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「うっせぇわ」のsyudouがラッパーなのを知ってるのは自分だけ

みんな気付いてない…ってコト!?


タイトルからいきなり大口叩いてみましたが、これは譲らない
もう調子乗りまくって呼び捨てにしちゃってるけど、これも許して欲しいっス。

だってあまりにも言及している人がいないんだもん。
皆ダメですよ。syudou検定5級です。

「うっせぇわ」の大ヒットで一躍ボカロPのトップへと登り詰めたsyudouさん。

本人の歌唱力もえげつないので、自らをヴォーカリストとしたオリジナル曲も発表。

そしてそれも大ヒット…。

今日もYoutubeのコメント欄では絶賛と共感の嵐が吹き荒れる。

”syudouさんってシンガーソングライターとして結構有名になってきてるのに、「あくまでボカロPですから…」みたいな感じでボカロ曲投稿してくれるのめっちゃ嬉しいし神だと思う”

Youtubeコメント欄より

これに付いてる返信も「それな!」みたいな共感の嵐だった。

すごい一体感を感じる…
こう、すごい一体感を…

ちょっと待てい


シンガーソングライター?
ボカロP??

いやいやいやいや



この人、完ッ全にラッパーでしょ


もちろんボカロ系だったり、邦楽ロック的な要素も多分にあるとは思うけど、根底にある精神性がすげーHIPHOPなんですよ、この人。

ヘイ、syudou。オレは分かってるぜメーン

で、どの辺がラッパーなん?


はい、お待たせしました。こっからが本題です


ここまで言い切っちゃんだもん。
説明しないとsyudouファンの方々から

「半人前」
「ブサイク」
「凡人」
「カス」
「根暗」
「低脳」

とか、何やらかんやら罵倒が飛んできそうで怖いんスよ。

でも大丈夫。終わる頃には納得してもらえると信じている…!

syudouの音楽性は邦ロックとHipHopの融合

音楽性については米津玄師からの影響を公表している通り、いわゆる「ボカロっぽい」世界観が前面に出ていることも多い。

仄かにエロティックだったり、
どこかダークだったり、
鬱屈としているようで熱がこもっていたり…


みたいな、いい意味で「ひねくれている」感じと、耳に残るメロディが現代日本人の心を掴んだのかなと思う。


Aメロ→Bメロ→サビみたいな構成はいかにも邦楽っぽくて、そのフォーマットを守っているから一聴した瞬間から受け入れやすい。

だけどよく聴いて欲しい、代表曲「うっせぇわ」2番のこの部分

(1:46)あたりから2番のBメロになるんだけれど、この時のトラックが1番とはガラッと変わっていることにお気づきだろうか


特にドラムに注意して聴いてもらうとわかりやすいと思うんだけど、


1番が「ダッダッダ/ダッダッダ…」と刻んで盛り上げているのに対し、
2番では「ドーン/ドッ/ドッドッド…」と変則的な刻み方をしていることにお気づきだろうか

ドラムの知識が少しでもある人なら、ハイハットの刻み方もロックではまず聴かない刻み方になっていることがわかると思う。

で、もっとよく聴いてみると、音色からしてこれまでとは全然違う。

これ…
808の音じゃねーか!!!!!

伝説のドラムマシン、TR-808


HipHop好きな人なら知ってるであろう、伝説のドラムマシン。
たぶん実機ではなくてサンプル音源だとは思うけど、絶対HipHop要素としてこの音を意識的に入れてる

別の曲でも

(1:38)のところとか、リズムの刻み方と使われている音色に注目してみてください。
もうこれ確信犯(誤用)でしょ


このように、HipHop的なサウンドと邦楽ロック的なサウンドを融合させるのがsyudouさん、破茶滅茶に上手い

メロディの乗せ方がめっちゃラッパーぽい


「おいおい、まさかサウンドだけでラッパーだとか言ってんのか?」
「こういうサウンドが流行ってるからで、珍しくもなくない?」


と思ったあなた。
違います。これだけじゃないです。


Popsにおけるメロディ。
ラップでは「フロウ」と呼ばれたりするんだけど、syudouさんのフロウって時々めっちゃHipHop的なアプローチがされてるんだよね。

例えばこの曲のこの部分。

3連フロウなんて言われたりするこれ、説明すると、

「ドン・ダン・ドン・ダン」

と刻まれているリズムの中に、

ドツツ /ダツツ /ドツツ /ダツツ /

と、3分割したリズムを入れ込むやり方

この曲では
「あの日、あの時、あの場所の帰り道に」という歌詞を


あのひ /あのと /きあの /ばしょの /かえり /みちに /


と、3連で刻んでいるんだけど…わかります?説明できてる?

言葉だけだとわかりにくいかもなので、よかったら自分で手拍子しながら試してみて欲しい!

