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さしすマガジン令和6年4月号③【月イチ企画】

さしす文庫4月の月イチ企画は「映画を見て換骨奪胎してプロットを作る」です。
メンバーで同じ映画を見て要素を換骨奪胎し、そこからそれぞれプロットを構成しようというものです。
(内容や参考にした映画など、詳しくはこちらの記事をご覧ください)

今回のプロット作成者:陸離なぎ

○タイトル
 緋色の冬
○ジャンル
 ボーイミーツガール
◯コンセプト
 JKが大学生のお兄さんと出会って一夏の冒険をする話
◯テーマ
 想いを継ぐ
〇舞台
現代日本

○キャラクター
【岡山(おかやま)緋色(ひいろ)】
 主人公。女。16歳(高二)。
 誕生日:12月3日。
 身長:143.9
 オカルトマニア。
 危険を伴う趣味に否定的な人が多いので他人と趣味のことを話すことを好まないが、苦手ではない。
 また、十年前に親が離婚してため母子家庭であり一人で居ることが多かった。そのことも相まって一人で居るのが落ち着く。好き。
 しかしオカルト事件を追っているときは大抵の場合物理的に危険な場所(山とか廃墟)なので同行人がほしいとは思っている。
 本人は知らないが緋色は緋色の母が結婚するより前に生まれている婚外子であり、離婚した父親とは血がつながっていない。
 考えるより先に行動し、困ってから考えるタイプ。
 好きなものはオカルト雑誌とスーパーの30円のおにぎり(エビマヨ・ツナマヨなど)。
 嫌いなものはオカルト事件のあった場所に行くまでの移動時間。
 神秘の意味のミステリーが好き。

【高木(たかぎ)冬(とう)】
 男。23歳。大学院生
 誕生日:6月19日。
 身長175.9。
 父の勧めで小学校・中学校と合気道と棒術を習っていた。
 行方不明になった父・高木極(きょく)の留守を預かり、父を探しつつ探偵をやっている。
 ぱっと見はきれい系の美人で足が長い。
 母親が北欧系の人種で、その遺伝で銀色の瞳と髪を持つ。ブラウンのサングラスを基本的にいつもしている。(色素が薄いため日光が眩しいから)
 手にはいつも白い手袋を着用している。(探偵っぽいから)
 好奇心旺盛な性格でなんでも首を突っ込むタイプであり、失踪した父のもとに来た依頼を勝手に受けている。留守を預かっているのも頼まれたからではなく、父に来る依頼に小さい頃から興味があったから。そのため、興味を懐いた依頼や事件しか取り扱わない。
 推理の実力はピカイチであり、警察には多少は顔が利く。
 好きなものはクロスワードとたまごボーロ、好奇心のそそられる事件。
 嫌いなものは謎のない事件。(事件が起こらない方が良いとは思っている)
 昔は背も低く女顔なこともあり小さい頃は冬ちゃんと呼ばれていた。しかし中学時代は冬ちゃん(父ちゃん)と揶揄われていた過去があり、冬という名前があまり好きではない。そのため友人には柊と呼ばせている。
 謎という意味のミステリが好き。
 父親の極自体が、探偵は危険な仕事で親戚から良く思われていなかった&失踪。そのため冬が探偵をすることも良く思われていない。親戚からも。友達からも。極の最大の理解者だった冬の母からも。
 なので捜査の手伝いは頼めない。

〇あらすじ
・起
 夏休みのある日。
 全身に火傷傷があり、両目・両耳・鼻。口が接着剤で固められている遺体が見つかったという事件が起きる。
 緋色はオカルト雑誌の、これは宇宙人が山で起こした変死事件であり、全身の火傷はUFOからのビームで出来たものだという記事を読み、その山にやってきた。だが雨に降られ、山小屋で雨宿りをすることになる。スマホも天気のせいで圏外で退屈していると冬があとから訪れ、この山にあるフォトバエスポットではなく、緋色が変死事件を調べに来たことを言い当てられる。
 自身も変死事件を調べていると打ち明ける冬と事件の話をするうちに、最初はただの暇つぶしだったがだんだんと楽しくなり、事件について詳しいことを知っている風でありながら教えてくれなかったものの、他人と話している気がしなかった。まるで家族と話しているように感じられる。
 その日は午後3時頃前まで雨が止まず、冬とともに下山して家に帰り、翌日改めて山にくると冬とばったり出会う。

