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ダンスの振付師の重要性

初めまして。
振付師 兼 マサラチャイ専門店の さと と申します。

僕はたくさん持論を持っているのに、なぜこんなに隠してるんだろうと、ふと思いまして、ノートを始めてみることにしました。

今回は、「振り付け」というテーマでお話しします。

僕にとっての振り付け

まず、僕にとって振り付けとは、
心の中から温泉のように出てくるものです。
これは人によって違います。

僕の場合は、出る量はいつでも一定で溜めておける量も決まっています。
使わないと溢れ出すし、使いすぎるとカラッカラになるのでまた溜まるのを待たないといけません。たまに足りないからと土を掘り出して絞り出すこともあります。

絞り出すという行為は案外しんどいもので、振り付けが後半になっていくと、少しずつその曲は嫌いになってきています。飽きるのではなく嫌いになるんです。早く終わってくれないかなと思ってしまいます。
心を削ってるようなものなのでそりゃそうかとも思いますが。

でも本番が終わり、半年くらいして見直すと。さらに3年くらいして見直すと、
「なんだ。悪くないじゃん。」と思えます。
その時にしか思いつかない振り付けがあって、「そんな音の取り方、今はしないなぁ。参考にしよ。」とか。
心を削った思い出を忘れて他人行儀になれるからでしょうね。

この温泉のように振り付けが湧き出てくる現象は中学生の時くらいからです。「自分で振り付けた方が楽しくおどれるじゃん。」という軽い気持ちで始めた振り付けをまさか職業にするとは。

振り付けは専門職

振り付けについて常に考えているからこそ思うのが、
「ダンスが上手な人は振り付けも上手」
と思われている部分です。

そんな世の中とのギャップにたまに驚かされます。
日本はダンスの文化がまだ浅いのもあって、ダンスを見るという習慣があまり無いため、ダンスへの理解も結構浅いと思います。

僕は、ダンサーと振付師は真逆だと思っていて、
ダンサーは出演者で
振付師は演出者です。
文字にして思いました。漢字入れ替えただけやん。

出演者は舞台上で踊る人たちです。
演出者は舞台上に色をつけていく人のことです。

出演に向いている人は、
ダンスを踊るのが好き、舞台に立つのが好き、拍手を貰いたい、自分を見てもらいたい、照明を浴びるのが気持ちいい
という人が多いです。
僕の中では、頭では考えずにパッションで体に任せて踊る人や、練習やレッスンが大好きな人が向いていると思っています。

演出に向いている人は、
振り付けを作りたい、大きなことを成し遂げたい、自分の世界観をつくりたい、表現したい。
という人が多いです。
もちろん僕は後者です。

僕は「この筋肉に今これくらい力を入れておいて、このタイミングでこっちに足を出す」というように論理的に考えてダンスを踊りますし、演出もめちゃくちゃ計算します。全体の流れを考え、お客さんが飽きないようなものを作ろうとします。

僕はパッションタイプの人には絶対にダンスで勝てる気がしません。身体から音を発して踊るのは身体に染み付いている証拠ですよね。
逆に、パッションタイプの人たちは、細かい振り付けや演出が苦手なように思います。同じような振り付けを何度も繰り返したり、構成が一定だったりします。

真逆なんです。ダンサーと振付師は。
自分で踊りながら自己プロデュースされる方も多いので、混ざってしまう気持ちは分かるのですが、
「ダンスが上手な人に振り付けをお願いすれば良いか。」
という軽い気持ちで振り付けをオファーするのはオススメしませんね。

海外では振り付け師とダンサーは結構はっきりと分かれています。
全員が両方できるわけじゃないので、ぜひ日本でも振り付け師を慎重に選んで、
素敵な振り付けが世の中にたくさん出回ることを祈ります。

更新日:毎週月曜
Instagram:@satochen.s

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