道草木
「行ってきまーす!」
ジュンは元気よく家を飛び出した。
ジュンは小学1年生。
まだまだ「知りたい、やりたい、あそびたい」と脳内を言葉がグルグル巡ってかけっこをしている。
学校に走って向かっているジュンであったが、なぜだか今日はいつもと違う道に入ってしまった。
「あれ〜?」
入った初めての道は住宅街であったため、家が並んでいた。
しかしある家の庭には見たことのない木が生えていて、見たことのない実が成っていた。
好奇心が旺盛なジュンは急いで背負っていたランドセルを投げ捨てて、その家の塀をよじ登り木へ登り始めた。
狙いは謎の実。
みるみるうちに登り、気がつけば実の成る枝の元に着いていた。
そして恐る恐る手を伸ばしその実をプチンともぎ取った。
「こらぁ!そこのガキィ!!ワシの家の実に何するんじゃあ!」
家主と思われる老人が声を荒げたため、急いでジュンは実を握り締めたまま木から降りてその家を後にした。
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ジュンは遅刻した。
しかし先生には怒られなかった。
なぜなら近所のおじさんの家の庭にある木の実をとる手伝いをしていたと嘘をついたのだ。
そして手に持っていた実を見せた。
するとむしろ先生は褒めてくれた。
この実の正体はジュンには分からなかったが、
この実の名を「口実」と名付けた。
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