌ヨーグルト「SNKY(スンキ―)」なんてのも販売されているみたい。

温かくて動く菌、ぬるくて動く菌

私はヨーグルティアを使ってすんきを作ってみたけれど、取材先では保温器を使わずに容器に毛布を巻いて保温していた。もっと昔、家庭で作る時は火鉢やこたつを利用していたそう。
12時間温かくして発酵させたら、2日目からは寒いところで発酵(というかそのまま放置するだけで11月の木曽福島は寒い)。
完成したら冷蔵庫に入れておけば来年の種菌としても使えるような状態(食べられる状態)が続くらしい。

毛布の中には仕込みたてのすんき

この行為をすんき乳酸菌的にみると、
②デルブルキー菌と③ファーメンタム菌は比較的高温域(37~45℃)を好み、①プランタルム菌と④パラブフネリ菌は中温域(15~30℃)を好むようなので、②デルブルキー菌と③ファーメンタム菌が最初に働き、①プランタルム菌と④パラブフネリ菌が後から動いていくことになる。

ちなみに、①プランタルム菌と②デルブルキー菌はカブに含まれる糖を使って乳酸を作り(ホモ型)、③ファーメンタム菌と④パラブフネリ菌は糖を使って乳酸の他にアルコールや酢酸、炭酸ガスを出す(ヘテロ型)。

つまり、温めていても冷めてからでも乳酸も酢酸もガスも出る。すんき乳酸菌たちは15~45℃で動くので、冷蔵庫(2~5℃)に入れておけば休眠する

(③ファーメンタム菌が作り出すコハク酸についてはパート1「ヨーグルティアで自家製すんき(とすんきのうま味の話)」を参照)

ビーガンの救世主?!

動物性食品を摂取しないビーガンの人が世界的に増えていて、ビーガン対応のお店やメニューなども目立つようになってきた。
ビーガンの人が不足になりがちと言われるビタミンB12。ビタミンB12は必須ビタミンであり、赤血球の正常な合成や脳の正常化に関わる重要なビタミンであるものの、動物性食品から摂取できても植物性食品からはほとんど摂取できないと言われている。

ちょこっと調べた中で、簡単に手に入ってビタミンB12が含まれる植物性食品はシイタケと海苔。ただ、1日の必要量を満たすにはべらぼうな量を食べないといけないらしい。

そこで、すんきの登場。すんきにはビタミンB12が含まれていることがわかっているので、ビーガンのビタミンB12補給になる可能性を秘めている。

ただ、100gあたりのビタミンB12含有量は調べきれなかったので、1日どのくらい食べたらいいのかは不明。(でも「ビタミンB12豊富」などの記載もネット上には合ったので、シイタケや海苔レベルの含有量ではないと推測。)

とはいえ、いかんせん、塩を使っていないので、食べすぎても塩分過多にならないのは他の漬物にできない芸当。ビーガンの方、漬物が好きだけど塩分を気にする方にはおススメですね、すんき。

その他、アレルギー予防やインフルエンザ防御作用、ピロリ菌の増殖抑制作用など様々な健康効果が報告されています。


すんき記事パート3↓


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