見出し画像

イエメン東部 渓谷の都市 タリム サユーン シバーム旧市街

イエメン

 日本政府からは全土にわたって退避勧告が出されているイエメン。2015年以来、内戦が続いている。サウジアラビアが支援する暫定政府。イランに支援されている反政府武装集団、フーシ派。
 パレスチナ、イスラエル間の戦闘が始まってからはフーシ派は紅海で船舶攻撃を繰り返し、米英を中心とした多国籍軍と戦闘状態だ。また、イスラム過激派によるテロ・誘拐事件にも警戒が必要だという。

 むやみに渡航などして歩き回っていては危険、命がいくつあっても足りない、という状況なのか。ただそんなリスクさえなければ、行ってみたい、見てみたいという素朴な好奇心、冒険野郎の冒険心をくすぐる土地柄であるとは思うのだけど・・・。

 左はアフリカ大陸。右はユーラシア大陸。中央はアラビア半島。その南部の砂漠地帯にイエメン ( Yemen ) は位置する。

 左の海が紅海、右はアラビア湾。紅海を隔ててエリトリア、ジブチ。このあたりの狭まった海域はマンダブ海峡。下のソマリアとの間にアデン湾。上にサウジアラビア、右にオマーン。右下の島はソコトラ島、イエメン領有。首都はサナア ( Sanaa ) 。

 イエメン東部。

 ハドラマウト渓谷。右からタリム ( Tarim ) 、サユーン ( Sayun ) 、シバーム ( Shibam ) 。

 衛星画像は2024年4月23日。生の衛星画像は明るすぎて色が飛んでいるため、画像処理をほどこして見やすく表示している。
 大渓谷、小渓谷、多数の谷の様子がわかる。平均標高が1400m。岩だらけの台地という地形。右から左にワジ、涸れ川の流路がわかる。大雨による洪水があるものの、ワジに沿って都市ができている。ズームイン。

 右上隅にタリム、左下隅にシバーム。

 植生を調べるデータ処理を行った。植生はワジ周辺に限られている。

イスラム都市・タリム

 首都のサナアから600キロあまり。イスラム教の預言者ムハンマドの子孫が数多く残っているといわれる、歴史のある町。したがってモスクが非常に多い。また、アラブ・イスラム関連文献を揃えている図書館、イスラム学者を養成する教育・研究機関が充実している。ズームイン。

 参考衛星画像は2022年7月3日。

 左がアル・ラナド宮殿。観光客の車が多い。右には53mの高さを誇るミナレット(塔)のあるアル・ムハダル・モスク。日干しレンガでつくられた、世界で最も高い構造物のひとつということだ。

近代都市・サユーン

 町の真ん中に空港があり、この地方の中心都市。サウジアラビアのジッダやドバイ、アブダビからの国際便も乗り入れていたというが、今はどうだかわからない。ズームイン。

 参考衛星画像は2022年6月17日。ズームイン。

 中央と中央下に注目。

アル・カスィーリー宮殿

 イエメンのお金を実際に見たことはないが、最高紙幣に採用されているのがこのアル・カスィーリー宮殿だという。もちろん日干しレンガを使って建てられている。スルタン(地方の有力者)の居城として1920年代に建てられた。観光スポット。

 左が宮殿。右の建物は政府機関。

オリンピックスタジアム

 ぽつんとスタジアムが建っている。

 イエメンの最大のスタジアムの一つで、収容人数35000人以上。

旧城壁都市・シバーム

 イスラム前の王国の首都だった。中央に注目。ズームイン。

 参考衛星画像は2022年6月17日。

 世界遺産の「シバームの旧城壁都市」。東西500m、南北400m。5階から8階建ての高層住宅が500棟、密集して建ち並んでいる。住居の上層階には隣の棟と行き来できる通路が設けられている。7000人が住むというこの都市は、8世紀から住民が補修を重ねて現在に至っているそうだ。
 高層、密集という形になったのは、ワジの洪水から避難するため、略奪、襲撃から防衛するためという。
 目の前はワジ、対岸は新市街。

 確かに、建物がほとんどくっついているところもあるよね。砂漠のマンハッタン、最古の摩天楼とも呼ばれる高層住宅群。その印象的な景観はビデオゲームにも採用されたそうだ。

 首都サナアはフーシ派に支配されている。一方、暫定政府はアデン ( Aden ) などの南部にあるらしいが、フーシ派に攻撃されている。サウジアラビアとイランの代理戦争の様相を呈していて、イエメン国内はどこがどうなっているのか・・・。混沌とした状況は続き、破滅的な人道危機は深まっている。

注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?