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【固有名詞の形容詞化】Trollopian

The biggest aid to regular (Trollopian?) production is working in a serene atmosphere. (p.143)
規則正しく、継続して(アンソニー・トロロープばりに?)執筆するには、落ち着く環境が一番だ。

Stephen King / On Writing: A Memoir of the Craft (2000)

アンソニー・トロロープはイギリスの小説家で、キングもこの本でいくつかのエピソードを紹介している。ウィキペディアによると「郵便公社でのフルタイムの仕事をこなしつつ、独自の執筆法(15分間に250語の割合で機械的に著述する)で、締切に追われることなく多くの作品を生み出した」そうである。

Trollopian は「トロローブのように規則正しく執筆する」というような意味で使われる形容詞で、OEDにも載っているらしい。

日本語では「東野圭吾っぽい」とか「宮部みゆき風」といった言い方はできるが、固有名詞を変化させて別の単語として使う例はあるだろうか。

例えば「ハルキスト」や「アムラー」など、「その人を信奉する人、ファン」という意味の普通名詞を作ることはあるが、接尾辞 -er も -ist も英語由来で、自然な日本語とは言い難い。

ちょっと考えたが「信玄餅」くらいしか思いつかなかった。なんか違うな。

ところで上の引用は、当初「静かな環境」と訳していたが、後で「落ち着く〜」に変えた。だってこの箇所の少し後で、「自分はいつもAC/DCGuns ’n RosesMetallicaを聴きながら仕事をする」っつってんだもの。静かじゃないよね。「音楽は私にとっては『扉を閉める』ようなもので、それによって日常から抜け出すことができる」って、まあ分かるけど。ジョークなのか天然なのか、よくわからないおじさんだ。




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