・承
 宇宙人は見つからなかったものの話は弾むが、やはり事件の詳細は教えてくれない。
 別の日、雑誌を頼りに出かけた先で再び冬と出会い、話を弾ませる。
 そんなことが何度かあったある日、冬は探偵になった経緯や変死事件を追いかけている理由を話してくれる。それは事務所に届いた、犯人からの犯行声明である。
「親愛なる名探偵、高木殿。その高名に偽りがないのなら、7つの見世物が幕を引くこの夏の終わりまでに私のもとにたどり着いてみせろ」
 の文章とともに同封された、1つ目の変死体の写真が送られてきたこと。
 事件現場には自分宛てと思われるヒントが残されていること。
 冬が今週いっぱいで海外に行かなければならず、最低でも半年は帰ってこられないため、それまでにこの事件の謎を解き明かしたいと思っていることを知る。
 今まで教えてくれなかったのになぜ教えてくれたのか尋ねると、親戚や友達から探偵をやることを良く思われていないことを話してくれる。冬にも探偵が危険だという自覚はある。しかし、探偵は冬にとって一番の趣味であり、生きがいとも言える。それを否定しなかった唯一の存在であり、友人から良く思われていない趣味を持つ緋色は自分と少し似ていると感じているため、少し心を許している。という旨の話を聞き、人間が起こした事件には興味はないが、冬のことは気になる緋色は、冬がどう決着をつけるのかを見届けるため、一週間、冬についていくことを決めた。
 両親が心配するから帰るように促されるが、母子家庭で父が居ないこと、母は放任主義な上に緋色がオカルト事件を追って何日か帰らないのはよくあることだと言い張る。
 危険だからダメだと言う冬に勝手についていくと宣言すると、冬は緋色を振り切るために走り出してしまう。慌てて追いかけるも足が縺れて転んでしまい、坂を転がってしまう。止まれず崖から落ちそうになったそのとき冬に助けられ「放っておくほうが危険だとよくわかったよ」と母親に電話して許諾が取れることを条件に付いてくることを認められた。
 それから一週間あちこちと巡り犯人の遺したヒントを辿るが、四つ目の事件が起きた翌朝、冬はなんの結論も得られぬままタイムリミットを迎える。
 海外に行く予定を変更できない冬を見送るため空港にまでついて行った緋色は、ある決意を伝える。
 それは自分が冬の代わりを務めるというものだった。逐一電話をして冬の手足になることで、冬がどう決着をつけるのかを見届けることができると思ったからである。
 冬は危険だと思ったが、拒否しても「勝手に行動してその結果を電話する」と緋色の顔に描いてあるように感じ、それならまだ自分の言う事を聞いてくれる方が安心だと考えて了承した。

