ミャンマーでも知的財産権が
ミャンマーでは2019年1月に商標法が成立したものの、2021年2月のミャンマー国軍のクーデターにより状況が一変し、その後の政情不安のため何年も施行が遅れていました。そのような状況下で、昨年2023年4月には商標法が、10月には意匠法が施行されました。さらに次の文書でJETROバンコクからも発表されたように、2024年5月にはいよいよ特許法も発効されました。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/asia/2024/mm/20240610.pdf
図はASEAN IP REGISTERサイトのトップ画面です。
このデータベースでも、いよいよミャンマーの知的財産権が収録されるに至りました。
個人的な話で恐縮ですが、特許関連法が成立し、法律が施行され、データベースへの収録が開始されるという、ある国の知的財産権の「誕生イベント」を経験するのは初めてです。妙に感動してしまったので、ASEAN IP REGISTERに収録されたミャンマー商標720件について、簡単に分析してみました。
ただ720件すべてが、2024年5月~6月に発行された案件ですので、時間軸に関する分析は実施していません。ニース分類と出願人について紹介します。
■ ニース分類
720件に付与されたニース分類コードを一覧表にまとめました。複数のコードが付与された案件が存在するため、件数合計が720を上回っています。どんな業界の方が、いち早くミャンマーで事業展開を狙っているか、匂いを感じることができます。
■ 出願人国籍
出願人住所情報をもとに、出願人国籍を集計してみました。
通常は商標は現地の出願人の件数が最多なのですが、まだ知的財産権が十分に定着していないためか、ミャンマーの出願数は第3位どまりでした。最多出願は隣国のタイです。日本もタイに続く第2位の件数を出願しています。
■ 出願人名
6件以上を出願した出願人は21社です。これらを表にまとめました。日本企業のみ、法人格を省いた日本名でリストアップしました。このような企業が、いち早くミャンマーでのビジネス展開を狙っているようです。
日本出願人だけを抽出した別の一覧も紹介しておきます。ただし出願人住所に記された国籍情報を集計したものであり、たとえば「Otsuka Myanmar Company Limited」のような現地法人は日本出願人とは扱っていません。
以上、初めて情報公開されたミャンマー商標の状況について簡単にお伝えしました。5月末には特許法も施行されましたので、今年中にはASEAN IP REGISTERに意匠や特許も収録されるかもしれません。また動きがありましたらお伝えします。
アジア特許情報研究会/アイ・ピー・ファイン 中西 昌弘