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奨学金免除への道

1. 頑張るキミにそのチャンスがあるか。

卒論,修論の時期ですね。
みなさまお疲れ様です。

私が修士の学生だった2年間,
日本学生支援機構の貸与型の第一種奨学金を借りていました。
2年間で約211万円。
無利子で借りられるので本当にありがたい制度です

この奨学金なんですが,
学士奨学金の免除は家計基準がありますが,
修士奨学金の免除は家計基準がありません。
つまり,優秀な成績を修めれば誰でも免除のチャンスがあるということ

しかも日本学生支援機構の奨学金は複数の奨学金との併用が可能。
私もこれに加えて給付型の奨学金を別途いただいていました。
(給付型の奨学金先の要件が複数の奨学金の付与でも認められるかは確認が必要です。)

卒業後に来た通知で分かったのですが,
私は返済の全額免除をいただくことができました。

結局学費&家賃(2年間で200万くらい)は,
奨学金によって全額まかなえたことになります。
無料で修士の研究を進めることができたのです。
何度も言いますが,本当にありがたい。
2年間のざっくり家計はこんな感じ。

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こういう制度はぜひ学生の方々の厳しい研究Daysの少しでも励みにもなるかと,その過程をお伝えしたくまとめることにしました。

まず整理のために,
今回まとめているのは修士課程の奨学金です。
みなさんが本記事にまとめられている奨学金免除の可能性があるかをフローでチェックしてみましょう

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チャンス無かった皆さんごめんなさい。私がもっと早くお伝えできていれば・・

さてチャンスあり!のみなさん。
我々が狙うのは日本学生支援機構のHPに記載のある,
"特に優れた業績による返還免除"です

ここでは概要として下記のように記載されています。

大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としています。貸与終了時に大学に申請し、大学長から推薦された人を対象として、本機構の業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て決定されます。
引用: 日本学生支援機構HPより

HPにまとめられている実績を確認すると,
修士課程で貸与している学生数は21,753人。
そのうち推薦されたのが6,563人。
この’推薦される’が肝なのですが後述します。
注目すべきは,
・もし"推薦"されれば99.4%の確率で免除されている
・全額免除23%, 半額免除が77%の割合

であるということ。

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まとめるとこんな感じ。

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つまり推薦されることが重要なのです。
では推薦されるためにどんなことを行えばよいのでしょうか。

次に申請する際の手続きをみていきましょう。

2. 申請するには?

申請はおおまかに下記のようなステップです。

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ひとつずつ見ていきましょう。

2.1.  奨学生が申請書を記入

提出するのは3つの書類です。

1. 業績優秀者返還免除申請書
2. 指導教員の推薦理由
3. 特に優れた業績を証明する資料の写し

それぞれについて下記詳細です。

1. 業績優秀者返還免除申請書

ここがめっちゃ大事です。
下記のような9つの軸を元に点数化されます。

1. 「学位論文その他の研究論文」
2. 「大学院設置基準第16条に定める特定の課題についての研究の成果」
3. 「大学院設置基準第16条の2に定める試験及び審査の成果」
4. 「著書、データベースその他の著作物」
5. 「発明」
6. 「授業科目の成績」
7. 「研究又は教育に係る補助業務の実績」
8. 「音楽、演劇、美術その他芸術の発表会における成績」
9. 「スポーツの競技会における成績」
10. 「ボランティア活動その他の社会貢献活動の実績」

私の大学のケースだと,
2, 3については「申請しないよう」に,
また8, 9については「専攻分野に関連しないものは評価の対象にはしない」,との通達がありました。

これらはさらに小項目に分かれており,
点数がつけられます。詳細は大阪大学が審査点数を公表していますので参考にしてみましょう。(平成23年の情報である点に注意)
(http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/jpn/board/docs/00henkan_menjo.pdf)

私の場合だと申請書に記載した業績は,
1, 6, 7の項目です。

実際の私の申請書のうち,「特に優れた業績の要旨」の部分はこんな感じです。黒塗りにしていますが,学会名,論文タイトル,年,共著者などを記載しています。

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「1. 学位論文その他の研究論文」のうち「8. 9. 10.」の項目で"Travel Grant"とありますが,これは学会が事前に論文を審査し,旅費を補助していただけるというものです。

「6. 授業科目の成績」は次の通りです。科目名は伏せましたが,GPA(4点満点中)で3.8点という成績です。

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「7. 研究又は教育に係る補助業務の実績」ですが,指導教員の学部生向け講義のティーチングアシスタントやリサーチアシスタントを行った場合,その雇用通知書を添付しましょう。

2. 指導教員の推薦理由
指導教員によっては,この内容を学生に下書きさせるといった方もおられるようですが... 私の場合は親切にも教授に書いていただきました。コミュニケーションが大事です。特にこの時期は先生方も忙しいので早めにお願いしておきましょう。

3. 特に優れた業績を証明する資料の写し
学会で賞などを授与された場合には,賞状などが証明として必要です。採択されたことがわかるような証明書を添付しましょう。もし証明書が発行されていない場合には学会に問い合わせて印鑑付きで証明になるようなものを早めにリクエストしておきましょう。

2.2. 学内で推薦者を決定

やっと出てきました。推薦者とは。
推薦者とは各大学が日本学生支援機構へ申請する学生のことです。
つまり各大学ごとに奨学金の免除申請者の順位づけを行います。
もちろん推薦者は明かされませんので申請書が機構に送られたか,
水の泡となったかはわからない。

ただし,先にもあったとおり,
推薦者にさえ入れば,99%の確率で免除が受けられます。

(ここから私見です。)
大学側は日本学生支援機構からの要請であるMaxの推薦者数をもとに各専攻ごとに推薦者の枠を割り振っています。ここでは専攻ごとに順位付けが行われています。文系・理系も含めて専攻数は60を超えます。私の専攻では修士2回生はおよそ90名。奨学金受給者が60%とすると,奨学生は54名。そのうち30%(16名)が推薦者。上位4名が全額免除。12名までが半額免除。
かなあと。下のような感じなのか?? (周りの感覚ともあいつつ,以上,あくまで私見です。)

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2.3. 日本学生支援機構が免除者を審査

 大学側から提出された推薦者のリストを日本学生支援機構が審査をします。
ただここでは大学側の推薦者を確認するだけかと。計20,000人の詳細を確認しながら振り分けているとは考えにくいです。簡単にはチェックポイントがあると思いますが。(推薦者の内1%は免除棄却されてますからね..)

2.4. 結果の通知

結果の通知は卒業後の6月頃です。忘れた頃にポストに入っています。
就職に伴って,機構に登録されている住所が変更になる場合は住所変更の手続きを忘れずに。

通知書はこのような形式です。

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3. 奨学生の皆さんへのメッセージ

論文投稿や学会への参加を学生に対してそこまでActiveに奨励していない研究室や指導教官があることも確か。そんな環境だからこそ,奨学金の免除を一つのモチベーションとして,論文投稿に積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。私自身かなりこの奨学金に助けられながら,研究成果も生活も実りある2年間を過ごすことができました。自身の経験を踏まえて書き方のコツなどお伝えできますので,コメント欄やmessengerなどでお気軽にご相談ください。もちろんさらなる詳細のリクエストなどもお気軽にどうぞ。改訂していきます。

4. 参考になるページ

最後に免除申請に参考になるページをまとめておきます。



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