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生きのびるための事務【読書録】

生きのびるための事務 / 坂口恭平=原作・道草春子=漫画

私は、「事務」という言葉から想像される数字とかお金とか手続きとか、そういったものに対して強く苦手意識を持っていた。数字やお金の話になると思考停止をして、向き合わずになんとなくやり過ごしてきた。

そんな時に本書を知り、表紙の文字や絵、ポップに書かれた「夢を現実にするたった一つの技術 事務(必要なものはノートだけ)」との言葉から、堅苦しくてつまらないイメージの「事務」に歩み寄れそうな気がして、購入した。


「事務」がこんなにも人生を楽しくするための方法を教えてくれるものだとは、驚いた。
これまでは10年後どうなりたいかと言われても、なんだかわからないなあと思うしかなかったが、10年後の1日の動きをノートに書きだしてみると書けた。≪将来の夢≫でなく、その前に ≪将来の現実≫があるのだ。

1日4時間の執筆をする設定であれば、現実でも、書くことが無くてもただ書くという≪やり方≫を実践すればよい。できないと言っているときは、技術的にできていないのではなく、設定した≪事務≫の≪方法≫が間違っているだけなのだと。

≪事務≫は「好きとは何か?」を考える装置でもあり、他者からの≪評価≫など不要で、好きなことを継続してやればいいとわからせてくれる。
そして、継続さえできれば、「どうせ最後はうまくいく」のだ。


筆者の生活をもとにかかれており、ジムというイマジナリーフレンドが淡々と事務の≪やり方≫を教えてくれる。

自分を否定したり不安になったり、反対に自分に才能があると褒めたりもしないジムの言うとおりにすると、ノートにすらすらと書き出すことができ、≪事務≫は継続するための≪やり方≫なんだとひどく納得することができた。

漫画の絵もとてもかわいく、ジムのとぼけた感じには声を出して笑いながら読み進めた。
うまくいくしかないと腑に落ちる、とても面白い作品。


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