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【美術展レポ】たばこと塩の博物館ー杉浦非水 時代をひらくデザイン展に行ってきた!



こんにちは、宮寺理美です。

外出を控える生活を始めて早1年半ほど…
美術館や博物館に行く回数も、
以前と比較するとめっきり減ってしまいました。
しかし、今年はどうしても行きたい特別展があったんです!

それがこちら。
杉浦非水 時代をひらくデザイン展です。


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今回は、巡回展2番目の会場であるたばこと塩の博物館
学芸部長の鎮目さん、広報担当の袰地さんにお話をお伺いし、
杉浦非水、そして、たばこと塩の博物館の魅力に迫ってきました♪

※当記事に掲載した写真は、特別な許可を頂いて撮影しております。
特別展示室は撮影禁止です。ご注意下さい。


杉浦非水 時代をひらくデザイン展 開催概要


たばこと塩の博物館
(〒130-0003 東京都墨田区横川 1-16-3 アクセスはこちら)

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開催期間:2021年9月11日(土)~11月14日(日)
開館時間:午前11時~午後5時(入館締切は午後4時30分)
休 館 日:毎週月曜日(但し9月20日は開館)、9月21日(火)
入 館 料:大人100円
      満65歳以上50円(要証明書)
      小中高生50円

※詳細はこちらをご確認下さい
※会期中に展示替えがあります。
(前期:9月11日~10月10日 後期:10月12日~11月14日)
※混雑時は入場制限を行う場合がございます。
※三重県立美術館、福岡県立美術館での展示予定はこちらをご覧下さい。

最新情報はたばこと塩の博物館公式Twitterでご確認下さい。


杉浦非水 時代をひらくデザイン展は、
2階の特別展示室で開催されています。
フロアのご案内はこちら
2階と3階にそれぞれ常設展もあります。
そしてなんと、
入館料100円で、特別展と常設展、どちらも見ることができます。
(太っ腹すぎてびっくり!)
館内にはエスカレーター・エレベーターがあります。

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感染予防対策も実施中です。
入り口で手指の消毒をして、右手に進むと受付があります。
受付の手前で、検温を実施していました。
対策バッチリ!安心して観覧できますね。

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指先を「ピッ」ってして検温するタイプです。

特別展が混雑した場合は、入場制限をする場合もあるとの事です。
待機場所もソーシャルディスタンスです…!

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杉浦非水ってどんな人?


本展では、杉浦非水を「日本で最初のグラフィックデザイナー」と紹介しています。
杉浦非水は愛媛県松山市で1897年、明治9年に誕生しました。
(廃刀令が発布されたり、上野公園の開園式が行われた年です。)

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非水は故郷の愛媛県松山市で日本画を学び、その後上京します。
上京した先でも日本画家に師事し、
西洋木版画家の合田清、そして西洋画家の黒田清輝の2人に出会います。
明治30年には東京美術学校に合格。
そしてその後、黒田清輝がパリ万博から持ち帰ったミュシャのポスターに出会い、
デザイナーを志す事を決意したのだそうです。
(出典:杉浦非水 時代をひらくデザイン 展覧会公式図録


デザイナー杉浦非水の軌跡を辿る展示


今回は、
たばこと塩の博物館 鎮目さんにお話をお伺いさせていただきました。

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展示は「第1章 図案との出会い」から始まります。
鎮目さんによると、
「孔雀」は、本展の見所のひとつ!との事です。
大きな美しい孔雀!今にも動き出しそうです。
※「孔雀」は前期(10月10日まで)のみ展示されています。

当時、日本ではまだデザイナーという職業は浸透していません。
非水を広告デザイナーに起用したのは、
明治38年「デパートメントストア宣言」を発表し、
百貨店として新スタートを切った三越呉服店でした。
新しい経営方針には、新しいデザインがすごく大事ですからね…!

