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【同棲日誌】言葉じゃなくても

ここのところ、彼の仕事が忙しい日々が続いている。

いつもは19~20時の帰宅だが、21時過ぎや遅いときは終電になることもしばしば。

私たちにとって、平日の夜は2人で過ごせる限られた時間。
ただでさえ短いと感じるのに、ここ数日は1日直接会話ができずLINE上であいさつを交わす日が増えていった。

もうお互いいい大人ではあるので、趣味や特技を磨くなど1人の時間を楽しむ方法は持っている。
ただ、同棲をしてからというもの、寝る部屋は別々だが、寝る前にどちらかの布団で今日の出来事や週末の計画などを話すことが気が付いたら習慣になっていることに気が付いた。それ故に、誰とも言葉を交わさずに自室の布団で眠る習慣は遥か昔のように感じて、何とも言えない寂しさが募るのだ。
一体、ひとり暮らしや遠距離時代をしていた時はどう過ごせていたのだろうか。あのときの自分を褒めてあげたい。

この寂しい感情は私だけが持っているのだろうか。
でも、それを伝えたところで、彼の仕事が変わるわけではない。

その日も帰宅してから彼は寝る準備を淡々と済ませ、彼の布団で5分ほど話をした。今にも寝そうな顔をしていた彼は話が一区切りした瞬間魂を抜かれるかのように眠った。

「おつかれさま、おやすみ」
と小声で伝えて、布団から出ようとしたとき、
彼が私の右腕にそっと両腕を絡めてきた。なんの前触れもなかったのでビビッてしまったが、そう思ったのは一瞬。彼の姿は木に掴まるコアラのようで愛らしさ満点だった。
簡単に離してしまうのは惜しいということでそこから10分間彼の寝息を聞きながら、ひたすらにスマホゲームをした。話しかけて起こすのも申し訳ないしね。

後日、彼にこの話をしたところ、まさかの全く覚えていないとの回答が返ってきた。
おいおい、あれを無意識でしてしまうとは相当あざといぞ。
さらにあざとかったのはこの回答のあと、
「今週、ハードすぎて全然話せんかったからなぁ。さみしかったんだと思う。」
の一言だ。なんだよ、あなたもそう思ってたのね…!うれしいやないかい。

言葉を交わしたのは少ない時間でも、行動や触れる時間で案外心情が伝わるものなのだろうか。と関係性のレベルアップを感じた夜であった。

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