・転
 飛行機が飛んでからしばらくは連絡が取れないため自宅に帰ると、母親がテレビの「あまり知られていない美味しい魚特集」を見ており、セイタカヒイラギのことをやっていた。
 緋色は、セイタカヒイラギ→背高柊→1文字なければ高木冬→犯行声明には逆に「冬」の文字がなく「高木殿」としかないこと→もしかしたら高木極宛の手紙だったのではないかと思い付く。
 翌日冬から掛かってきた電話でそのことを話すと、事務所にある父の遺した事件ファイルを探ってみてほしいと頼まれる。記憶は曖昧ながらも未解決事件ファイルの後ろの方に似たような事件のまとめがあったことを思い出したという。
 緋色が冬の母から事務所の鍵を借りて調べると、冬が探っている事件と同様の死に方をしている事件のファイルが見つかる。その内容から冬は、今まで起きている事件は4つではなく、10年前に既に2つ起きていたこと、父にも冬と同様の手紙が届いていたことを知る。そしてその二つのヒントを見たことで、被害者の殺され方から犯人の動機も推察できた。
 そして犯人が誰なのかを(緋色を図書館に行かせて)古い雑誌に載っている、とある火災事故(事件)の記事から容疑者を絞り込んだ。
 冬は寮の就寝時間でスマホが使えなくなるため、緋色を冬の助手ということにして知り合いの警部に伝言を頼んだ。
 それは冬が絞り込んだ容疑者たちについて調べてメールして欲しいというものである。翌日、冬は警部からのメールを見て、容疑者を一人に絞り込めた。そしてその人物の情報の中に十年前にある別の事件で死亡していることと、血縁は息子一人だけだということから、二つ目の事件と三つ目からの事件の十年のブランクの謎が解けた。
 そしてメールには、容疑者を調べるうえで出て来た緋色に関係する情報も書かれていた。
 そのことで冬はどうするべきか悩んだが、大学生とはいえ大人として、子供である緋色には誠実でなければならないだろうと結論を付けて、事件の真相を緋色に話した。

「二十年前。とある高層ホテルで火災が起き、百余命の被害者が出た。とはいえほとんどの人は軽症であり、遅い人でも半年ほどで快復したが、命を落とした人が四人いた。
 身寄りのない人物が二人。
 妹と二人暮らしの高齢の女性が一人。
 夫と息子を残した中年女性が一人。
 警察の捜査で火元は厨房で、古くなっていたガス栓のホースが原因だとわかり、被害が増大化したのは防火扉が見せかけの、基準を満たしたものでなかったことが原因だった。
 遺族を中心に被害者の会はなんでこんなことが起きたのか真実を明らかにしてほしいとホテル及びホテルの施工会社を訴えたが、慰謝料の支払いはあったものの真実については謎のままだった。
 当然遺族の二人は激怒するも、ホテルの施工に関与していた人間がホテル側と施工会社側を合わせて七人いたということしかわからず遺族の内の高齢女性が亡くなってしまう(自然死)。
 最後の遺族――岩田亘(わたる)はだんだんと、その七人に妻が殺されたのだという思いが強くなり、友人にも零すようになっていた。

 十年前。何らかの理由(※1)で復讐心が再燃した岩田亘は件の七人の名前や現住所を調べ上げた。
 岩田亘は七人を年輩順に殺害していく。二人目までは高齢者であり犯行に苦労はなかったが、三人目は岩田亘と同年代であったため逆に突き飛ばされて頭をぶつけ死亡してしまう。
 後日、三人目の被害者(冬に届いた手紙に同封の写真の人物)は傷害致死の容疑で逮捕、起訴され、意識のない岩田亘を放置したことや、逆にサイフから現金を抜き取ったことなどから正当防衛は認められず、懲役十年の判決が出た。
 岩田亘の唯一の肉親である息子、岩田秋(あき)は父の復讐心を何かの形で知ったことで復讐の鬼となり、父の意志に沿うように三人目が刑務所から出てくるのを待って犯行を行った。
 以降の犯行は知っての通り」

 冬の推理を聴き終えて犯人のところに行こうと提案する緋色に、冬はその前に話があると切り出す。
 その話とは、警部から送られて来た緋色に関する情報のことである。
 それは、犯人である岩田亘の息子の岩田秋は、緋色の母親の元夫――つまり戸籍上の緋色の父親だということだった。
 岩田亘を調べるにあたってそのことが分かったという。
 緋色は、冬は「岩田秋は岩田亘の唯一の肉親」だと言っていた、あんまり覚えてないけどお父さんは人殺しなんてしない優しい人だったと感情的に反論する。
 冬はしかし、淡々と真実を口にする。
 緋色の両親が婚姻届けを出したのは緋色が1歳3ヶ月のときであること、緋色の出生届の父親欄は空白であることを伝え、緋色と緋色の母親の血液型を尋ねられる。
 母はOで自分はAだと答える緋色に冬は「岩田秋は両親含めてO型だ。O同士からAは生まれない。それに、仮に血がつながっていたとしたら結婚までしているのに認知していないのは不自然すぎる。つまり君は岩田の血は引いていない」と告げた。
 そして岩田秋が緋色に向けていた優しさも嘘だった可能性があるとも告げる。とはいえ、岩田は緋色にとって父親であることに変わりはない。もし真実を知れば、傷付くことになるかもしれない。だからあとは警察と自分に任せ、緋色は岩田のところへ行かない方が良いと言われる。