で、何が重要かっていうと、これが滅茶苦茶ラッパーっぽい乗せ方ってことなんスよ。ちぇけら。

アメリカのカリスマラップグループMigosのこの曲を聴いてみて欲しい。

まさに3連フロウ。
これだけでsyudouがラッパーであることは伝わってきてると思う。


ここまで読んでくれたあなた。syudou検定4級です。

歌詞から見る「ラッパーっぽさ」


HipHopには「サンプリング」というものがあって、簡単に言うとラッパー達が既存の作品から歌詞やメロディなどを引用するのがOKとされる文化なんだよね。


まあ極端に悪く言っちゃうと「パクり」みたいなものと言えばわかりやすいかも。


これについては業界で賛否両論あるみたいだけど、個人的にはサンプリングした上でオリジナリティが出せていれば全然OKなんじゃないかと思ってる次第

話を戻すと。

ラッパーであるsyudouさんも当然その辺は分かってて、サンプリングを特に抵抗なくやっている節がある

たとえば有名な所だと、「うっせぇわ」については冒頭から

ちっちゃな頃から優等生
気付いたら大人になっていた
ナイフのような思考回路
持ち合わせる訳もなく

うっせぇわ/Ado

という歌詞から始まるんだけど、
これ、80年代の日本のバンド「チェッカーズ」の「ギザギザハートの子守唄」のサンプリングよね

ちっちゃな頃から悪ガキで
15で不良と呼ばれたよ
ナイフみたいに尖っては
触るものみな傷つけた

ギザギザハートの子守唄/チェッカーズ



また、「カレシのジュード」で、先ほど3連フロウの時に紹介した部分は90年代を代表する名曲「ラブ・ストーリーは突然に」からのサンプリング

あの日 あの時 あの場所
帰り道には
そう あんなモンが帰るショップは1つだってない

カレシのジュード/syudou

あの日 あの時 あの場所
君に会えなかったら
僕らは いつまでも
見知らぬ二人のまま

ラブ・ストーリーは突然に/小田和正


「なんだパクりじゃん」とは思わせないのが流石というか、
サンプリングした上で歌詞の意味が180度変わっていたり世界観がまるっきり違ったりと、ちゃんとオリジナリティが出せている。


この辺のバランス感の上手さ。
ほら、もうラッパーでしょ。完全に


ここまで読めばsyudou検定1級まであと少し!

米津玄師とビーフまでしてるぞ


HipHopの文化でもう一つ特徴的なものとして、「ビーフ」というものがある(※牛肉じゃないぞ!)。


これは、気に入らないアーティストに対して楽曲を通して挑発したり、Disったりするという文化


言われた側もそれに対してのアンサーとなる曲を作って発表し、白熱していくにつれて曲が生まれていく…

なーんて、あんまり日本のPopsシーンでは馴染みがない文化なんだけど、
そこは我らのラッパーsyudou


なんとあの米津玄師とビーフしてます。


もともとは米津玄師サイドが「砂の惑星」という曲を発表したことが発端。

かつて「ハチ」名義でボカロPとして活動していた米津さんが、数年ぶりに初音ミクを使った曲を発表。
ただこの歌詞がなんとも、当時のボカロシーンを揶揄するような内容で


何もない砂場飛び交う雷鳴 しょうもない音で掠れた生命
今後千年草も生えない 砂の惑星さ
-----------------

有象無象の墓の前で敬礼 そうメルトショックにて生まれた生命
この井戸が枯れる前に早く ここを出て行こうぜ

砂の惑星/ハチ


ボカロシーン全体を「草も生えない砂の惑星」とぶった斬り


「ここを出て行こうぜ」という文言からは、「ボカロにこだわってないで、次のステージ目指せよ!」的なメッセージも読み取れる気が


ボカロPという立場から一人のアーティストへとステップアップしていった米津さんからの挑発のようにも、激励のようにも受け取れるような…

これは手厳しい。

ここまで投げられたメッセージに対して、数々のボカロPが特に何も触れない中、我らがsyudouだけが黙っていなかった

砂の惑星から数年後に発表された「ジャックポットサッドガール」という曲で、この宣戦布告に対してアンサー!!

ねぇ先生 ここ無法地帯
あなた曰く既に廃れ枯れたアネクメーネ

草木生えず人類の住めなくなった
チープでキッチュな小惑星

ねぇ先生あなたバカじゃないの 
未だ滾る感情を知らないの
凝り固まってんならお勉強
ここで無垢で無知で無為な賛美を見せつけるわ

ジャックポットサッドガール/syudou


インタビューでも答えているように、syudouさんはもともと米津玄師の大ファン

そんな相手を「先生」と表現した上で「あなたバカじゃないの」と真っ向から立ち向かう様子!!

もはや二人でMCバトルしてみてほしいレベル。

超HipHopじゃん、ヤベー!



まあ何が言いたいかっていうと


ここまで読んでくれたあなたはsyudou検定1級。

ついでにHipHopにもちょっと興味持ってもらえてれば嬉しい。


総括すると、syudouさんに限らず、ボカロシーンの面白いところに、「ジャンルレスなところ」があると思う


ある程度「ボカロ曲っぽさ」的なフォーマットがあることは否めないけれど、RockもエレクトロニカもEDMも、全然違うジャンルなのに共存している感じが不思議というか。


本来であれば出会わなかったジャンルの音楽性に触れる機会が多いからこそ、それぞれの要素をミックスしたような不思議な音楽性が生まれる土壌になっているんじゃないかなと思う。


この辺、取り入れるのが上手い人だったらどんどん伸びていくような気がする…!!

今後も目が離せないぜ。

で、最後に


あの…ワタクシもボカロとHipHop合わせたようなコンテンツ作ってるんですよ…

音源は「古き良きボカロ曲 × HipHop要素」的な感じのも作ってみたし



ボカロにラップバトルさせてみるとかいう企画もやってるので、よかったら観てもらえると嬉しいんだよな…


なんか勢いで書いちゃったから文体も不安定だし、めちゃくちゃ駄文だけどここまで読んでくれた方には感謝しかないです。

もしよかったら他のNoteも見てくれると嬉しい!

以上!!!!!

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