なごみ

日々の暮らしから思うことや茶の湯のことをつづります。 日本の古くからの文化や暮らし、日…

なごみ

日々の暮らしから思うことや茶の湯のことをつづります。 日本の古くからの文化や暮らし、日本人の感性の美しさに魅了されています。地方、町家暮らし。表千家で茶の湯の道に入って10年。

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丁寧な暮らしという幻想

「丁寧な暮らし」と聞いて、みなさんはどんなことをイメージするだろうか。 出汁からとった味噌汁や何品もの手料理が小皿に並ぶ食卓。早朝に起きてヨガの後、窓辺で豆から挽いたコーヒーを片手に読書の時間。高級そうな家具と観葉植物や花で彩られるリビングルーム。 このようなライフスタイルに憧れつつも、時間とお金に余裕のある人たちのみができることだろうと思う人も多いのではないだろうか。 そして、どこか自分の今の生活との乖離を感じて、現状への満たされない気持ちを高めてしまう。 私もその一人

    • 生きのびるための事務【読書録】

      生きのびるための事務 / 坂口恭平=原作・道草春子=漫画 私は、「事務」という言葉から想像される数字とかお金とか手続きとか、そういったものに対して強く苦手意識を持っていた。数字やお金の話になると思考停止をして、向き合わずになんとなくやり過ごしてきた。 そんな時に本書を知り、表紙の文字や絵、ポップに書かれた「夢を現実にするたった一つの技術 事務(必要なものはノートだけ)」との言葉から、堅苦しくてつまらないイメージの「事務」に歩み寄れそうな気がして、購入した。 「事務」がこ

      • わたしが考える「地方の豊かさ」とは

        「自然豊かな環境で家族と一緒にのんびり過ごせます」 地方移住のうたい文句では、こんな表現を全国各地でよく聞く。 わたしは地方に住んでいて、地方の魅力を日々実感している。そんな私が移住者向けにアピールするとしたら「自分が必要な情報を自分でつかみ取り、土地の味わい深さを堪能し、 五感を刺激する日々を過ごせます」といったところか。 コロナ禍を経て地方移住の動きがみられるかと思ったが、東京一極集中の流れは相変わらずである。2023年は名古屋圏、大阪圏の大都市圏さえも転出者が転入者を

        • 【表千家同門会】同門 令和6年5月号

          千家十職  塗師 中村宗哲[二] 当代十三代による千家十職としての思いを語る。 「千家の職家として肝に命じているのは、私自身の作品ではなく、お家元のお道具をつくらせていただいているということに尽きます」 「お家元のご意向に叶う道具を、つくり手の感性を通して表現するにはどうすればよいかをとことんまで考え、常に自分を一歩引いて見る客観性が大切であると思っております」 千家十職は、作家であり職人でもある職家なのだと理解することができ、それは非常に複雑な立場のように思う。 代々続

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        丁寧な暮らしという幻想

          はじめての掛軸

          床のある町家に引越し半年が過ぎ、 ようやく床に掛軸をお迎えすることができました。 ネットや小道具屋を物色していたのですが、用途や予算に合うものを探すのは思いの外難しく、時間をかけて気になるものを見つけました。 お気に入りの掛軸は、宗旦筆 瓢箪画賛です。 『瓢箪の達磨に成るもどふりなり 芦の葉に乗る程の身なれば』 瓢箪を達磨に見立てています。達磨というのは、禅宗の祖である中国の達磨大師です。 達磨大師には、一片の芦葉に乗ってインドから中国に渡ったという伝説があります。イン

          はじめての掛軸

          仕事第一主義になっている社会

          世界的に見ても、日本人は働きすぎとよく言われている。長時間労働からの過労死問題も深刻であり、近年では「Karoushi」と世界的に取り上げられているほどである。 例にもれず私も長時間労働に悩まされた一人である。数カ月前に過労からの精神疾患と診断され、1か月休職をしていた。働きはじめて10年近くであるが、こんなにまとまって仕事をしなかったことが無く、この1か月は私にとって思考も身体も変わるきっかけをくれた貴重な時期となった。 元来、私は仕事大好き人間ではないし、興味はあるが完

          仕事第一主義になっている社会

          静かな働き方 「ほどよい」仕事でじぶん時間を取り戻す 【読書録】

          仕事の過労から休職中の時に見つけた本書。 『「ほどよい」仕事でじぶん時間を取り戻す』という副題に惹かれ、すぐに手に取った。 休職中は仕事との向き合い方、付き合い方を悩み続けていたため、自分にとってのヒントを探したく読んだところ、もやもやしたものを少し晴らすことができた。 静かな働き方 「ほどよい」時間でじぶん時間を取り戻す /シモーヌ・ストルゾフ 著  大熊希美 訳 本書は9章にわたって展開されており、各章でもともと仕事人間だった人たちの事例が紹介されている。 それぞれの

          静かな働き方 「ほどよい」仕事でじぶん時間を取り戻す 【読書録】

          茶の湯体験での着物

          お茶の先生がお知り合いの方々をお茶室に招かれ、お茶をふるまう体験会のお手伝いをしてきました。 お茶に馴染みのない方が多かったので、ゆったりとした気持ちでお茶を楽しんでもらいたいと思って、お点前をさせていただきました。 少しの緊張感も茶の湯ならではの楽しみですが、初めての場合は緊張しすぎて楽しむ余裕がなくなってしまうことは避けたいです。 先生があたたかく丁寧にお話をされ、皆さんお茶室のしつらえやお道具を楽しんでいらっしゃいました。 お点前をした私に対しても、ひとりひとり「美