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(お話しながら、スマホで必至にメモをとっております。笑)

非水が手がけたポスター(大正3年)と、
洋画家・版画家の岡田三郎助が手がけたポスター(明治42年)
が並んで展示されていました。
「岡田三郎助のポスターは、”三越呉服店”の文字が無かったらほぼ絵画ですよね」
と鎮目さん。

確かに、こうして比較すると、
非水のポスターは「広告」として作り込まれているように見えます。
当時の印刷技法、石版印刷(リトグラフ)に合わせたデザインもキーポイントなのだとか。
本展にお越しの際は、ぜひ比較してご覧になってみて下さい♪


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非水は三越呉服店に新設された図案部の初代主任として活躍しますが、
嘱託社員というポジションを貫き、数々のデザインを手がけます。
「第2章 図案の開拓者」には、
非水の手がけたデザインが集結していました。
中でも私が好きなのは、
柳川春菜著「かたおもひ」や、菊地幽芳著「百合子」の装丁です。

ただ、私がすぐにピンと来るほど著名な作者は与謝野晶子くらいで、
他の方々はあまり耳馴染みがないなぁ…
と、ちょっとだけ、ちょっとだけ思っていました…
(すみません…)

鎮目さんにお伺いしたところ、
「著名な作家さんの装丁は著名な画家が手がける」のだそうです。
(言われてみれば当たり前ですよね…笑)


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杉浦非水 時代をひらくデザイン 展覧会公式図録によると、
当時、本の装丁は著名な画家が片手間でする仕事、
とのイメージも強かったのだそうです。
非水は「商業デザイナー」という職業の開拓者でもあったんですね。


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「第3章 自然に学ぶー写生と図案」も、本展のみどころの1つです。

非水のデザインは、かなりデフォルメされているものが多いです。
しかし、非水はあくまで「自然から学ぶ」ことに拘り、
写生に取り組み続けたそうです。
「非水百花譜」は、商業デザインとはかなり作風が違い、
展示室内でも異彩を放ちます。


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私は特に、非水の描くデフォルメされた猫ちゃんが好きです♪笑

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写生や日本画が基盤にあると分かると、
デフォルメされた図案を見る視点もちょっと変わってきます。



非水は大正11年、46歳にして初のヨーロッパ遊学を果たします。
その際に持ち帰った、ちょっと不思議なコレクションや、
几帳面なスクラップブックなどなど、
「第4章 非水が目指したもの、のこしたこと」では、
杉浦非水の人物像が伺えるコレクションが展示されていました。

杉浦非水の妻・翠子さんのコーナーもあります♪
翠子さんはアララギ派の歌人でもあり、
かなり華やかで激情家だった、なんてお話もあるのだとか。
帯からは、モダンで華やかな雰囲気が漂っていました。


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大きな展示スペースには、
あまりにも有名なポスターがずらり。圧巻です。

ヨーロッパから帰国した非水は、
図案に関する啓蒙活動も積極的に行ったそうです。
デザイナーという職業を自ら開拓し、向き合い続けた杉浦非水。
非水の図案の普遍的な美しさの秘密が、
ぎゅぎゅっと詰まった企画展でした。

杉浦非水 時代をひらくデザイン展
後期展示もとっても楽しみです!!


めっちゃ可愛いフォトブース


さてさて、今回の展示は撮影NGですが、
こんな可愛いフォトブースがあります。

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1927年(昭和2年)の杉浦非水のポスターに入れちゃいます。
(東京の上野~浅草間に日本発の地下鉄が開業した際のポスターです。)

そっと立つだけで杉浦非水のポスターの中に入れちゃうなんて、
このフォトブース、可愛すぎて天才すぎませんか…!!
(写真撮影の時だけマスクを外しました)


可愛すぎる杉浦非水グッズたち


たばこと塩の博物館のミュージアムショップは常に可愛いのですが、
今回の特別展も、グッズが物凄く可愛いんです!

たばこと塩の博物館、広報担当の袰地さんのお勧めは
フェリシモミュージアム部とコラボのエコバッグだそうです♪

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可愛い図案のバッグの部分をくるくる巻いて、
エコバッグの持ち手で留めると、くるくる巻いて小さくした状態や、
手持ちの物(カバンの持ち手など)に装着できます。
薄地なので重い荷物を入れるのはちょっと無理かもしれませんが、
スカーフ風にできるがいいですね~!便利だし可愛い!

