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コンビニのパスタは美味しい

仕事が休みだという父から、昼ご飯の相談を持ちかけられた。いつもならストックしてあるはずのカップ麺も、前日の夕食の残りも、何もないのだという。それなら近所のコンビニでお弁当を買ってくるか、という話に。父が買ってきてくれるというので、私はパスタをリクエストした。

結果、買ってきてくれたのはトマトクリームパスタだった。私のイメージそのままだった。トマトを使ったパスタを食べたかったのだ。父はエスパーなのだろうか。


コンビニで温めてもらったらしく、熱々の状態で父は持ち帰ってきた。蓋を開けた瞬間、自由を手に入れた湯気は勢いよく飛び出し、空気中に消えていく。その後、湯気を追いかけるように香りがふわっと湧き出る。鼻をくすぐるトマトの酸味が、私の食欲を一層かき立てた。

パスタは、私の好物。麺類はなんでも好きだけど、パスタが特に好き。でも、パスタを食べるなんていつぶりだろう。そんなことを考えながら、銀色のフォークに黄色いパスタと赤いトマトクリームを巻き付けていく。美味しい。そりゃあ、美味しくないと店頭に並ばないんだけど。やっぱり美味しい。さらに、トマトクリームの酸味となめらかな舌触りが私の舌を包み込んでくれる。私の好みの味。美味しい。私は好き。

ただのトマトクリームパスタかと思ったけど、思っていたよりスパイシーな味覚も舌を刺激してきた。よく見たら、輪切りの赤唐辛子の姿。マイルドだけでは済まなかった、トマトクリームパスタの密かな反抗心。私はそれを垣間見たような気がした。そうでもなければ、トマトクリームパスタに唐辛子なんて入らない。

さらに、小ぶりな海老がパスタにアクセントを加えてくれる。海老ってサイズ問わず美味しい。海の恵みをパスタに加えてくれる、偉大な存在。ブロッコリーは日の丸弁当でいうお新香のような立ち位置。でも、野菜があるだけで色のアクセントになる。ダイエット中の方にとっては、野菜が添えられているだけで罪悪感がスッと消えるはず。純粋にパスタの美味しさを噛み締められる土曜日の昼間、最高。


久しぶりのパスタで、お腹も心も大満足。外は雨雲で重々しい雰囲気を醸し出しているけど、私は大好きなパスタのおかげで軽やかな気分。

そういう小さな幸せを、これからも見つけていきたい。平和な世の中で幸せを噛みしめられる今を、ありがたく思いながら。

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