          茶の湯体験での着物

          お茶の稽古は着物で

          茶道の稽古に、お気に入りの着物を着ました。 着物で稽古をすると、身が引き締まり、美しい所作ができるよう自然と気を配ります。 【着物】 紬・袷・大花柄 【帯】 織・名古屋帯 きものには「染め」と「織り」があり、「染め」がフォーマル、「織り」がカジュアルとされています。 そして、「染め」にも手描き友禅、型染め、ぼかし染めなど、「織り」にも紬、木綿、御召、麻などのいろいろな種類があります。 また、帯も「染め」と「織り」があり、着物と逆で、「織り」がフォーマル、「染め」がカジュ

          お茶の稽古は着物で

          お茶会参加後はお礼の手紙を

          手紙を書くことが仰々しく感じるほど、書く機会が少なくなってしまっています。 小学生の時は、ともだちと手紙のやり取りをすることが大好きだったのに。 お茶の世界では、手紙を書くことが重んじられています。 お茶会への案内、茶会に参加したお礼、依頼やお詫びなど、いろいろな場面で手紙を書きます。 正直、慣れないうちは、手紙のフォーマット、季節の言葉を検索して、ほとんど真似して書くだけで精一杯でした。 何事も慣れとはこのことで、何回も節目ごとに書くことで、徐々に自分の言葉を込めれるよ

          お茶会参加後はお礼の手紙を

          新年初稽古の着物

          社中の初稽古では、赤さび色の色無地に白黒の大花柄の帯を合わせました。祖母から譲り受けた着物で、初めて袖を通しました。 茶道をはじめて年数が経ち、着物を着る機会が増えている割には、全く上達しない着付け。少し時間ができたので、やっと知り合いの着付け講師の方にご指導をいただくことができました。 初稽古の前の2日間、みっちりご指導をいただき、なんとか着れるようになりました。 1つ1つの動作を無駄がないようにすることが大切であることを教えていただきました。ひもの結び方や左右どちらの

          新年初稽古の着物

          社中の初稽古 穏やかな日々への祈り

          私が通っている表千家茶道の稽古場での初稽古がありました。 通常は新しい年を迎えられたことへの祝いとして、年のはじめに釜をかけることを「初釜」といいますが、今年は諸般の事情により初稽古が行われました。 元日に能登半島地震という大災害が起こり、皆さんお祝いごとをできる心持ではなく、初稽古という形で集まることとなりました。 表千家家元の初釜では毎年、元伯宗旦筆「春入千林処々鶯」の掛物が掛けられます。私の社中でも、家元のしつらえになぞらえて先生がご準備なされています。 春入千林処

          社中の初稽古 穏やかな日々への祈り

          茶室の第一の道具・掛物

          茶室の床の間には、掛物がかけられています。茶室に入るとまず掛物の前に行き、一礼をして拝見をします。他の道具も拝見をしますが、お辞儀をするのは唯一掛物だけです。 千利休のわび茶の思想を伝える『南方録』という古書にも、客も亭主も共に茶の湯を極めようとする者にとって、なくてはならない物であると伝えられています。 亭主の気持ちを表現することができる茶室の最上位である床の間に掛けられ、師匠が弟子に向かって教え諭しているように、客にも亭主にも共に茶の湯の教えを示しています。 これが

          茶室の第一の道具・掛物

          千利休 美意識の体現者

          千利休、わび茶を大成させた人物として有名ですが、茶の道に入る人は皆、彼の美を追究する精神性に大きく影響を受けるのではないでしょうか。少なくとも私は、自分なりの美意識を深く追い求める生き方に、非常に惹かれていきました。 1522年に大坂・堺の魚問屋に生まれ、堺の豪商である武野紹鴎に茶の湯を学び、わび茶を大成させます。織田信長や豊臣秀吉の茶頭として仕え、特に秀吉には茶頭の筆頭として仕え、世に「天下一の茶の湯者」と称されましたが、1591年に秀吉の命により自刃。 利休の美意識

          千利休 美意識の体現者

          私と茶の湯

          社会人になって久しい30代の私だが、茶の湯との出会いは大学時代に遡る。離れた時期もあるが、今はすっかり茶の湯に魅了され、これからさらに探究していきたい。 「なんとなく」心地いいという感覚 大学に入学し、どんなサークル、部活に入ろうかと胸を躍らせていた入学当初。いろいろなサークル・部活に顔を出している中、茶道部の体験会に参加した際の「日本文化ってなんかいいなあ」との感覚から、入部を決めた。 今思うと、畳の部室、わいわいしていない奥ゆかしい部員たち、なんだか落ち着いた空間に惹

          私と茶の湯

          日本の総合芸術「茶の湯」の世界への入り口

          「茶道」「茶の湯」と聞くと、それだけで距離を置いたり恐いイメージを持ったりされる方が多い印象です。 その気持ちも分かります。「間違ったことをすると怒られそう」というイメージがデフォルトになっているのでしょう。 しかし、私にとって茶の湯は、「正解がない」ということを体感させてくれ、「人それぞれの解釈がある」ことを受け入れることのできる存在です。そして、それが私が茶道に魅了されている大きな理由であります。 日本人であることに誇りを持っている私は、日本人の精神性を鍛える場として

          日本の総合芸術「茶の湯」の世界への入り口