054: パリ
2024年はオリンピックイヤーで、今回の開催地はフランスのパリ。普段見ることのないスポーツを楽しむことができる非常に楽しい祭典なのだが、日本との時差で基本的に夜中にやっているため寝不足の日々を送っている。
そんなパリオリンピックにちなんで、ボードゲーム「パリ」を久しぶりに遊んだのだが、駆け引きの熱い純然たるユーロゲームに萌えたので改めてレビューしたい。
パリオリンピック開会式はセーヌ川で開催!
今回のオリンピックの開会式はいつものスタジアムでの開催ではなく、6kmにおよぶセーヌ川で行われた。各国の選手団が大小の船に乗って行われたパレードは珍しい光景で非常に印象的だった。
パレードはエッフェル塔近くのイエナ橋まで続き、トロカデロ広場でフィナーレ。その北部にはエトワール凱旋門が建っている。今回のボードゲーム「パリ」は、この凱旋門が舞台だ。
ゲーム概要
スタートプレイヤーから順番に1手番ずつプレイしていき、ゲーム終了タイルが無くなったらゲーム終了。最も勝利点の高いプレイヤーの勝利となる。
手番では下記のことを行う。
①建物タイルをメインボードへ配置する。
②以下のアクションを1つ実行する。
・鍵駒を銀行または凱旋門に置く。
・鍵駒を移動させて建物を購入する。
・ゲーム終了タイルを取る。
ちなみに日本語版は2020年にケンビルさんから発売された。ボードゲームを始めたばかりの私は素敵なアートワークに惹かれてジャケ買いしてしまったのを今でも覚えている。そして書き慣れないレビューを書いたのがこちら。
とてもシンプルなレビューで何の説明にもなっていないが、写真だけは綺麗なので楽しんで欲しい。今回は逆光の席だったので、色彩が飛んでしまったかな。
凱旋門のコンポーネントが目を引く組立式メインボード
特徴的なのはメインボード中央の凱旋門だ。実は無くても困らないコンポーネントなのだが、この「パリ」というゲームを印象付ける大事な要素だと思っている。コアなボードゲーマーに不評な「テケン棒」というものがあるが、あれと同類で向こう側が見えにくいという欠点を持つが、幸い凱旋門は高さが低いので問題にならなかったのだろう。
また凱旋門の屋根にはプレイヤーの鍵コマを置けるようになっているので、不満が少ないのかもしれない。まあとにかく、この凱旋門から放射状に伸びていくストリートに徐々に建物が建っていくので、その建物を購入してマジョリティを競うゲームなのだ。
とてもシンプルだが悩みどころの多い純然たるユーロゲーム
手番では建物タイルを引き、指定された場所へ置く。建物のストリートと場所は指定されているので選択肢はないのだが、徐々に街が賑やかになっていく様子は素晴らしい。
そして手番では鍵駒を配置していく。最初は建物も少ないので自分の好きなストリートの銀行に鍵駒を預けてお金を獲得することになるだろう。一見簡単なようだが、最終的には各ストリートでマジョリティ争いをすることになるので、他プレイヤーの動向が非常に気になる。と言っても、7フランももらえるモンマルトルが一番人気になることは間違いない。
そして次の手番では建物の価値分のフランを支払って建物を購入、鍵駒を銀行から移動させる。この時、価値が低い建物はボーナスタイルを取ることができる。最終的には建物の価値の合計でマジョリティを決めるため価値の高い建物へ移動していくのだが、名誉トークンも取れるため出来るだけゆっくり進めたい、しかしボヤボヤしていると他プレイヤーに購入されてしまう、というジレンマが悩ましくも面白い。
ボーナスタイルの競争も熱い!
価値1〜3の建物を購入すると、メインボード周囲に配置されたボーナスタイルを得ることができる。このボーナスタイルは初回ゲームでは徐々に強いボーナスを獲得できるように配置されており、早取りのため他プレイヤーよりも先にミープルを動かして獲得したいのだが、いわゆるムーブフォワード型となっており後退することはできない。
つまり早く強いボーナスタイルを取るためには、弱いタイルを無視する必要があるため他プレイヤーに全部取られてしまう可能性があるのだ。これは悩ましい。
ボーナスタイルには単純に資源がもらえるものと、条件を満たした分だけ得点化できるものがある。当然、トラック後半の方が得点率の高いボーナスがあるのだが、どこまで進めて獲得するのか悩ましい。
凱旋門の上にも鍵駒を置ける!
自分の手番では鍵駒を各ストリートにある銀行に預けておくのが標準的だが、面白いのは凱旋門の上にも鍵駒を置けることだ。こうすることにより、どのストリートにも直接移動させることができ他プレイヤーへの牽制にもなる有効な手なのだが、収入は全く得られないため使い所がやや難しい。
ランドマークの攻防が熱い!
建物の価値は1〜8まであり、これらの評価額で最終的なマジョリティが争われるのだが、さらにその上にランドマークを建設することができる。非常に高価値で建てた時のボーナスもあるため是非とも狙いたい特殊建物なのだが、何個も建てられるわけではないので、いつどのストリートで建てるのか見極めることが非常に難しい。
じっくりと建築に必要な資源を貯めつつ、ここぞというところでランドマークを建てて他プレイヤーを威圧することが大事なのだ。これがまた非常に気持ちよく面白い。
今回の満足度:9点(10点満点)
久しぶりに遊んだが、やはり面白い。
ちなみにデザイナーはクラマー&キースリングの黄金コンビ。私の大好きなティカルを制作した名コンビで、彼らの作るエリアマジョリティは本当に素晴らしい。
ゲーム展開に気持ち良い要素はほとんどなく、終始ウンウン唸ってばかりの純然たるユーロゲームなのだが、豪華な雰囲気で金持ちの投資家になった気分が楽しい。
そういえば名誉トークンは、金・銀・銅となっており、オリンピックイヤーにふさわしいゲームだった。次回のオリンピックの時にもぜひ遊びたい(もっと遊べw)。
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