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ラヂオの時間をみた話

選んだ理由


こんにちは。前回に続いて映画の感想です。

普段はそんなに映画を見ない人間なんですが、先週はとても悲しい事があったので(詳細は伏せますが)少しでも気分転換になればいいかなと思い、できれば陰鬱な表現とかがなさそうな喜劇を見ようってことで選んだのが今回の「ラヂオの時間」です。
(今回もAmazon prime videoで無料でした)

三谷幸喜氏の作品はあんまり見てないのでもしかしたら合わないかも。と思いつつ見始めたのですが、想像してたよりずっと面白かったしけっこう笑っちゃいました。
元気100倍!明日からがんばるぞい!!ってほどではないけど気分転換は間違いなくさせてくれたのでとても助かりました。

ありがとうございます。



改めて考えてみると〇〇な気分だから△△な映画でも見よう。と、思ってバッチリその△△の形にハマる映画なのがスゴイ。

映画を選ぶ人は監督や配役とジャケ絵と映画のタイトルくらいでしか推理できないですからね。
※今どきはあらすじや予報映像もありますがあんまり見ちゃうとつまらなく感じるタイプなので基本的には上記から選んでます。

この作品の中でも一つのテーマとなってますが三谷幸喜氏が人々に求められてるプロ像ってのを垣間見た気がします。

プロ意識の塊 アナウンサー(お気に入り)



以下あらすじ&ネタバレ注意


生放送のラジオドラマを控え、緊張気味のスタジオ。初めて書いた脚本が採用された主婦のみやこも、直前のリハーサルを見学していた。
そんな中、突然主演の人気女優が設定を変えたいと文句を言い始める。困り果てたプロデューサーは、みやこに脚本の書き直しを依頼。
だが他の出演者も口々に不満を漏らしはじめ、メロドラマだった物語は次第にアクションへと変貌してゆく。
Amazon prime videoより


みやこの脚本は本番直前まで『パチンコ屋のバイトであり平凡な主婦の律子が熱海で漁師と駆け落ちする愛の物語』であり、その主婦役は脚本を手掛けたみやこの願望を投影したような女性でした。

しかし、現場での発言権がとても強い主演女優が ”自分の演ずる役の名前である律子の名前が気に入らない” としたワガママを発端として脚本は主婦の律子女弁護士のメアリー・ジェーンに変更、それに合わせるように物語の舞台を熱海からアメリカのシカゴへ変更。

生放送に間に合わせるために少ない時間の中で辻褄を合わせるために改変し続けた脚本はさらにスポンサーの都合により当初の脚本とはかけ離れた脚本になってしまう。

ここにいるやつらは、誰も良いものなんて作ろうと思っちゃいない。
唐沢寿明 演ずるディレクター:工藤


感想


ラヂオの時間の初公開は1993年。

当時はSNSやインターネットも発達してなく、メディアの頂上はテレビ、ラジオ、雑誌だったあの時代に私は小学生だった。
この映画からは服装や小道具(マックの紙袋のデザインが懐かしい!)はもちろんで、今では有り得ない職場だろうがお構いなしに四六時中タバコを吸ってる描写や空気感が私がまだ小学生だったころの1993年がものすごく香ってくる。

もっと具体的にいうと『笑っていいとも!(まだ森田一義アワーのころ) 』のゲストにきたワガママそうな大御所が特に面白い事もしゃべらず、スタッフや共演者がアワアワしてバタバタしてるあの頃のフジテレビ感だ。

私は特別にフジテレビが好きって自覚はありませんでしたが、見るものも無くとりあえずテレビをつけとくならフジかなって感じでしたね。
良く言えば「元気」、悪く言えば「さわがしい」って印象。

あの頃が一番良かった。なんて話ではありませんが、たまに政治家なんかが「元気な日本を取り戻す!」なんていうと自分の場合はあの時代だったのかな、なんて思います。
そんな時代のそんな映画。

あらすじからもドタバタした時代の疾走感を感じられます。
そしてなにより登場人物達の濃さが魅力でストーリーよりも演者ありきの作品に感じました。
ほとんど喋らない役の人ですら表情の演技や仕草でひたすら主張してくるので、閉じた空間であるラジオのスタジオの窮屈さに鬱屈させられることはありませんでした。(後に知ったのですが元の原作は舞台劇なので閉じた空間で話が進んでく理由がわかってスッキリ)



作品のテーマは「それぞれの立場と仕事に対するプロ意識」なんでしょうかね。

1993年の香りがスゲーんだ!って話をしましたが「それぞれの立場と仕事に対するプロ意識」はこの記事を書いてる2022年でもバッチリ「職場あるある」として機能しています。

自分の仕事の達成しなければないないこと。
さらにその中で仕事を介して自分が人間性をどれだけ満たせるか。
そんな現代と変わらない「タスクニーズ」と「ヒューマンニーズ」で葛藤し迷走する人間模様が散りばめられてあります。

自分の職場で当てはめてみて「この役はあの人で…このつかえないジジイはあいつで…」みたいな遊びができるのも本作の魅力でしょうか。

私も今の仕事でやっとそこそこのポジションをもらえるようになったのでこの作品を楽しめてる気がします。
学生時代や仕事がペーペーの頃に見ても面白くないかもしれませんね。

たぶんこのテーマは100年後にAIが仕事に加わって働き方改革が浸透しても通用であろう普遍的なものなのでしょう。
人間が生きているかぎりは続いていきそうですね。


そういうわけで今回の「ラヂオの時間」の感想は終わり。
三谷作品、順を追ってみてみようかなぁ(どっかで胃もたれしそうだけど)

指さしで始まり指さしで終わる唐沢寿明 (アツい)


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