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朝のルーティン

私の朝は窓を開けて朝日を眺めることから始まる。

元々夜型の人間だったけれど、今は勤務が許す限り12時前に寝て6時前後に起きる朝型人間。

まだ静かな世界を起こさないようにこっそりゆっくり動き始める。
朝は目に映る全ての解像度が高く見える気がする。ベッドシーツやカーテンの質感、積んだ本たちの重さ、金属の冷たさ。それらを視覚から感じ取って、自分の部屋がいつもと同じであることを確認する。
心は穏やかに呼吸している。
朝は、部屋のそれぞれに命が宿っているような気がする。それぞれがそれぞれの居場所で寝ているようなそんな感じがする。
きっと朝にしか存在しない何かってのが在るんだと私は思う。

朝だけ現れる陽の小窓。窓の中はいつも優しい色だ。

ベッドから出たらまずはパロサントを焚く。
「パロサントは空気を浄化する効果がある」
らしいが、私にはよく分からない……。
単純に焚く工程と香りとフォルムが好きで続けている。
マッチを擦りロウソクをともして火をつける。火を消したあと緩やかに立ちのぼる煙をみる。
煙は開け放った窓の方へゆっくり形を解きながら流れていく。
パロサントは日に日に短くなっていく。
私は生きているんだなって当たり前のことを日々思う。

次にお気に入りの南部鉄器で白湯を作る。
いつか欲しいと思っていた南部鉄器、山梨車中泊で運命的な出会いをして購入。これから先の人生もずっと一緒にいてもらおうと思っている大切なもの。
白湯がお腹を温める。
全身に血液が廻る。
体も心も温まる。
自分を大切にしてあげている気がする。たぶんそう思えるところが白湯を習慣にするメリットだ。

まるくて流線的なフォルムがお気に入りの南部鉄器

白湯を入れている間、冷水で石鹸洗顔、コンタクトをいれて、スキンケアをする。
IHADAで保湿して、白色ワセリンで閉じ込める極シンプルなケア。たまにラロッシュ ポゼのピーリングセラムを使う。髪には友達から貰ったオイルミストを使っている。
一時期スキンケアに嵌ってありとあらゆる美容にいいと言われるものを試した。新しいものを試すのは楽しかった。口コミがいいものは確かに直ぐに変化を実感できたけれど結局長くはもたなかった。どれも2週間を目処に肌が荒れ始め、薬を塗っても治らない日々に焦りと不安が募った。元々自他ともに認める肌の強さを誇っていただけに、苦しい、本当に苦しい期間だった。
最終的に辿り着いたのは 「保湿」 するだけ。IHADAと白色ワセリン。
ただそれだけ。
今となってはお守り級のルーティンだ。

お守りセット

仕事の場合、スキンケアが終わる頃には出発の時間が近づいているので、朝ごはんを食べて歯磨きをして家を出る。
休日はあらためて珈琲をいれて優しい音楽をかけて本を読む。
朝は活字にも命が宿るようで目線が追う一文が拡大されたように見える。文字が「読んで!」とばかりに自己主張を始める。文字はあるべき形を乱さない。
私は朝日で脚を温めながら本を読む。

古本屋で出会った本といつものマグカップと珈琲


朝、いつもと同じように過ごす。
ルーティンをこなすことは、私にとって自分の存在と自分の居場所を確かめることに近い。
生きているあいだ何度となく訪れる朝は、数えれば数える程無味で同じようなものになりがちだけれど、少しの時間でも、余裕を持って心と体をそこに置けば、時間の流れと自分や他のものの輪郭をはっきり感じることができる。ルーティンはその導きになる。
新鮮な朝も辛い朝も曇る朝も布団が暖かい朝も、そして何の変哲もないいつもの朝も。
ルーティンを続けることは、今日も生きる決意をすることだ。
私は今日もいつもと同じように、生きていく。


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