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キャリアの悩み⑤世界は3つの価値生産からできている。

前回ではどう演繹的に私の信念である「社会進化」を導いたかを語ったわけだが、ここからは帰納的に「社会進化」を導いた解釈を述べよう。散々悩んでいたキャリアの選択肢から得た理解である。これは国際開発に止まらず、昨今繰り返し叫ばれる副業、起業、フリーランス、インフルエンサー、プログラマー、投資、資産運用など個人の生き方にも通ずるものだ。


私は、世界が3つの価値生産から構成されていると解釈している。
・ハードウェア
・ソフトウェア
・ヒューマンウェア

である。あーハイハイそういう話ね、とここで理解した気になるのも結構。

そもそもWareとは何だろうか。

2007年の古〜い記事によると一応はIT用語であり、「〜製造の」という原義があるらしい。銀製品ならSilver-wareになると。

本来の意味や一般的な意味と多少ズレはあるが、私はこれらをこのように定義している。

・ハードウェア
この世の有形物のこと全て。ただし人体を除く。本来はコンピュータ機器を指すが、ここでは全ての「モノ」を意味する。
・ソフトウェア
無形物の内、ハードウェアとのセットで価値を発揮するもの。お金は、それ自体はハードだが、中身の「信用」はソフトである。(信用はヒューマンウェアではない。信頼はヒューマンウェアである。)
・ヒューマンウェア
ヒトの意識や感情、知識。人は身体と精神を明確に切り離せない(離したくない)ため、人体もこれに含む。

ざっくり言うと、ハードウェアは「形のあるモノ」、ソフトウェアは「モノの上で動くモノ」、ヒューマンウェアは「ヒトというモノ」。

なぜ「ウェア」という表現に拘るのか。それは社会進化は基本的に価値を「製造する」ことだと考えるから。社会進化を一つの「システム」として理解する時、IT用語の抱えるコンテクストはとても親和性が高いから。

この3種類の価値製造において世界は構成されている。

これら3つ、それぞれが拡張、発展してゆく。その個々の変化を私は「進歩」と呼んでいる。

そしてこれら3つ全ての価値製造に「進歩」が実現した時に起きるのが「社会進化」だと解釈している。

*ここにおいて基準になるのは「存在」そのものではなく「どのような価値を産むか」である。完全に目的driven、製造物drivenの解釈。(同じ知識提供でも個人教育はヒューマンだがコンサルはソフトである)

以前はこれら三種類の価値製造は比較的分離したまま「進歩」してきた。ハードはハードのパイの中でハードの方法論で進歩を目指した。ソフトも然り、ヒューマンも然り。だからこそ、それぞれ単体で価値があった。「モノ」は「モノ」だけを極めることでも戦えた。「ソフト」や「ヒューマン」の畑とは別だったからだ。

1つの価値製造は進歩することによって、別の価値製造を進歩させることができる。社会はそうして進歩と進化を繰り返してきた。農耕というハードは階級というソフトを進歩させた。宗教というソフトは哲学と科学というヒューマンを進歩させた。科学というソフトは爆発的にハードを進歩させた。爆発的なハードはそれをマネジメントするための資本主義や社会主義というソフトを促進させた。これらイデオロギーは倫理感や正義などのヒューマンを主に自由主義という形で進歩させた。

これら三つの価値製造は常に進歩を続け、互いの進歩を促進した。

そして今、「ソフトウェア」における戦後のデジタルとインターネットという「進歩」によって、「ハード」と「ヒューマン」の進歩が促進されている。そして、さらに重要なのはこれらの関係が以前よりもずっと密接になって来ているということだ。これらの価値製造が拡大するあまり、互いのパイを侵食している。ハード:ソフトが4:1です、ソフト:ヒューマンが5:5です、みたいな価値製造が繰り返された社会進化の結果、可能になってきたのだ。

自動車メーカーは自動車で勝負できた。性能で勝負できた。今はソフトウェアを積まないと勝てない。提供できるユーザーの体験や感情を考えて作らねばならない。ソフトウェア会社は「早い」「安い」だけでなく「なんかいい」「オシャレっぽい」という非常に曖昧で適当な価値を提供しなければならない。農家の作物は「美味しさ」「品質」以外にも「ストーリー」や「正しさ」が売れゆきを伸ばすことに貢献する。


話を戻そう。

・ハードウェア
・ソフトウェア
・ヒューマンウェア

仕事をするということはこれらの価値製造に関わり、貢献するということである。そして今、これらの複合的な価値生産が求められている。

もちろん求められる価値生産はその状況によって異なる。国際開発ではハードよりになるし、ソフトよりになるし、インフルエンサーはヒューマンだ。

そこであらためて考えねばならない。

自分は「何がしたいのか」と。つまり何が「作りたい」のかと。

私の答えは、「ソフトウェア」を作ること。

「ハードウェア」と「ヒューマンウェア」を繋ぐ「ソフトウェア」を作ること。

これを自分で確信することで「やりたいこと」が明確になる。

ハードウェアを作る会社でソフトウェアを作る機会はある。
ソフトウェアを作る会社なのか、ソフトウェアに「なる」会社なのか。
その会社が作っているソフトウェアは何を繋いでいるのか。

会社名やイメージで判断するよりも具体的な検討基準が持つことができる。

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