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名前のはなし その1「さなぎ」

HNをつける際に、男性は本名や自分自身と関係のないものを思いつき用いる傾向にあり、対して女性は自分や本名と関係する言葉を用いる傾向にある、とTwitterで目にしたことがあります。元ツイートが見つけられませんでしたが…。

実際のところはよくわかりませんが、少なくともわたしはこれに当てはまるようです。
そんなわけでこの度新しく使い始めた名前、つまりはHN「さとううなぎ」の話を、自己紹介がてらしてみたいと思います。

この名前を考えるにあたって、モチーフとした言葉が3つあります。タイトルがネタバレになってますね。
つまりは「さとううなぎ」は、「さ」と「(う)なぎ」なんです。 今回は「さ」「なぎ」のお話です。

さなぎ【×蛹】 
完全変態を行う昆虫類で、幼虫から成虫に移る直前に形態を変え、食物をとらずに静止状態となったもの。ガ・ハチのように繭の中にこもるもの、チョウ・カブトムシのように裸のものがある。また特に、蚕についていう。蛹虫(ようちゅう)。
[補説]書名別項。→蛹
  (デジタル大辞泉より)

わたしは、虫全般あまり好きではありません。ですが、幼い頃から、虫たちの「さなぎ」の姿やその状態の期間に対して惹かれるものがありました。
人間にもこれがあったらいいのに。そうすれば子どもと大人の境界がはっきりするし、全く違う生き物みたいに姿を変えられるなんてきっと楽しいに違いないのに、と思っていたのです。
目覚めると自分はカプセルの中に閉じ込められていて、自分の身体はとろとろの液体になっていて、それからゆっくり、ゆっくりと時間をかけて爪先から「大人」のわたしが出来上がる…なんて朝がくればいいのにと幾度となく想像して眠りについていました。

そうこうしているうち、寧ろ自分はずっとさなぎの中にいるんじゃないかと考えるように変わりました。一般的な人間の形をしたさなぎの中で、どろどろと一つの形になれない、曖昧なものこそがわたしの姿なんじゃないのか、と。もっと正確に言えば、一般的な人間の形をした、変わらない繭(もしくは殻のようなもの)もまた、わたしの一番表層の姿。
これが、大人になる前段階としての当時の自分の認識であるなら、所謂心理社会的モラトリアム(用語として間違っていたらごめんなさい)と一致するのかと思います。しかしながら、そうではないのです。わたしはさなぎから出てくるための大人の身体を作るために液体になっているのではありません。はじめからおわりまで、外側は繭(殻)にコーティングされ、内側はただ液体であり続けている、そういう生き物である、それだけなんです。

こう考えるようになってから、わたしは自分自身の中で起こる目まぐるしい変化を、「液体なんだから仕方ない」とまるっと包み込めるようになってしまいました。昨日と今日で、こんなに考え方が変わったって仕方ない。今日と明日で、この気持ちが真逆に組み変わったとしても仕方ない。
なんとも都合がいい言い訳のようにしか聞こえないかと思います。わたしもそう思います。ですが、これはわたしがほんの少し生きやすく、ほんの少し幸せになるためだけの、内側のささやかな理論なので、誰に邪魔されることもありません。

淡い緑のさなぎをそっと光に透かしてみるように、この内緒の理論を明かしてみよう。とろとろの不定形の心のゆくままに、書きたいことを書こう。そんな気持ちで、「さなぎ」をHNのモチーフの一つとしました。

残りの2つは、また今度に。

#エッセイ #名前 #名前の由来


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