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模倣と創造〜13歳からのクリエイティブの教科書発刊にあたって

3月18日、4冊目の著作が発売されます。『模倣と創造〜13歳からのクリエイティブの教科書』という本です。

僕は、もともと小学校で受験をして、中高一貫の進学校に入りました。中高時代の得意科目は、英語、国語、数学といういわゆる、「受験に使える」科目で、美術や技術などは見向きもしませんでした。大学でも「就職に有利だから」法学部に進学しました。

思えば、全くクリエイティブと程遠い人生を生きてきました。そんな僕は、33歳の時、デザインスクールに留学し、ゼロからデザインを学びます。

独立してデザインファームを立ち上げたのが35歳の時。そこから、6年間、気づけば、独立してからおそらく数千人以上(もっとかもしれません)に何かしらの形で「ビジネス現場で自分に眠る創造性を解放する方法を教えてきました。」美術とは縁遠かった僕が、現在は多摩美術大学のクリエイティブリーダーシッププログラムで、社会人相手にゼロからクリエイティブを学ぶ教育プログラムでも教えています。

そして、何より、この数年は、小中高の学生さん相手に自分のビジョンを作ったり、クリエイティブな思考をしていくための授業をすることが増えました。

そのプロセスの中で、大人であろうが、子どもであろうが、創造性を学ぶ人がぶつかる壁がわかってきました。

創造を学ぶというと、「楽しそう、、、だけど、自分には学べないんじゃないか?」と思ってしまう人が多いのではないでしょうか?
そこで、以下の3つの点を工夫しました。

1.段階に分けたコツの紹介

クリエイティブを学ぶ本は、クリエーターが自分で書いた本が多いですが、大体「すでにできる人がその人が体得した真髄を書いている」ケースが多く、必ずしも、素人にとっては「すごいけど、ちょっと真似できないなあ」と思うことも多いでしょう。

この本は、創造を学ぶプロセスを守破離という3段階として、模倣ー想像ー創造と分けた上で、それぞれのフェーズで学ぶべき19のコツを紹介しています。

第1章 模倣 — まねる

観察|「まねる」プロセスで何が起こっているのか?
手考|手を動かしまねることで得られる感覚
感性|「センス」を決める三つの軸
習慣|「まねる」を1週間だけ続けてみる

第2章 想像 — えがく
自分|わたしという主人公を登場させよう
余白|わたしを取り戻すために、空白をつくり出そう
感情|喜怒哀楽の日記を書こう
想像|自由に妄想して、未来の景色を頭のなかに描こう
受容|自信をつけるのに必要なのは「聞き上手」な人

第3章 創造 — つくる
飛躍|いっぱい飛ばして、一気にまとめる
形式|表現フォーマットとの出会い
熟成|ひらめきは寝て待て
工房|自分と向き合うアトリエを持とう
企画|楽しさから始め、もやもやを抱きしめる
表現|想いを伝え切る表現にこだわろう
見立|作品の個性となる独自の世界観と出会おう
前進|時には止まりながら、周囲を味方につけ着実に歩もう
点描|あなたの経験の星座をつくろう
開花|神童タイプと大器晩成タイプ

2.4コママンガと図解で要点を伝える

この本の19のコツは、全て最初に4コママンガが入っています。漫画家のはしゃさんに、内容を全て理解してもらった上で、4コマ漫画化してもらいました。

クリエイティブを学ぶというのは、実は日常のちょっとした瞬間に出来ることです。私たちの中に住むクリエイティブの妖精をモチーフにした漫画を描いてもらいました。まずは、4コマ漫画から入ることで、内容についてスムーズに理解できるようになっています。

3.大学生との対話で本を作ったこと

この本の内容は、BIOTOPEでインターンをしていた学生さんとの対話の中で生まれてきたものです。この学生さんは、軽井沢インターナショナルスクールという先進的な学校を出た経験があり、実は高校時代にデザイン思考的な授業を受けたこともあった学生さんです。しかし、その学生さん目線で見て、実際に自分が創造を学ぶことで起こる不安やつまづくポイントがいっぱいあり、なかなか難しいと感じていたそうです。

彼女との対話を通じて、クリエイティブを学ぶ人がつまずくポイントを一つ一つ足掛けをして作ったのがこの本です。この本の完成原稿を読んだ彼女の言葉を引用したいと思います。

「クリエイティブ」ということばに、身構えてしまうのは私だけではないと思います。
「これからの時代はクリエイティブ」「クリエイティブじゃないと生きていけない」と言われるようになって久しい。その文脈において、「正解」を求めさせる日本の教育が槍玉にあがることもあります。
これまで、「いやそんなこと言われても…」とずっと思っていました。自分は学生として、正解のあるテストの結果に一喜一憂してきたし、正直、目の前の正解探しで常に頭はいっぱい。
でもいざ社会に出たら「あ、大丈夫です、正解はAIで導き出せるので、あなたはいらないです。」と言われてしまうのかな?と不安でした。
個々人の存在価値みたいな話にもなってきます。それ以来、自分に「クリエイティビティ」がないと悟られてしまうのがこわいとも思っていました。
インターン生として入社したBIOTOPEで、代表の佐宗邦威さんに「創造性についての書籍を執筆する上で意見を聞きたい」と言っていただいたときも、実はちょっとどきっとしました。なんか面白いこと言わなきゃな…みたいなことです。でも結局そんな心配は必要ありませんでした。構想の段階から完成までを間近で拝見しながら、その制作過程のなかで意見というより、たくさんのお悩み相談をさせていただきました。
3月18日発売の『模倣と創造〜13歳からのクリエイティブの教科書』は、私のいままでのクリエイティビティに対して漠然と感じていた不安や恐れをときほぐしてくれるものでした。
そもそも「クリエイティブ」って何なのか?今から、今日から、何ができるのか?
読者に、創造性の身につけ方をやさしく丁寧に且つ具体的に教えてくれる本です。今がんばっていることがなんであれ、それと矛盾するものではない、ということもわかるはず。
原稿を読みながら、「あのひとが読んだらどう思うかな」と、これまで私がいろいろなところであったひとたちの顔を浮かべていました。
わたしと同じような気持ちでいるひとにも、すでに創造性を発揮して活躍しているひとにも、届いてほしいと思っています。そして、ぜひ一緒にお話しましょう!

この本は、創造をゼロから学びたい学生さんはもちろん、創造的な生き方をしたいと思っている大人や、これから先が見えない世界を創造的に生きていく必要のある子供たちに接している先生や父親・母親の読んで欲しいなと思っています。

創造を学ぶことは、未来を創り出せる、という希望を作る力を学ぶことだと思います。先が見えない時代だからこそ、未来を創造していく力を学びませんか?

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