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トーストびより vol.5

これまで作ったトーストのこだわりや青果への愛を綴る「トーストびより」。
vol.5でご紹介するのは、百人一首トースト、水墨画トースト、レオレオ二トースト、家紋トーストです。

百人一首トースト

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誕生日:2020年5月4日(月)
愛しむもの:サワークリーム、鰹節の粉、鮭フレーク、紫キャベツ、しらす、青のり、桜海老、にんじん、イカ墨、トマトケチャップ、食パン

百人一首が好きな私は、お気に入りの札の中から1枚を選ぶのに迷っていた。
清少納言と紫式部の2首に絞ってから、さらに2日程悩んだ。
歌の意味や詠み心地としては紫式部の歌が好きだったけど、漢字とひらがなの視覚的なバランスは清少納言が好き。悩んだ末に、今回は清少納言のトーストに。

夜をこめて 鳥の空音(そらね)は 謀(はか)るとも
よに逢坂(あふさか)の 関は許(ゆる)さじ

「夜をこめて」の「こめて」は「深くしまい込む」「包みこむ」という意味で、「夜がまだ明けないうちに」ということを表しているそう。意味の込め方が現代とはまた違って素敵・・・。
現代意訳としては、「夜の明けないうちに、鶏の鳴き声を真似て夜明けたとだまそうとしても、(あの中国の函谷関ならともかく、あなたとわたしの間にある) この逢坂(おおさか)の関は、決して開くことはありませんよ」。求愛する藤原行成に対してのしゃれたお返事。逢坂は掛け言葉になっている。

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サワークリームに鰹節の粉を混ぜてみた。
和紙の繊維質でムラのあるテクスチャと、イメージがぴったり重なる。

冷蔵庫にあったにんじんが、着物の硬く芯のある風合いを出してくれた。
しらすは同じ方向を向けて、着物の流れを意識して。最後に食用金箔をふりかけた。

ちなみに、私が持っている百人一首は文字が現代的で印象が合わなかったので、まわりに置いている百人一首の札は手作り。

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焼いた途端、鰹節の良い香りが!
ザクっと良い音がして、鰹節の香ばしい風味が口いっぱいに広がる。
イカ墨のコクが後からさり気なく効いて、私好みの味だった。
見た目も味も和風なトースト。

水墨画トースト

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誕生日:2020年5月7日(木)
愛しむもの:サワークリーム、イカ墨、トマトケチャップ、食パン

イカ墨とトーストの組み合わせが気に入ったので、ストイックにイカ墨だけを使いたくなった。
イカ「墨」なので水墨画に。濃淡をきかせるために遠近感のある構図を選んだ。
中国の美術史における先駆者的な写真家、Lang Jingshan風に。

爪楊枝や針にイカ墨をつけて、木を描いていく。
背景の山や雲は、サワークリームと混ぜて薄くする。

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焼いた後はイカ墨にヒビが入り、サワークリームが染み込み黄色くなる。
時の経過を感じる風情あるトーストに。

味は大満足のイカ墨トースト!またチャレンジしたい。

レオレオニトースト

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誕生日:2020年5月8日(金)
愛しむもの:マーガリン、ポテトチップス、カレー粉、イカ墨、チェリー、食パン

絵本作家のLeo Lionni「Frederick(1967)」。
厳しい冬の中で石垣に住む5匹のねずみたち。4匹のねずみは食料を蓄えるが、その中でフレデリックが集めたのは「いろ」や「ことば」。

ポテチを砕いたときの色のニュアンスや単位が、レオレオニの作風に見えた。
ポテチをビニール袋に入れて、細かく砕く。パンにのせるときは、ちょっと悪いことをしているような気分で楽しかった。

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焼いたら顔が歪んで上目遣いに!(かわいい・・・)
ザクザクのポテトチップスの下は、油が染み込んでしっとりめになっている。
のりがいいアクセントになった。

家紋トースト

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誕生日:2020年5月9日(土)
愛しむもの:マーガリン、ズッキーニ、食パン

ズッキーニを切ったとき、色のコントラストが綺麗だった。
輪切りにすると、濃い皮の色が締まって見える。この特徴を活かしたいと思った。

思いついたのは家紋。江戸時代に栄えた、「家のロゴマーク」のような日本独特の文化。その家にゆかりのある文様やモチーフをデザインに落とし込み、丸い縁の中に描かれる。

裁縫で使う細かいハサミを使って、ズッキーニの家紋を切った。
パーツが細かすぎて、肝心のズッキーニが指に隠れて見えない。ほぼ勘で切っていた。

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焼いたときの、マークの歪みが愛おしい。
縮んだり、捻れたり、配置がズレたり。

繊細な味を楽しめる、心地の良いトーストだった。

次回[トーストびよりvol.6]

次回は、バウハウストーストと、ねないこだれだトーストを紹介します。


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