マガジンのカバー画像

アートを知りたい

30
人生に必要な「要素」としてのアート
運営しているクリエイター

2020年2月の記事一覧

瀬戸内の風と建築とワイン

瀬戸内に浮かぶ島々 しまなみ海道沿いにその島はあります。 大三島。 この大三島でワイナリーを立ち上げたのが, 大三島みんなのワイナリー ここ大三島は移住者が多い島です。 移住者の方々によって支えられているので みんなのワイナリー。 ラベルデザインも素敵です。 醸造所も新しくできました。 代表は建築家の伊東豊雄さん。 ほかにも 大三島みんなの家 伊東豊雄ミュージアム などあるので近く寄られた際は ワインを含みながら建築を眺めてみては。 しまなみ海道 車でいきま

520年の老舗旅館で思う宿泊体験とは。 伊豆あさば

伊豆,修善寺。 520年の歴史を紡ぐ旅館があります。 あさば。 日本を代表する名旅館と名高いあさばの宿泊体験はどんなものか。 門構え。 立派な出立ち。 ここはいつきても足跡がありません。人が通るたびに竹箒で砂利を整えているのです。どんなタイミングでも隙のない表正面。 宿の中に入ると,女将さんが笑顔で迎え入れてくださいます。長旅から帰ってきたような安心感。 内観はとにかく清潔。あしの裏で感じる畳と,鼻で感じるいぐさの香りにほっとします。お部屋からは立派な能舞台。 お風呂

由布院・隈研吾建築の小さな美術館 COMICO ART MUSEMU YUFUIN

洗練された建築。 気鋭の現代アート。 眼前に臨む由布岳。 のんびりとした温泉街に誕生した,COMICO ART MUSEMU YUFUIN。 COMICOは韓国のNHNエンタテインメントの子会社が運営する漫画アプリの名前が冠されています。 早速こちら,エントランス。広ーく抜けています。 外装の建材は黒く見えています。エントランスのロゴをみてみると良くわかるかも。こちら使われているのは焼きスギです。西日本で良くみられる建材。 設計者の隈研吾さんの意図は, 湯布院は日本

ジブリのモデル。日本建築のインテリアに見るデザイン 江戸東京たてもの園

ジブリ映画監督,宮崎駿さんがインスピレーションを受けたとも言われる建物群を保存している場所があります。 江戸東京たてもの園。 例えばこの建物。明治初期創業の文具店,「武居三省堂」。たくさんの筆を取り扱っていたこの文具店は,いろんなタイプの筆を効率よくお客さんに紹介するため,小さな引き出しによって左の壁が構成されています。 小さな建築の中の無駄のないデザイン。 ジブリ映画,千と千尋の神隠しに出てくる釜爺が働くボイラー室のモデルになっています。 同じく明治時代の邸宅の襖の

僕らの秘密基地,NANZUKAギャラリー。 ジョナサン・チャップリン展

渋谷のヒカリエの足元。 そこにNANZUKAギャラリーがあります。 看板も控えめだし,そこは地下二階。 秘密基地のようなワクワク感があります。 現在開催中のジョナサン・チャップリン展。 こんな作品です。 1987年生まれ,NYで活躍する若手アーティストですが,昨今注目が集まっています。 今回の展示でも昨日段階で全て売り切れ。 価格は$30,000前後です。 注目度の高さが伺えます。 コンピュータ上でモデルを組み立て, それを絵画,彫刻に落とし込んで行きます。 この手

アーティゾン美術館開館!所蔵作品を深掘り。

2020年1月にアーティゾン美術館がOPENしました。 元々はブリジストン美術館。 名前を変え,新たに日本橋にOPENしました。 ぷらいまり。さんのnoteでは楽しみ方がとてもよくまとめられています。 館内のピクトグラムデザインも美しく凝っている。 洗練された空間でした。 今回のnoteでは展示されている作品の一つについて考えてみましょう。 カンディンスキーのTwo Linesという作品です。 シンプル!よくわからないパーツがいろいろ転がってる,でもなんとなく全体のバ

アートオークションに参加して,作品を買った

少し前に日本の作品売買市場が小さいとのnote記事を書きました。 その現在地はどうなっているのかと, SBIのアートオークションに参加しました。 オークション..ハードル..高い..ですよね.. 僕も超びびりながら参加しました。 もう終始手震えてました。 オークションへの参加の流れはこんな感じです。 1. 作品を探す 2. 下見会 3. 入札 4. 落札 5. 支払い 6. 作品引き渡し 1. 作品を探す まずは作品を探しましょう。 前提としてオークションはSeco

写真家ソール・ライター いとあはれ

わび・さび in New York. 渋谷で開催中のソール・ライター展行ってきました。 私なりの絵画と写真の違いの解釈は, 絵画や彫刻は, ピュアな創造物である 思考する隙がある 一方で写真は, 量産が可能である 現実であり隙がない と思っておりました。 が,今回ソール・ライターの作品で写真を見る目が変わりました。 感じたのはわび・さび。 ぎりぎり顔が見えないとか,ぼやけているとか, 写真に映る対象者は,具体的な人ではない。 もしかしたら鑑賞者自身かも

目で見てから,ああこれは女性だとわかるまで

次の作品を見ると,皆さんの脳は何を認知するでしょうか。 風景? 女性? 馬? こちらピカソの絵画。当時215億円の時価がつきました。 私の認知を言語化するとこう。 「まぶしいっ! 鮮烈な色っ! ん?左側にいるのは女性だな。衣装を身に纏っている。表情は..希望? え! 女性の右側のなにっ!? なんなのっ!馬がいる?...」 と続いていきます。 さてこの過程で我々は何をどういったプロセスで知覚したのでしょうか。だって,コンピューターでも人の顔を顔として認識するのは難しいんで

なぜ日本人は美意識が高いのにアートを買わないのか

日本人はアート好きなのに買わない, の記事についてもうちょっと深堀り。 この記事を書いた時にこんな図解をしてました。 なぜ日本のアート"売買"市場は”鑑賞”市場に比べて小さいのでしょうか。 まず考えられるのは税制。 日本はアートへ投資しても一部の団体への寄付しか寄附金控除が受けられない,かつ,税制上のメリットが他国に比べると小さいです。 一方でシンガポールでは一時期,作品の市場価格の3倍の税額控除が行われてました。例えば1,000万円の価値がある作品を美術館に寄付した場

アート作品1つお買い上げ。からわかったアートの効用

アート作品市場が拡大してますね。 バブルと呼ぶ方もいますが。 日本のアート市場は, 鑑賞市場が大きい一方で, 購買市場は小さい。 美術館には観に行くけれども, 作品は買わんな, という方が多いんです。 ちょっと前には元ZOZO社長の前澤さんがバスキアの作品を 123億円で購入したことが大きなニュースにもなりました。 (ちなみに前澤さんが購入したのはNY市場なので日本のアート市場には計上されない。) 私も鑑賞市場の一員でしたが, ふとギャラリーのオープニングに行ったこと