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「大充実の図録もオススメです!」との事です。
行きたいけど行けない!という方にもオススメですよ~!
カラーページがぎっしり、解説も読み応えがありました。

ミュージアムショップで購入すると、持ち手のある袋に入れて頂けます。
でも、やっぱりちょっと重いので、
気になる方はエコバックをお持ち下さい。

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私のおすすめはネイルシールとマスキングテープです♪
実は、実際にネイルシールを使用して会場に行きました。笑

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私の爪にはちょっと大きさが合わなかったので、
カットしてから貼って、
ジェルネイル風のトップコートを塗りました。

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ポーチも買っちゃった…笑
収納の箇所はちょっと小さめです。(スマホが入るくらいの大きさ)
内側に鏡がついている仕様です。
お化粧品をちょこっと入れておくのに便利ですね。

グッズや図録はオンラインショップでも購入できます!
オンラインショップはこちら
(マスキングテープはお取扱いはしていないみたいです…)


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ミュージアムショップは1階、出入り口のすぐ側です。
※通常は撮影禁止です。



たばこと塩の博物館は常設展もすごい!


たばこと塩の博物館は、
入館料100円のみで、特別展と常設展、どちらもも見ることができます。
(※会場によって観覧料が異なるので、
別会場に行く予定の方はこちらと各会場のHP等をご確認下さい。)

嗜好品して長く嗜まれてきた「たばこ」、
世界中の人々の生活必需品「塩」、
文化的な背景を知ると驚く事も多いと思います。
しかも、なんと、常設展は撮影可能です…!
※フラッシュを使用しての撮影は禁止なので、ご注意下さい。

今回は、常設展の一部をご紹介させていただきます。
3階の常設展は、
「たばこの歴史の文化」と「コレクションギャラリー」です。

「たばこの歴史の文化」は、たばこの起源からスタート。
古代アメリカの文化から始まります。

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どーん!

葉巻、嗅ぎたばこ、噛みたばこなど、
たばこと言っても、種類がいっぱいあるんです。
現代ではあまり良いイメージの無いたばこですが、
特に嗅ぎたばこは、フランスや中国の貴族階級の人々に愛されたそうです。

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喫煙具にも各国の文化・風習が反映されていて、
細かな細工や装飾がとても美しいです。

私が特に好きなのは、この「業平たばこ店」です。
看板娘ごっこができます!笑

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なんとこのカウンター、
実際に使用されていたお店のものを移設したんだそうです。
ど、道理で年季が入ってると思った~!!

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たばこのパッケージが勢ぞろいのコーナー。
下部は引き出し式になっていて、
たくさんのたばこパッケージを見ることができます。
(すぐ近くに消毒液もあります!)


2階の常設展示「塩の世界」では、
世界の塩資源や、日本の塩の製造方法などが展示されています。

展示室の入り口付近にはこんな像が。

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ポーランドのヴィエリチカ岩塩坑の「聖キンガ像」の再現です。
聖キンガはカトリックの聖人。
なのに、つい両手を合わせてしまいました…すみません…笑

たばこと塩の博物館、広報担当の袰地さんによると
「石みたいに見えるんですけど、岩塩の彫刻なんですよ」
との事!!
周辺のアーチや聖キンガ像の背面の壁、
天井にあるシャンデリアのキラキラの部分も、全部塩なのだそうです。
しかも、聖キンガ像はポーランドの坑夫さんの作品。
現地で製作したものを運搬したのだとか…!拘りがすごい…!

日本の塩の製造方法を紹介するコーナーには、
濃い塩水を煮つめて、塩を取り出すための建物
「釜屋」の展示があります。

この釜屋も、能登で実際に使われていた釜屋なのだそうです。
「たばこと塩の博物館の移転とちょうどタイミングが合ったので、
譲っていただいたんですよ」と袰地さん。
白い部分は展示のために新しく作った箇所ですが、
確かにこちらも年季が入っています…!

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塩田の模型もあります。
写真だとちょっと小さめに見えるのですが、
実物を見ると、もっと大きく感じます。

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大充実の特別展、
そして大切なことを学ぶことができる常設展。

たばこと塩の博物館は大好きな博物館のひとつなのですが、
ちょっとでも「お、いいな、行ってみたいな」
と思っていただけたら嬉しいです♪


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鎮目さん、袰地さん、
快く対応していただき、本当にありがとうございました!

たばこと塩の博物館では、面白い特別展を随時開催されています。
最新情報はたばこと塩の博物館公式Twitterでご確認下さい♪

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撮影:ゆういち