・結
 突然のことで一瞬受け入れられなかった緋色だが、今の自分は冬の手足なのだと思い直し、また父の優しさが嘘か本当かを確かめるために「行く」と答えた。
 そして緋色は警察とともに七人目が襲われそうになるところを助けに入って岩田秋を捕まえた。
 七人目は、例の事件は施工会社が経費を着服するために行ったこと。火災は本当にただの事故だったこと。従業員は皆、本当に申し訳ないと思っていたということ。しかし施工会社の社長がホテル会社の重役の親戚だったため忖度が働き詳しくは開示されなかったことを話し、岩田に謝罪した。
 岩田秋が連行される前に、冬は岩田に質問をする。
 岩田亘が復讐をする動機自体はまだわかる。岩田秋が復習を始めたというのならそれもわからなくはない。しかしなぜ復讐を『継いだ』のかがわからない。なにが岩田秋をそうさせたのかと冬は尋ねた。
 こんな大事件を起こす割には止めてほしいかのような手紙を寄越した理由。また息子である岩田秋が事件を引き継いだ理由。その2つの理由にこそ冬は興味があったのだ。
 岩田秋は父が残した秘密の日記に全てが記されていたと語る。
 手紙を送ったのは、犯行の準備をしている最中、迷宮入りしかけた事件を高木極という探偵が真実を解き明かしたというニュースをたまたま耳にした亘が、真実が解き明かされなかったから自分はこうなっているのだという思いからだと書かれていた。
 復讐を継いだのは、父が母のことを悔やんでいるのを誰よりも知っていたから父が思いを遂げられないのはかわいそうだと思い、父の意志を勝手に引き継いだ。
 また、妻や子が側に居ると決意が鈍ると思い離婚したと語る。
 それを聞き冬は理解を示さなかった一方、緋色は優しかった父の僅かな記憶を思い出し、岩田秋のーー父の優しさが故に起きた悲劇だったと悟る。そして、父のくれていた優しさは偽物ではなかったと知り、緋色はパトカーに乗る父親をまっすぐに見届けた。
 そうして緋色は、無事に冬の(手足の)代わりに事件を解決することができた。

※1
 妻が死んで10年が経ち、製薬会社への恨みは晴れないものの表面には出なくなっていたが、孫娘が割った花瓶を接着剤で直していたときに、一度割れると本当の意味ではもとに戻らないという思いから復讐心が再燃し、2件の犯行を犯した。
 緋色を傷つける可能性を考えて岩田秋が隠したため、本編には出てこない部分。

・エピローグ
 数日後。
 緋色は冬と連絡を取る理由がなくなったことで退屈していた。
 クラスメイトとの最低限の交流でさえ煩わしく感じ、同時に、なぜ冬を煩わしく思わなかったのかが気になっていた。
 ある日、事務所の資料を出しっぱなしな上、鍵を預かったままだったことを思い出し片付けに行く。
 緋色はその際、腹を膨らませた緋色の母親の肩に手を回す高木極の写真を見つける。
 その裏にはこう書かれていた。

"SCARLET" will be born this winter.


以降のスケジュールは4月30日に雨隠日鳥のプロットを公開します。
お楽しみに!

前回(4月20日公開)はるはるが作ったプロットはこちらから↓


月イチ企画3月号「三題噺(短編小説)」はこちらの記事より読めます!


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