マガジンのカバー画像

連句を学ぶ

7
カウンセリングと通ずる匂いを感じ「連句」を習っています。教えていただいたこと、考えたこと、やってみたこと、評価いただいたことなどを、書きとめています。
運営しているクリエイター

#連句

「具足(句材)すくなく、するするとした句を、思ふところなく口軽く付くべし」~二条良基の連歌修行論に学ぶ~

今を遡ること700年前に生まれた二条良基。時は南北朝時代。その良基が記した【連理秘抄】(1349頃)という連歌論書に、連歌を修行するうえでの心構えの文がたくさん書いてある、繰り返し読んで学びなさい、と連句の先生に教えていただきました。 2019年秋キャリアコンサルタントの仲間と大人の修学旅行と称して、旅した京都。ちょうど下賀茂神社を参詣し、糺の森を並び歩いて世間話したこときっかけで、先達が通っていた朝日カルチャーセンターの「連句入門」の1日体験に誘っていただいたのが、私と連

歌仙「雁帰る」 衆議判 起首 R4.4.3

新宿のカルチャーセンター、春4月の連句興行。 新学期、新しいメンバーの方も加わって、全員の出句、合議制の互選で付け進める「衆議判」での<歌仙>の実作が始まりました。 連衆(参加メンバー)の一人であるわたしは、2019年の秋に入門して2年半が経過。人生後半戦の手習いごと、三日坊主になるんじゃないかと思いましたが、諸先輩方のサポート手厚く、また自分としてもそこはかとない興味関心が続き、隔週の通学を続けています。 連句の発句(第一句)を詠む時には、 ・当季を詠む=一巻興行のその季

歌仙「雁帰る」 脇句 R4.4.3

連句における脇句(第二句目)のルール。 ・発句と同季、同場、発句の表現している範疇を出ず、発句にうち添い、敷衍(やさしく言いかえしたり詳しく述べたり)し、引き立てるように。 発句の挨拶に返す意味で、発句によりそい、その言い残した余意・余情を付けるのが本意。 この日治定されたMさんの発句 雁帰る学生寮の世界地図    仲春 場 を読み返す。秋、北方より渡来し、春、北方へ帰る雁。「帰雁」と同季である仲春の季語を十七季・季語辞典を捲りながら物色していると、「万愚節」=エイプリ

歌仙「雁帰る」 第三句 R4.4.17

発句  雁帰る学生寮の世界地図     M  仲春 場  脇   インクの壺に蒲公英の絮    H  三春 場 第三句目をどんな風に詠めばよいのかを復習。 ・初折の表の六句までは序の段として「穏やか」に詠みます。 ・発句が春・秋の句は、第三まで春を詠む決まりなので、季節は「三春か晩春」の句にします。 ・前句を受けながらも発句・脇の境地から大きく転じ、長高く(格調高く、風格があって、調子が整っている)姿の良い句を詠む、ちょっと気合がいります。留め方を「に・て・にて・らん・もな

歌仙 桜餅の巻 膝送 ナオ三 R4.4.22

お誘いいただき、文韻でも歌仙を巻く機会を頂戴しています。 大先輩方にまぎれて足引っ張りにならないかどうかと心配しつつ、 皆様懐深く優しくご指導いただけるので、身を任せての「四吟」。 「膝送り」という形式です。 捌きのTさんより 桜餅四条高倉東入る      晩春 場 という句が発句として出されました。 脇句は私の番。 四季折々、京都は美しいと感じますが、春の桜の季節もほんとうに素敵です。コロナで関西方面に行く機会がすっかり減ってしまいとても残念。私と連句の出会いの街でも

歌仙 桜餅の巻 膝送 ナオ七 恋 R4.4.30

先輩方の四吟のペースだと2~3日にいっぺんは、私が句を詠む順番が回ってきます。捌きの方がどんな句を選んで、どういうところを一直して治定したのかという背景や、次に詠む句の季節や自他場の別、留め方の注意などもあわせてメールをいただくので、初学の私は、そのメールを読みながら、通勤路であれやこれやと歩きながら考えて必死で詠みます。 どうしても苦手な「恋」の句を詠む、名残の表の七句目の番が回ってきてしまいました。 この前に私が詠んだ句からの展開はこうです。 ナオ 三  刺し子針動

歌仙「雁帰る」 第四 R4.4.

発句  雁帰る学生寮の世界地図     仲春 場  脇   インクの壺に蒲公英の絮    三春 場 第三  若布干す潮の匂ひを纏ひゐて   三春 自 次の第四句目は、宿題でメールでT先生に送ることになりました。 〆切までは1週間。まずは復習。 四句目の短句は「句中に作をせず」ともいわれ、昔の出来事や古典からの引用などは避けたり、花の句は出してはいけず、軽く詠むという習いだそうです。句調が整わないことを嫌うので、七字が四・三、二・五の形もNG。 人情の句は二句以上続ける(