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最後の登校 2020年12月19日

 なんか卒業式みたいな気分になってしまう。たった数ヶ月だったのにね。
 迎えにいって、レイの教室のドアをじっと眺める。時間がきて、子どもたちがぽつぽつと出てきはじめた。いつもレイは2、3番目には出てくる。ドアに席が近いのだ。
 4人、5人・・・・・・8人・・・10人、そこまで数えても全然レイの姿が見えない。
 結局、ほとんど最後の方、モアメッドが出てきて、その次の次くらいにやっとレイ。
 いつもよりも片付けに手間取って、モアメッドが手伝ってくれたという。レイが一番の友達だと言ってくれていて、日本に帰らないでほしいのだ。
 出会いと別れ。担任の校長先生との面談のときも、先生に、いつ戻ってくるの?小学生の間にはまたフランスの学校に戻る?と尋ねられた。ティエリーがわからないと答えると、高校くらいで戻るのかしら?とさらに先生は質問を重ねる。
 でも全くわからない。
 先生は、「そうね、どうなるかなんて誰にもわからないわね」と続けてから、レイの方を向いて「誰でも、そういうものなのよ」とレイを励ました。
 レイも寂しいけれど、でも今は、みんなにちゃんとさようならを言えたからよかったと、すっきりした顔をしている。そうしてけじめを付けて気持ちを整理できる性格なのだろう。
 それを見ていると、私の方がぐずぐずしている気がした。仲のよい誰かと別れるときには、なるべくまた会えると信じて、なんなら明日にでも、その必要があるときにはいつでも、また前みたいに一緒に過ごせるのだというふりをしないと、とても足を踏み出せない。公園で夕方、友達に手を振る子どもたちみたいに、何でもないような顔をしたいから、なるべくちゃんとさようならなんて言わないようにしたいのだ。
 レイは勇敢だな。

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