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家庭内の不和をなんとかしようとする

パパとママがしょっちゅうケンカすること、これがレイにとって良くないことは重々承知している。ずっと何とかしたいと考えている。

この間のケンカの際には、パパの方も同じだとわかった。つまり、このままではレイに悪影響だと、ラインのメッセージがきていた。

だけど本当に前進しない。改善しない。足踏みしてばかり。


ティエリーが私に不満をぶつける。大抵はそこから始まる。

そしてその後。

まず最初は、ティエリーの不満の種を取り除こうとした。そのときの問題を解決しようとした。あるいは説明しようとした。

それからティエリーが楽しい気分になれるように、明るい声で話しかけた。優しくした。

だけどそれでティエリーが機嫌をよくするのは数日だけ。


それならと別の手段に出た。ティエリーがするように、こちらも言いたいことを大きな声でぶつけるのだ。同じやり方をすれば私の言うことが理解できるのかもしれないし、それにそんな風にされたらどんなに不愉快か、ティエリーにもわかるのではないかと。

だけどこれは怒鳴り合いが続くだけで、意味がなかった。

私も消耗したし、どうにもならない必要に迫られて頼みたいことがあるときには、心にもないご機嫌取りをしなければならなくなってしまった。最低だ。

つまりティエリーは不機嫌になればなるほど、最終的にはご機嫌取りをしてもらえるという、とんでもない学習をすることになる。


最後に、不機嫌になったティエリーを放置する、という作戦を開始した。

だって不機嫌な人と一緒にいても楽しくないし。

ティエリーは怒り、泣き、私を脅した。私がどんなに悪人で意地悪で嫌なやつか、何度も繰り返し証明しようとした。ティエリーをたった一人にし仲間はずれにしてイジメていると。日本になんか来るのじゃなかったと。

そんな話は聞きたくない。何か面白い話してくれる?

私の返事はいつもそれだけ。
ティエリーは連日、荒れ狂う。
レイは学校に行かず、私と事務所に通う。

1ヶ月ほどそうしていたら、少し変化が出てきた。


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多賀左右子
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