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キャリアの悩み⑥ 結局はやりたいことがあるようで決まっていなかったのさ

日本に帰国して一週間が経過した。あまりにも早い。怒涛の、しかし大した生産のない1週間だったかもしれない。

なぜ日本に帰国したのか。理由は二つある。一つはこれ以上イギリスで一人暮らしを続けても何か成長できるとは思えなかったこと。そしてもう一つは日本でより自分の進路や就職活動について考え、成長できる機会が多いと考えたからだ。

私の日本での生活は多忙になる。のんびりしている暇は無い。
私はまだ「修士論文」という大仕事を終えていない。それと同時並行して就職活動とそのためのスキルアップに取り組まねばならない。

惰眠を食っている暇も、無駄な時間を浪費をしている暇もない。

今はモチベーションを維持することが急務だ。


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結局JICAからは内定をもらった。しかし、私の就職活動にはなんら答えは出ていないし、出る気配もない。そして最近はもう出ないものなのではないかと考えるようになった。

こちらにきてJICAの人事の方に調整してもらいJICA内の様々な経歴の人と話す機会を頂いた。ITコンサルからJICAに転職した方、JICAから世銀・ADBに出航した方、ゴールドマンやBCGを蹴ってJICAに入構した方(信じられない!そしてJICA内でも大活躍していた)などなど多くの国際開発のキャリアを有する方と会った。

現時点で自分に腹落ちしたことを書こうと思う。

まずJICAの業務というのはやはりどこまでも行っても、そしてあらゆる意味で「行政」と「日本」と「開発」、この3要素が拭えない。特に強調したいのは「行政」の部分である。JICAは国際開発の実施機関ではなく、オーガナイザーでしかない。いい意味でも悪い意味でも。これはJICA志望者ならフレーズとして知らない人はいないだろう。しかし話を聞くにつれて、そこにこそ「JICAの面白さ」があり、「JICAに期待できることの限界」があると強く実感した。

僕はJICAを国際開発の就職先として見るより、外務省の国際開発特化チームとして認識した方が、組織的な認識の誤差は産まれど、業務のイメージとしては近いと思う。JICAの仕事はやはり「行政」であり、強みは開発行政と呼びうるものかもしれない。上流すぎず、下流すぎず、日本の開発行政を知り尽くした組織である。JICAには政治的信頼がある(外務省ではない)。

一方で、JICAの限界は(というか国際機関をゴールを置く人にとっての限界でしかないのだが)、「日本の開発行政」の仕事を十数年やることになることである。これには国際機関を目指す者にとって都合の悪い点をいくつか含んでいる。

一つは専門性が身につきにくいことだ、と書こうとしたが、話を聞くと一概にそうとも言えないと思うようになってきた。というのも、今まで「国際機関の仕事」として一括りにしてきたが、現実としては当然「本部ー地域事務所ー国事務所」などが勤務地がある訳であり、それに応じて実務に近い立場でコンサルとして携わるのか、本部などで現地とは離れてペーパーベースで事務やマネージメントをする仕事もある。ということを踏まえると、一概にJICAでは専門性は養われないと両断することは誤りであり、例えば民間連携事業(言うなれば民間企業の融資をポートフォリオ化したりリスク調査したり)の業務経験はまさに金融に近いもので、そのようなバックグラウンドが世銀や開発銀行に買われる可能性もある。しかし、事実なのはローテーション人事によってセクターの専門性は養われにくいこと、スキルは特化しにくいということである。実際に多くの職員の話を聞いたが、やはりどこかのセクターのエキスパートである、という印象はどの方も薄く、日本国際協力機構の総合職に仕上がってしまっているイメージを受けた。

また、在外経験が入社5年目あたりになるというのもなかなかネックである。JICA職員としてキャリアを積む予定なのであれば良いが、もし国際機関入りを最も短期的なルートで望むのであればこの選択はあまりにリスキーすぎる。今24歳で在外時は29、そこから帰国は32になってしまい、JPOへの挑戦は難しくなってきてしまう。JICAという組織はキャリアの一ステップとして考える時にあまりにも時間を要する割りに専門性が養われる保証がない(ローテションがどうなるか分からない)というのがネックである。


JICAから内定をもらって分かったことがある。

いや、もともと分かっていたことではあったが。

やはりゴールの「国際機関で働く」ということがあまりにも抽象的だったのだ。どういう分野でどういう職務でどういうポストを狙うのかで戦略が全然違うのである。やはり字面でこれを舐めるのとは全然違う。実際にそれで苦悩しなければこのディテールまではたどり着きにくいだろう。

JICAの内定者ともあったが皆総じて優秀そうであった。これは私の今もってカードのどの内定先よりもレベルが高いと確信している。私は総合コンサルの内定者としか会ったことがないが、個人的にはJICAの内定者の方が一緒に働きたいと感じる人が多かった。そして、やはり国際開発に信念を持っているので良い意味で一癖も二癖もあるような人間ばかりであった。私はそんな、高学歴・経歴なのに社会の「王道」に捕らわれずに変なことやっている人間が大好きだ。同時に薄給であるにも関わらずこの世界で生きていくことに迷いがない彼らに憧れと敬意さえ抱く。

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さて、では私はなぜキャリアに悩むのか。

それはやりたいことがあまりにも、あまりにもまとまりがないからだ。

国際開発のキャリアにしても、結局「国際機関で働きたい」というのは手段でしかないわけであって、本質的に何がしたいのかが全く明確ではない。

そしてさらに悪質なことに、国際開発じゃないことも面白いんじゃないか、と思えるようになってきてしまった。プログラマーやクリエイターやtoCのエンターテイナーの仕事だ。個人でやるビジネスなんかもおもしろそうだ。

僕の人生は迷走している。

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